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皆さん、こんにちは。岡田のぶゆきです。第14回目の相談者は、福島県にお住いの永井浩志さんです。

融資を受けて不動産投資を行いたいという希望をお持ちで、目標額のキャッシュフロー1000万円が達成できた暁には、地元である山形で起業することも視野に入れています。ネックは自己資金が少ないこと、年間貯蓄額は60万円ですが、現状で10万円しかありません。

名前

永井浩志さん(仮名)

年齢

39歳

性別

男性

職業

建設業(鳶土木)

居住地

福島県

年収

約430万円

自己資金

10万円

Q1.物件が先か? 融資先が先か? 貯蓄が先か?

物件か? 融資先か? それとも貯蓄を先に優先すべきか? これまで20冊ほどの本を参考に読んできましたが、著者によりアドバイスは様々でした。私としては融資が先だと考えています。

その理由は自分の投資できる額がわからなければ、物件も選ぶことができないと考えるからです。この考え方は正しいのでしょうか?

A1.とにかく最低限の貯蓄は必要、まずは100万円を目指す

ご質問ありがとうございます。「物件・融資・貯蓄どこから取り組めばいいのか?」という質問に対する回答をいえば、それは「貯蓄」です。わずか10万円の自己資金では、物件を買うどころかリフォームもできないでしょう。

たとえ融資がうまくいって、フルローンがついたとしても諸費用が払えませんし、そもそも金融機関は、諸費用を払えない人に融資をしないものです。

不動産投資において自己資金は必須です。「お金を使わず、できるだけ残す」という考え方は有効ではありますが、最低限でも物件の代金にくわえて、諸費用+入居募集のための広告料+1部屋分のリフォーム代金は用意しておくべきでしょう。

ワンルーム・戸建てであっても200万円~300万円はするものです。そうなると100万円は資金が必要になります。

また、物件購入に向けて行動を開始した時期が、2013年12月頃とのことですから、すでに2年以上が経過しています。年間で60万円の貯蓄ができるとのことで、本来ならば100万円以上は貯まっていてもおかしくありません。

不動産投資は、基本的に家賃以上のお金が入ってきません。リフォームや空室など出ていくお金が多い中で、「いかにコストを安く抑えるか」という努力も必要ですが、そもそも資金が十分にない現状では、あまりにもリスクが高すぎるでしょう。


Q2. 農業をしながらネットで情報を得て不動産投資がしたい

キャッシュフロー1000万円を目指しています。それが達成できたら起業して、山形の地元で農業をしながら、インターネットで情報を得て不動産投資がしたいです。農業は米なので閑散期があるため、農業も不動産投資で得た資金で大きくしていきたいです。

A2.貯蓄→金融機関の開拓→金融機関の基準に見合う物件を購入

キャッシュフロー1000万円を目指すには、貯蓄をして、まずは100万円の自己資金をつくり、戸建てもしくは区分マンションなど、価格帯の低い物件から融資を受けて購入するのが現実的な進め方です。

今は福島県で働いているとのことですが、将来は山形県で農業をするのであれば、地元の山形で物件購入することも視野に入れておきましょう。

というのも、地方在住の人が遠隔で投資をすると、金融機関のエリアも問題があります。全国を取り扱う金融機関はメガバンクと日本政策金融公庫です。

メガバンクは属性の関係から使いづらく、公庫は使えますが、支店や担当者によっても対応が大きく変わります。有利な条件で融資を受けている投資家もいる一方で短い融資年数しか出ないケースや、端から融資を断られるケースもあり、必ず使えるわけではありません。

東京や大阪のような大都市圏には支店も多く、投資家のつながりや不動産業者、税理士からの紹介が受けられるルートもあります。

不動産投資に理解のある支店、担当者も見つけやすいのですが、地方になると支店の数が乏しいため、うまくいかない可能性があります(前提として担当支店は居住の地域、もしくは物件のある地域と決められています)。

融資の可能性を広げるためには、地銀や信金など地元の金融機関を開拓した方がいいでしょう。その際には今、永井さんが一時的に居住している福島ではなく、将来的に住まわれる地元の山形が有利ではないかと思います。

農業も不動産投資も「土地ありき」です。農業で起業をするのなら、同じ土地が合理的ではないでしょうか。

ただし、ここでも営業エリアの問題があります。金融機関は、基本的に支店のある地域が営業エリアとなり、とりわけ信用金庫の営業エリアは狭いです。

地方銀行なら東京や大阪のような大都市にも支店が多くありますから、大阪に住みながら地方の物件を購入することができます。しかし、地方在住で別の地方を購入となると、営業エリアの問題で借りるのが難しくなるケースもあります。

例えば、福島や山形にも支店のある金融機関があれば対象となりますが、そういった金融機関は限定されることでしょう。そのため、計画としては貯蓄をした後に、自分が使える金融機関を開拓することです。そして、その金融機関の基準に見合う物件を購入していくのがステップとなります。


Q3. 仕事の都合で不動産投資に取り組む時間が限定される

会社からは「高給を払っているのだから仕事は真剣に取り組んでくれ。本業以外のことに身を使えば首だ!」と言われています。休日は日曜のみですが、それさえ稼働することがあります。そのため不動産投資に費やせる時間は週10時間程度となります。このような環境でも不動産投資は可能でしょうか?

A3. 転職も視野にいれて、不動産投資ができる環境に身を置くこと

「会社を首にされるから、時間を捻出することができない」ということであれば、目標の実現は難しいのではないでしょうか。まともな休日もないような状況で、不動産投資をはじめても、いざ緊急時に対応するのが難しいと思います。まずは不動産投資ができる環境に身を置くことからはじめてみませんか。

具体的にいえば、まずは貯蓄ができる環境、時間ができる環境を確保しましょう。永井さんの自己資金が10万円なのは、もしかして支出の多くなりやすい環境なのかもしれません。転職も視野に入れて、環境を整えるための行動を起こすことをおすすめします。

また、融資はその時々で大きく変化します。100万円を貯めても融資がまったく受けられない可能性すらあります。その場合は、高齢の親族が住まなくなった家など、ご自分の親族が所有する空き家を安く借りたり、購入することで不動産投資がスタートできる可能性もあります。

地方では深刻な空き家問題があることからの提案です。ただし、これは時間がなければできない投資手法です。

自己資金が少なくても努力と工夫で物件を増やしたケースもあります。

私が話を聞いた方は、いわゆるブラック企業に勤めていました。この方の自己資金は50万円でしたが、カードローンを使って200万円と、自分の親御さんから100万円を借りて不動産投資をスタートさせました。

激安で買った再建築不可の築古の長屋をリフォームして、高利回りで貸し出したのです。本業で忙殺され、精神的にも病んでいる状況の中、必死に行ったといいます。

雨漏りがあろうが傾きがあろうが、価格交渉をしてとにかく安く購入しました。夜中に物件を見に行って、警察の職務質問にあったこともあるそうです。こうしてキャッシュフローを積み上げていった結果、少しずつですがローンが使えるようになりました。

100万円未満の長屋からスタートして、徐々にですが木造アパートを手に入れ、今ではRCマンションも購入しています。

この方の場合は、2年で給料以上のキャッシュフローを得ることができて退職しました。退職するにあたって、サラリーマンのうちに住宅ローンを組んだり、クレジットカードをつくったそうです。

脱サラしたおかげで、現在はサラリーマン時代の半分以下の仕事量になっています。このような成功例もありますが、不動産投資に対しては時間をかける必要があります。

全体的なアドバイスとしては、上記の例もあるので決してダメだとあきらめずに、どのようなことが自分にできるのか。とくに時間とお金の捻出について、よく考えてご自身の進むべき道を決めて欲しいと願います。どうか頑張ってください!