清崎さんコラム_sakura-Fotolia

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「不動産投資に特別な才能は必要ない。きちんと勉強して臨めば、誰でも必ず成果は出る。人生を変えるもっとも手軽な方法だと私は思っています」

こう語るのは、東京都在住のサラリーマン大家、清崎雄喜さん(35歳)。清崎さんは株式投資を経験後、31歳のときに不動産投資を開始。現在、一都三県に中古の一棟マンション8棟、戸建て3戸、計74部屋を所有し、総資産7億7000万円、家賃収入年間7400万円(税引き後CF2100万円)を手にしている。

「目標は総資産10億円、家賃収入年1億円。あと2年以内には実現できるでしょう。そしたら、サラリーマンを卒業します」

ハイスピードで資産を構築し、30代にしてセミリタイア目前とはうらやましい限りだが、はたして成功の秘密は何なのか。清崎さんのこれまでの歩み、不動産投資の投資哲学を詳しく聞いた。

「良い借金」と「悪い借金」がある

大学卒業後、電子部品メーカーに就職。しかし、仕事に面白味を感じることができなかったという清崎さん。

「就職活動をいいかげんな気持ちで行い、志望した会社に入れなかったからです。身から出た錆ですが、大学の同期は有名企業に就職し、明るい未来が待っている。かたや自分は……とコンプレックスを強く感じていました」

苦しい現状から抜け出す術を求めて、毎週末図書館へ。さまざまなジャンルの本を200冊以上読み漁り、その中の一冊が『金持ち父さん 貧乏父さん』だったそうだ。

「同書で心に響いたのは、『良い借金』と『悪い借金』についての記述。借金=悪と捉えがちですが、本当に価値のあるものを借金して買うのは何も問題ない。実際、真のお金持ちは良い借金をして資産を増やし、豊かに暮らしていると書かれていました。これに納得して不動産投資家になることを決めたのです」


株も不動産も「本来の価値以下で買う」

まずはタネ銭を作るべく、家賃が激安の寮生活を送りながら節約に専念。一方、金融のセミナーに参加してコーポレート・ファイナンスを学び、株式投資に挑戦する術を得ている。

「金融セミナーで学んだのは大正解でした。節約で貯めた1000万円を元手に株の運用と貯蓄に励み、3000万円まで増やすことに成功。その資金をもとに、不動産投資を始められましたからね」

仕事面でもプラスに。株式投資の成績をアピール材料とし、金融機関に証券アナリストとして転職することができたのだ。

「まったく畑違いの転職です。メーカーから金融業界への転身なんて普通はあり得えません」

さらに、不動産投資の物件選びにも活きている。株式投資の銘柄選びと共通する視点を見出したという。

「金融セミナーでは企業の理論株価を導き出し、『本来の価値以下の価格で買いなさい』と教えられました。この考え方を物件選びに応用したのです」

5000万円の価値があるものが3800万円で買える!?

2012年3月、東京都板橋区の1棟マンションを購入して不動産投資家デビュー。同物件は築10年の代物で、価格3800万円。最寄り駅から徒歩10分圏内かつ商店街に続く道沿いにあり、賃貸需要が望めたそうだ。

「一番の決め手は、相場の価格で売却した際の予想売却額が5000万円だったことです。そう、物件価格を大きく上回っていたわけです。本来5000万円の価値があるものを3800万円に入手できたら、買った時点で1200万円の粗利になる。どう考えても得ですよね」

東京・板橋の一棟マンション。表面利回り10%

東京・板橋の一棟マンション。表面利回り10%

頭金1割を入れ、残りは融資。当初は数千万円の借金にビビっていたものの、買い値以上で売れることを知ってからは恐怖が消えたとか。

そして2棟目以降も、「本来の価値以下で買う」ことを大前提とし、資産価値や収益価値が高い「お宝物件」を買い進めていった。でも、なぜ本来の価値以下で物件が売られているのだろうか。

要因のひとつに『ミスプライス』が考えられます。誤った値付けです。

たとえば前述した1棟目の板橋の物件は、土地の実勢価格が2000万円以上。建物は4000万円以上かけて造られたものでした。合計6000万円以上なのに、3800万円の価格で売られていたわけです。

所有者の地主さんからすると、『10年前の建物代よりちょっと安いけどまあいいか』という感覚で、土地代については頭にないのかもしれません」


結局、土地を持った人が強い

不動産の世界では、ミスプライスは珍しい話ではない。2014年2月に購入した4棟目、千葉県市川市の物件もそのひとつ。

「購入価格8800万円に対し、土地の実勢価格が1億2000万円でした。土地だけで3000万円以上の含み益です。7400万円のローンは家賃収入を回してラクラク返済でき、15年後の完済時には1億円以上の価値を持つ土地がすべて自分のものになります」

千葉・市川の一棟マンション。表面利回り10.4%

千葉・市川の一棟マンション。表面利回り10.4%

こういった物件だからこそ借金を恐れずに買い進められ、資産を増やしていけたのだ。清崎さんは自らの戦略を明かす。

「理想とするのは、売り値が土地の実勢価格を大幅に下回るなど、本来の価値より安い物件を仕入れ、土地を担保にお金を借りて、家賃収入でローンを返済するというスタイルです。

借金完済までは15~20年後。そしたら地主になれるので、物件をそのまま使い倒すのもよし、更地にして売るもよし、はたまた新築に建替えてもよしと、選択肢が広がります

お宝物件は業者が探して情報提供してくれる

では、肝心のお宝物件はどのようにして探し出すのか。聞くと、予想外の答えが返ってきた。

じつは自分では探していません。業者のほうから情報提供してくれます

カラクリはこうだ。不動産サイトで気に入った物件をみつけたら、どんどん資料請求していく。資料請求=業者の顧客名簿に載ることになり、関係性ができる。その業者と直接会い、買いたい物件の詳細を伝えて連絡を待つという流れ。

「条件に合致した物件はメールで届き、精査してこれはイケると思ったら、現地に見学に行きます。そして現場で購入するかどうかを最終判断します」

購入希望物件の条件は以下のとおり(一部抜粋)。

○一棟物アパート・マンション

・価格帯:最大3億円程度(融資が組める物件)
・表面利回り:9〜10%程度
・積算価格>物件価格の90%程度
・所在地:一都三県

○築古戸建

・価格:200〜500万円
・利回り20〜30%以上
・路線価>購入価格

「融資についてはオリックス銀行、スルガ銀行、静岡銀行、日本政策金融公庫などの幅広い金融機関を活用してきました。

ノンバンクに限っていえば、一般の金融機関より融資のハードルが低いこと、審査スピードの早さや多額の融資を引けることなどが利点です。金利は高いものの、のちに金利引き下げの交渉をしたり、借り換えをすればいいのでリスクは軽減できます」


弱者が人生逆転してのし上がれる手段

清崎さんに習い、今年夏から奥様の聖さんも不動産投資家デビュー。埼玉県ふじみ野市と埼玉県所沢市それぞれで築古戸建てを購入したそうだ。

「ふじみ野の戸建ては購入価格300万円に対し、路線価450万円です。所沢の戸建ても購入価格270万円に対し、路線価310万円です。路線価のほうが高いため、お買い得なのはあきらか。格安物件だったので両方とも現金購入しました」(聖さん)

不動産サイトを使って物件をリサーチし、「全国地価マップ」のサイトで路線価をチェック。多少の手間はかかっても、堀出し物を探すのが楽しいとのこと。

ふじみ野の戸建て。築45年。表面利回り16.4%

ふじみ野の戸建て。築45年。表面利回り16.4%

所沢の戸建て。築40年。表面利回り28%

所沢の戸建て。築40年。表面利回り28%

冒頭、清崎さんは「不動産投資に特別な才能は必要ない」と述べた。その真意を最後に聞こう。

資格はいらず、学歴も問わない。年齢、性別も関係ない。チャンスを平等にものにできるのが不動産投資の世界です。もっといえば、不動産投資は強者だけのものではない。年収が低くても、貯金が少なくても、やりようはいくらでもあります。弱者がのし上がれる逆転の手段なのです」

これから不動産投資を始めたい、短期間で資産拡大をしたいという方には、特に参考にしていただきたい。

清崎雄喜さんのプロフィール

1980年、大阪府出身。大阪大学基礎工学部卒。大学卒業後、電子部品メーカーに就職。仕事の傍ら株式投資を始め、節約で貯めた1000万円を元手に株の運用と貯蓄に励み、3000万円まで増やす。

その後、会計、コーポレート・ファイナンス、投資の仕組みを追究すべく、金融機関に証券アナリスト(日本株のセクターアナリスト)として転職。同時に株式投資で作った資金を元手に不動産投資に挑戦。1年6カ月でマンション4棟を取得し、資産3.6億円、年間家賃収入3300万円(満室想定)を実現する。

その後も物件を取得し、4年で資産7.7億円、年間家賃収入7400万円(満室想定)まで拡大。自分の夢の実現に向けて、不動産投資の規模を拡大するべく日々研鑽している。