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このコラムでは、投資家にぜひチェックしていただきたいオススメの書籍を取り上げ、5分で概要がつかめるようにご紹介したいと思います。

第4回目は、塚口直史氏による『情報を「お金」に換える シミュレーション思考』(総合法令出版)。

ストーリーに時間とお金を投資する「シミュレーション思考」

本書の著者・塚口氏は、資産家から預かった資金を運用する、外資系運用会社のヘッジファンドマネージャーを20年続けている人物。変化の激しい国際金融市場において、常に「先」を読み、リターンを上げることによって運用手数料を受け取っているわけです。

1日のうちのほとんどの時間を情報収集とその分析に費やしたうえで投資を行い、その集積結果をクライアントに報告しているのだとか。クライアントは、海外金融機関から国内上場企業のオーナーなど、いわゆる億万長者の人々だといいますから、その責任は極めて大きいといえます。

興味深いのは、著者が本書において、「億万長者になる秘訣は、単に資産を分散投資することではありません」と断言していること。我々一般人からすれば、少し意外なことではありますが、もっと大切なことがあるというのです。

それは、「将来こうなるのでは」とストーリーを組み立てて予測し、そこに向けて行動すること。いわば、「ストーリー」に時間とお金を投資するという考え方です。そして、このような行動につながる思考を、タイトルにもある「シミュレーション思考」と位置づけているのだそうです。

シミュレーション思考はとても大切で、それを試算運用はもちろん、普段の生活にも取り入れることによってさまざまなメリットがあるといいます。お金も、日々の生活も、そして人生までもが、豊かで安定的なものになるというのです。

「好奇心」「地政学」「歴史」が欠かせない

だとすれば「シミュレーション思考とはなにか」ということを掘り下げる必要がありますが、その第一段階として著者は重要な定義づけをしています。

私は、「世界に対する好奇心」、地理と政治を結びつける「地政学」私たちの経済生活の基盤を良く知るための「お金の歴史」の3つの柱こそ、シミュレーション思考に欠かせないと感じています。

深く地政学の歴史を学び、広くお金の歴史を学び、できる限り世界に精通することで、幸せな未来を手にすることができると実感しています。(19ページより)

ビジネス書8月図表 (1)

(21ページより)

上記は、著者が考える「シミュレーション思考を形作る3つの軸」。横軸(X軸)が、世界への好奇心(国の数)。縦軸(Y軸)が政治・軍事の歴史(地政学)。そして奥行き(Z軸)がお金の歴史。この縦軸、横軸、奥行きで構成される立方体が、未来の社会を表しているというわけです。

「ストーリー」を多く持つ意義

たとえば、もし我々が「日本」という国しか知らなかったとしたら(それは考えにくいことですが、あくまで「例」だとお考えください)、知っている国の数は1ですから、X軸は「1」になります。

同じように、政治・軍事の歴史について全体の10%だけ知っているという場合はY軸が「10」、お金の歴史についてなにも知らなければ、Z軸は「0」になるということです。

だとすれば、「ストーリー」を多く持つということは、X軸とY軸とZ軸の幅を多く持つということになるはず。それぞれの軸について知っていればいるほど、XYZでつくられるハコは大きくなるので、そのぶん未来についてより多くの選択肢を持てるようになるというわけです。

ちなみに、このことについて著者はユニークな比喩を用いています。

城に例えると、お金の歴史で堀ができ、地政学で石垣ができるイメージです。そして多くの国のお金の歴史と地政学を知れば、本丸、二の丸、三の丸と外郭が増えていく形で、その城がより強固になるというわけです。(20ページより)

多くの選択肢を持ち、ものごとを客観的に見る目を養えば、視野が広がる

つまり、一見難しそうに見えたとしても、著者の考え方はとてもシンプルなものなのです。

ストーリーをつくる際には、「たったひとつしかない結果」を予測するのではなく、複数のストーリーをつくるようにすることが大切なのだということ。選択肢を持てば持つほど、未来予想の当たる確率が高まるはずだからです。

そして、そのような状況にするためには、日ごろから「客観的」にものごとを見る目を養う必要があるともいいます。著者によれば、「客観的」とは、誰にも動かしようのない事実のこと。つまり、主観を排除してつくることが前提なのです。

客観的で説得力のある未来予想は、人々を動かす力を持ちます。提示された未来が悲惨なものであれば、「そうはなりたくない」という気持ちを呼び起こし、人々を悲観的にさせ、予防行動を取らせるでしょう。

一方、ワクワクする未来を提示できれば、それを聞いた人は安心してその方向に向かって努力を続けることができます。(22ページより)

もしかしたら、「こういう話とお金にはどんな関係があるの?」と疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。が、それは間違いです。著者のいう「3つの軸」をきちんと理解し、そこから未来を予想できてこそ、それが確実な「お金」に変わっていくのですから。

よって、こうしたシミュレーション思考の基本を軸に、本書を通じて「世界に対する好奇心」「お金の歴史」「地政学」、そして「リスク管理」を理解できれば、きっとそこから視野は広がっていくだろうと思います。

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