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みなさん、石川貴康です。ここ数年、為替と金価格の変動を毎日欠かさず見ています。為替と金を買っているからです。やはり、こうしたものを買うと、毎日価格が気になりますね。ちなみに、株式の個別銘柄は買いません。インデックスは買っているのですが、株価はたまにしか見ません。

買っているといっても、実はどれもドルコスト平均法(一度に購入せず、資金を分割して均等額かつ定期的に投資すること)で買うだけで、トレードはしていません。

トレードは投資ではありませんし、自分でコントロールできない価格を気にして裁定取引に必死になっている時間がもったいないので、やらないのです。小心者の私には、たぶん無理だと思います。

私は為替、金、株式の取引で「投資」という言葉を使わないようにしています。売買で生じる損益に関してはトレードだと思っています。私の中で投資といえば、金融でいえば債権と持ち分投資、現物でいえば、負債と持ち分を使っての収益資産保有だと思っているからです。

投資のリターンは受取利子、配当、資産からの収入です。売った時のキャピタルゲイン・ロスはあまり意識していません。長期投資なので、回収してしまえばいくらで売っても利益だと緩く考えています。

キャッシュを最大化する外資の投資を知っている身としては、だいぶのんびりした投資ですが、そこまでがつがつできませんしね。この辺のことはそのうちどこかで(おそらく書籍などで)お伝えする機会があると思いますので、この辺で。

とはいえ、為替、金価格、株価は見るようになりました。英国のEU脱退、ドイツ銀行の噂、などで為替、金価格、株価に大きな変動が起きるのを見るとトレードしたくなりますが、そうした突発事項を見てすぐアクションできるわけではないので、今は見ているだけです。

さて、そうした変動に比べて、不動産投資は長い目で収益見込が見えるのでとても安心です。しかし、常に安定しているわけではく、不動産賃貸は空室との戦いです。今回は私の空室との戦いを書いてみたいと思います。


肌感覚でも、統計でも空室率は年々悪化しています

不動産賃貸を長くやっていると、入居が年々厳しくなってきていると感じます。物件が古くなってきているという理由もあると思いますが、都内は駅近で便利な場所ですし、家賃も相場以上にしませんから、競争力がないわけではありません。しかし、私の物件でもそれなりの努力をしないと空室が出る状況になってきています。

地方物件は茨城と福岡ですが、同様に空室が出やすくなっています。地方物件は、一度空室になると空室の時期が長くなる傾向があって、けっこう実質利回りが低下してきている気がします。もちろん、地方でも大都市圏とそうでないところの差はあると思いますが、傾向として空室のリスクは上がっている気がします。

胡坐(あぐら)をかいていて満室にできる時代ではありませんから、かなり努力しないと満室を維持できません。けっこう大変です。肌感覚ですが、入居者に余裕がなくなってきている気がします。

収入が増えず、増税や社会保険料の値上げが続き、可処分所得が伸びないためでしょう。アベノミクスとか言っていますが、アベノミクスが始まって、いろんなものの値上げもあり、ますます閉塞して状況になっているように見えます。

統計上も空室率は上がっています。私の依頼している管理会社からは空室率の情報が送られてくるのですが、首都圏でさえ2016年3月で空室率が13%前後になっているそうで、これはここ半年上がりっぱなしだそうです。23区内だけは低下していて11%、低下しているとはいえ、それでも空室率は10%を超えています。

近隣の神奈川、千葉、埼玉は軒並み空室率が悪化していて、その分が足をひっぱり、首都圏全体の悪化になっているようです。首都圏がこの状況ですから、地方都市はもっと厳しいことでしょう。

この状況に拍車をかけているのが、おそらく相続対策の新規アパート建築だと思います。

実際にここ数年、世帯数に対する新築貸家の着工戸数が毎年上回っている状態です。需要が伸びない中に、相続税の増税があり、住宅メーカーがセールス攻勢をかけ、低金利で金融機関も融資先が欲しいので、新築がどんどん供給されているのでしょう。

大家にとっては厳しい時代が続きます。アパート・マンションを持っていれば悠々自適な時代ではなくなったのです。


空室対策のライフサイクル:引き合い→内見→交渉→入居→入居継続

しかし、この状況を甘受ばかりしていられません。投資としてきちんと収益を上げ続けなければなりません。幸い私の物件の入居率は都内90%以上、地方でも90%近い状態をなんとか維持していますが、客付する力のある不動産管理会社を探して管理を委託しているのが大きいと思います。

しかし、それだけでは埋めきれなくなってきていますから、管理会社と連携しながら、入居を確実にする手を打っています。入居に漕ぎつけ、入居後は長く住んでくれるように、賃貸のライフサイクルごとに打っている手をご紹介しましょう。

ライフサイクルは引き合い→内見→交渉→入居→入居継続→退去ですが、退去時は特殊な場合を除き、特になにもしませんので、引き合い→内見→交渉→入居→入居継続でご説明していきましょう。

空室対策:引き合いを取るための対応策はマーケティングとセールス対策

星の数ほどある物件の中で、埋もれずに我が物件を見つけてもらわなければなりませんから、見つけてもらうためにも広告には気を使います。

今ではネット検索が当たり前ですから、ヒットしやすい条件は常に探っています。敷金・礼金と家賃のバランスを考え、検索や問い合わせの多い価格設定は常に管理会社と情報交換して、ヒットしやすい条件に変えています。

家賃を下げた方がヒットしやすいとのことであれば、そちらを下げ、管理費を上げる、2台目の駐車場は無料にする、などの都度見直しを行います。

広告だけでなく、キャンペーンを打つこともあります。ある時期だけ敷金・礼金ゼロゼロや、フリーレントなど柔軟に対応します。

空室対策:内見に漕ぎつけるための対応策は物件保全とセールス対策

さて、引き合いがあったからといって内見に進んでくれなければ意味がありません。内見に結びつけるには、不動産会社が積極的に内見に誘導してくれなければなりません。そのための大前提は、決めやすい物件にしておくことです。

掃除は常に行い、周りをきれいにしておくことは重要です。部屋の中がきれいでも、周りが荒れていると住みたくなくなりますし、女性は特に目を光らせてくるところです。ゴミ出し、自転車、洗濯機置き場といった共用部分置き場のルールは徹底し、入居者に守ってもらうようにします。

内装も、必ずリフォーム、ハウスクリーニングを行い、清潔にしておきます。設備は積極的に更新します。古臭い設備だと不動産管理会社も誘いにくいでしょう。

最近はウォシュレット、インターフォンを付つけ、無料でネット接続ができるようにもしています。壁紙を工夫したり、照明を変えたり、冷蔵庫を備え付けたり、不動産管理会社がセールスしやすい物件にしておくのです。

あまりやりすぎるとコストがかかるので、状況を見ながら徐々にやっていますが、賃貸業は設備投資だなと最近思います。とにかく、決めやすい物件にするのです。


空室対策:今は普通になった条件に関する交渉への対応

さて、内見を通過すると、気にいってもらえたとしても、最近多いのが入居の条件交渉です。誰かが、どこかで何か言ったり書いたりしているのかもしれませんが、本当に最近は条件交渉してくる人が多くなっています。

家賃を下げてほしい、一定期間フリーレントにしてほしい、駐車場を無料にしてほしい、といった交渉が多くなっています。大家は最近弱者なので、交渉を突っぱねるのが難しくなっているのを知っているのか、あからさまな要求も多くなります。

複数条件を出す人が多いので、そのうちひとつくらい飲んで、あとは断ります。家賃の値下げ要求が多いので痛いところですが、全額要求をのんでいると大変なので、せいぜい1000円程度の値下げはのみます。ただし、それ以上の交渉はNGとしています。

また、ペットを飼わせてほしいという要望もたまにあるので、このときは必ず高めに敷金を確保します。入居していただくのはやぶさかではないし、ペットは家族ですから積極的に受け入れますが、やはり退去時のリフォームコストがかかるので、その分は負担をしてもらいます。

空室対策:入居時にするサービスが印象を良くする

内見時に部屋にポップを張って、引っ越しに便利なように、電気、ガス、水道の開設の連絡先、役所の連絡先、近隣の地図などをファイルにして、さらに入居時のサービスとしてカップラーメンや洗剤などを置いておいたこともありました。

今でも、こうしたことが有効なのかわかりませんが、あまりお礼を言われたこともなく、管理会社からのフィードバックもないのでやめてしまいました。手間に比べて効果がないと感じたのです。

入居してくれれば、これあげますという「お土産」は今も有効なのでしょうか? 大家の手書きポップや入居マニュアルは有効なのでしょうか? 誰かご意見いただけると嬉しいのですが。

空室対策:入居継続をするためにケアを忘れない

入居後は、管理会社と連携して、様々な不具合には即対応するようにしています。住んでいる入居者に不便を感じさせないようにするためです。対応が悪いと、せっかく入ってくれたのに、退去されてしまうからです。こういう点では完全にサービス業です。

私は、管理を委託しているので管理会社には常に迅速な対応を要求しますし、緊急の場合は私に連絡がつかなくともアクションして良いことにしています

金額はあとでかまわないので、アクションを先にしてもらっています。特に、水漏れやガスが出ない、エアコンが効かない、換気扇がおかしい、ガラスが割れた、といった生活に支障があり、不快感を増す事案についてはとにかく即対応をお願いしています。

管理会社の担当替えがあって、新人とかが配置されると、こうした即対応もいちいち大家が教育しないとぼんやりされてしまうので、事が起きるたびに即対応を示唆します。対応がひどい時にはクレームにします。

賃貸業がサービス業であって、入居者は顧客であり、入居者があってこそのビジネスだという意識が欠けている不動産会社が今でも多いのですから、大家が積極的に教育していかないといけないと思います。

不動産投資はほったらかしの投資ではなくサービス業という事業

不動産投資は空室との戦いであり、これはずっと続く戦いです。ほったらかしの投資ではなく、入居者という顧客が快適に、安全に住サービスを受けられる環境を整えるサービス業なのです。

これから、空室率はどんどん上がっていくでしょう。よほど競争力のある物件でない限り、大家の努力が必要です。サービス業という認識で、事業を行っているという意識がないといけないと思います。不動産投資家は、不動産事業家なのです。