終身雇用崩壊_DURIS-Guillaume-Fotolia

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日本の終身雇用制度が崩れつつある……。近年では、多くの大手企業が年功序列賃金制度の廃止を発表している。いい大学に行って良い企業に入り、定年までそこにいることが「成功」とされていた時代もあったが、現在ではそういった概念は古いのかもしれない。まずは、以下のデータを見ていただきたい。

●ホンダ自動車が2002年から年功序列制度を廃止

1992年にはすでに役員の年功序列制度を廃止していたホンダ。2002年には一般社員に関しても成果型の年俸制度を適用することを発表した。

●2014年から日立製作所が年功序列制度を廃止

グローバル化のなか世界的な競争力をつけるという名目で、日立製作所も管理職を対象に年功序列制度を廃止することを決定。

●日産自動車は2004年から年功序列制度を廃止

日産自動車は2004年から一般社員の賃金体系を年功序列型から成果型へと変更した。

●パナソニックが2015年から功序列の給与体系を廃止

もともとパナソニックの社長であった松下幸之助が「従業員を守る」という意図の元、作り上げたと言われる終身雇用制度や年功序列制度である。しかし、そのパナソニックも変化する経済状況、経営状況のなか年功序列賃金制の廃止に踏み切った。

●ソニー、2015年から人事制度を変更

ソニーも管理職から一般職までの給与における年功序列要素を外すことを決定し、新しい給与体系を設けた。なんでもこの人事制度により、社員の6割が減給となったそうである。

そもそも戦後の高度経済成長期における労働力の確保のために創りだされたといわれる終身雇用制度、年功序列制度はグローバル化の進む、現代の不況の日本では通用しないシステムとなっているのかもしれない。

現場で働くサラリーマンは、この終身雇用制度の崩壊についてどのように感じているのか、企業で働く会社員2人の声を聞いてみたい。


●ケース1:大手電子機器メーカー勤め小野さん(41歳)

最近、同僚がリストラにあったという小野さん(仮名)(年収約600万円)は、電子機器メーカーの企画開発部門に務めている。彼は、新卒からずっと同じ電子機器メーカーで働き続けているが、最近会社の業績悪化とともに解雇されるのではないかという不安感を抱くようになったそうだ。

「僕と同じ部署で働く、同僚が早期退職を勧められました。彼は、飛び抜けて優秀と言うわけではありませんでしたが、とくに悪い点もないおだやかな性格のやつでした。彼が言うには、急に人事部に呼びだされ、今辞めれば少し多めの退職金が出ると言われたそうです」

そんな同僚の状況を目にして小野さんは「厳しい現実を突きつけられた気分」になったという。

終身雇用なんて、今の日本ではありえないんだなということを身をもって感じました。今は、業務のかたわら転職活動にも力を入れています。この歳で難しいものもありますが、家族を養っていかないといけませんしね」

小野さんの話を聞くと、正社員でも突然の解雇がありえる世の中になったということがわかる。

●ケース2:貿易関連会社勤務の橘さん(36歳)

以前は、都内の銀行勤めしていたという橘さん(仮名)は、数年前に会社の先輩と起業し、現在は役員として業務に励んでいる。年収は約1000万。橘さんの起業の背景には、終身雇用制度など日本の雇用制度に対する不信感があったという。

「リーマンショックでは、『潰れるはずがない』といわれたアメリカの投資銀行が倒産しましたが、銀行での業務を通して日本の経済を知るほど、日本の終身雇用制度なんて過去の遺物としか思えなくなったんです。これからは、会社に頼って生きるより自分で生きる力をつけるべきだと思い起業しました」

情報化が進んだ現代では「3年以上先の見通しは立ちにくい」という橘さん。現在の日本企業とそこで働く従業員を取り巻く現状もこれと同じものなのではないだろうか。

終身雇用制度のない世の中で生き延びるサバイバル術とは?

今後、日本が戦後並みの経済成長をする可能性は少なく、終身雇用制度の廃止も進むことだろう。そんな時代に、私たちは自分のキャリアを築くにあたって何をすべきかみていこう。

●社外でも通用するスキルを身につける

2000年を前後に、売れるビジネス書の内容に変化が起きているようだ。以前は、企業で出世するノウハウをまとめた本が売れていたが、最近では個人のスキルを高める本が人気らしい。

会社からいつ離職をすすめられるかわからない昨今、社外で活きる知識やスキルを身につけておくのは必要なことかもしれない。

●会社の業務以外にも投資などの別の仕事も進める

永続的な雇用が望めない昨今、自分の仕事を会社の業務一本に絞るのはリスクが高い選択である。不動産投資などの投資や別の副業があれば、急に退職を勧められても動揺も少ないはず。

そして投資のいいところは、定年が関係ないことだ。老後満足に暮らせる年金額を貰える可能性は低い。早めに準備しておくことが、安心できる未来への近道だろう。