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皆さん、こんにちは。岡田のぶゆきです。第13回目の相談者は、東京都にお住いの岩崎裕太さんです。
上場企業に勤務という属性の良さはあるものの、融資を受けるにおいては、まだまだ勤続年数が浅く、金融機関からの信用に不安をお持ちです。また、自己資金も乏しいため、物件を購入するにしても限界がありそうです。
名前 |
岩崎裕太さん |
年齢 |
24歳 |
性別 |
男性 |
職業 |
システムエンジニア(一般) |
居住地 |
東京都 |
年収 |
約420万円 (世帯年収約420万円) |
自己資金 |
120万円 |
Q1.30歳までに年間500万円のキャッシュフローを得るには、どんな物件を買えばよいのか?
現在、あまり手間がかからず、安定的に入居が付きそうな目黒のやや築浅物件の購入を考えております。利回りは低くなるものの、そこからの収支を次に購入する物件へあてていこうと考えているのですが、岡田さんのご意見をいただきたいです。
A1.自分の住む家を投資として考えるのもあり
ご質問ありがとうございます。岩崎さんは上場企業に勤めということで、属性は良いと思いますが、勤続年数や自己資金、また昨今の市況からいって、ご希望の
(1)利回りを求めていきたい
(2)手間をかけたくない
この2点を両立させることは難しいでしょう。
目黒という好立地物件は、所得税の還付や、将来的に資産性が落ちないという目的には合致していると思います。また、築浅・新築の物件は入居率の安定性、手間がかからないのがメリットです。
つまり、(1)と(2)でいうと、(1)を満たさず、(2)を満たしている物件です。利回りやキャッシュフローの観点から考えると適した物件ではありません。
まだ若い岩崎さんも、これから勤続年数が長くなるにつれ、より良い融資条件が引けるようになるかもしれません。
金融機関が1棟目に購入した目黒の物件を高く評価してくれるのならいいですが、もしかするとご自身の属性の良さで、担保評価の足りない部分を補っている可能性もあります。いわゆる与信毀損の状態です。
これは属性の良い方にありがちですが、属性で補てんしているとなれば、2棟目3棟目と買い進めていくうちに行き詰ってしまう可能性があります。
もしも目黒の物件の銀行評価が高く、大きなキャピタルゲインも得られるのであれば、なんら問題はありません。それが、毎月の収支はプラマイゼロ、もしくは所得税の還付でプラスという状況で、先述したとおり担保評価が足りない部分を属性で埋めている様であれば、買い進めする際に足を引っ張る結果になりかねません。
月々のマイナスは少ないため、さして損をしていないように思えても、目標を達成することは難しいでしょう。
私からの提案としては、長期的なライフサイクルにも関係しますが、自分の住む家を「投資」と考えるのはいかがでしょうか。
住宅ローンで値ごろな中古物件を買って、住みながらリフォームを施し、物件をバリューアップするのです。そして何年か住んでから売る、もしくは賃貸に出す……こうしたやり方は「ヤドカリ投資」と呼ばれています。
この投資手法をおすすめする理由は、「好立地・築浅で、手間がかからず、そのうえ収益があがり、キャピタルゲインを得られる」このすべてを満たした物件を狙うよりは、手間がかかっても、自分の手で価値が上げられる物件を、なるべく安く購入する方が現実的だと考えるからです。
Q2. 今が物件の買い時なのかで悩んでしまう
来年の入社4年目になった方が、より良い条件での融資が受けられると思っているのですが、現在の属性で物件を買い進めることに関して、相場感も含めてご意見がいただきたいです。
A2.小さな物件で経験を積むなら買い時
これから先、物件価格が上がっていくのか? それとも下がるのか? という相場の側面もありますが、「規模が手頃な物件」「新築物件」「好立地物件」……これらの物件は相場に順じて価格が上がりやすいものです。
つまり、相場が高騰している今のタイミングでいえば、この条件の物件は「買い時ではない」と判断します。
岩崎さんでいえば、「独身」「若い」というこのタイミングで、投資の経験を積むという意味で、Q1で提案したヤドカリ投資を行うのであれば、「買い時」だと思います。
最初の買う物件の規模としては、2000万円以内が妥当かと思われます。好立地は値段が上がり過ぎています。立地の選び方は通勤圏の中で、アクセスの良い地域、それでも比較的に物件価格が安い、穴場的なエリアを狙っていきます。
例えば、東京駅から電車で30分の地域でも、それが城南なのか城西なのか、エリアによって価格が変わります。城南地域は資産性が高いかもしれませんが、物件価格が高騰しているので外した方がいいでしょう。
また、手頃な価格帯ということで、将来的に融資状況が厳しくなっても、おそらく現金で購入する買い手が現れることでしょう。物件の条件は以下になります。
・貸すときに収益が上がる物件
・実需として買ってもらえる物件
上記、2点については妥協しない方がいいですが、それ以外の部分に関していえば、全ての条件が揃っている物件は、高騰していて買い時ではありません。
立地・築年数・権利関係など、なにかしら妥協した方が買える可能性は高くなります。借地物件、築古の旧耐震物件も視野に入れていいでしょう。これらの物件は、投資として融資を受けるのは難しいですが、マイホームとなれば融資が出やすいのがポイントです。
Q3. 2件目、3件目を購入するタイミングは?
A3. まずは自己資金を貯めるべき
1件目の物件をヤドカリ投資でスタートさせたら、その次をどう買い進めるかというご質問ですが、行うタイミングと共に2件目以降も同じ手法を繰り返すのか、もしくはアパートやマンション1棟という、さらに大きい物件を買うのかという選択肢を検討しなくていけません。
また、1件目の物件を売却するのか、所有したまま次へ進むのか、といった選択肢もあります。これらの判断はそのときの売却相場も重要ですし、この後の融資状況も含めて勘案する必要があります。
なお住宅ローンで購入した物件を売却するのは問題ありませんが、賃貸へ出すには、「転勤で他県へ引っ越さなくていけない」「結婚で家族構成が変わった」など金融機関が納得できる理由も必要です。
アパート・マンションの1棟物件へ進むにおいても、その時々の融資状況や相場も関わってきますので、一概に「いつがベスト」とはいえません。
総合的なアドバイスをいえば、今の岩崎さんの状況では住宅ローンがもっとも借りやすいと思います。そのため、住宅ローンが有効利用できる投資手法をご紹介しました。
ただし、ヤドカリ投資をやるにしても、購入した後にお金はかかります。それはリフォーム資金が必要だからです。そうなると自己資金が100万円というのは厳しいでしょう。
訳あり物件で2000万円の物件を買うのであれば、自己資金は400万円~500万円はあった方がよいと考えます。まずは貯金をすること。そして情報収集に力を入れてください。その情報収集ですが、実需用物件を探すには一般的な住宅を探すサイトで見ていきます。
もう一点、アドバイスとしては、お若くて資金力がまだあまりない岩崎さん個人となると投資手法の選択肢が限られてきますが、おそらく現役の社会人であろうご両親の協力が得られると、別の手法の可能性も高まるでしょう。ご両親を説得して共有名義で投資をはじめるのも、ひとつの手立てです。
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