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資産運用を考えて実践している方ならば「いつかは資産1億円超を!」と夢見たことがあるはず。でも、投資に回せるだけの資金はそう多くないし、1億円への道のりはけっこう遠いな……と感じている方もいるのではないだろうか。

そんな方に向いているのが積み立て投資である。少額からでも毎月一定額を投資に回すことで、確実に資産を築いていくことができる。

今回『図解 お金持ち入門』(学研プラス)の監修者、中野晴啓さんに「積み立て投資で資産1億円」を作るノウハウと、なぜ資産運用が大切なのかを聞いた。

「私は『お金=儲ける』とあまり結びつけたくはないんです。資産運用を考えたとき、お金は『育てる』ものだと思います。新しい富を生んでくれるモノに投資をすると、お金を育てることにつながる。世界全体を見れば経済は成長しています。低迷している日本経済も20年間沈んでいたのだから、上がる可能性はある。

王道は株式投資ですが、不動産も立派な投資対象ですよね。土地だけでは富を生み出しませんが、人が営むため場所を物理的に提供する箱が不動産。建物が建てば土地には価値が生まれてくる。世界全体の株式や債券、不動産など安定して成長するモノにお金を投じて、お金に働いてもらうことが投資です」

お金が働いて、価値を生み出すことで、社会が豊かになり、その恩恵をサービス面でも金銭面でも受けられるというわけだ。

「投資で儲けたい」気持ちは落とし穴!?

投資をするならば、大金をポーンと一括で投じても良いはず。なぜ積み立て投資がおすすめなのだろうか。

「実は大前提として、積み立て投資はまったく合理的な投資法ではありません。積み立て投資が良い、逆説的な理由があるんです。それは人間という生き物の『弱い心』がネックだからです」

投資を始めるときは「儲けたい!」と思って始めるもの。その欲にこそ落とし穴がある、と中野さんは話す。

「投資商品を買ったとき、価格が下がったら『損が出た……』と落ち込んで売ってしまいます。反対に価格が上がったら『儲かった!』と喜び勇んで売ってしまう。運良く価格が上がる銘柄や商品を見つけられるなら、それに越したことはないですが、価格は需要と供給で決まるので、そう簡単ではありません。

ですから、臆病な弱い人間の心を持ったままでは、資産が安定的に増えないのです。そこで、弱い心に打ち勝ち、お金を育てるために最適な方法が積み立て投資月に1回程度の決まったタイミングで、決まった金額を定時定額で投資し続ければ資産1億円の道も開けてきます


積み立て投資で「価格が下がっても喜べる」理由

積み立て投資の良いところは、価格が上がっても下がっても「嬉しい!」と思えることにあるとか。上がれば嬉しいのはわかるが、なぜ下がって喜べるのだろうか。

下がると嬉しいのは、たくさん買えるから。毎月同じ金額を投資していれば、価格が下がったときに買える量は多くなります。反対に価格が高いときに買える量は少なくなって『高値掴み』を相対的に少なくしてくれる。ずっと積み立て投資を続けると、購入価格は平準化されるんです。この点が積み立て投資の有利な点です」

じっくり時間をかけて淡々と機械的にずっと積み立てていくと、大きな金額になる。

「株式ならば、しっかりと分散投資のポートフォリオを作った上で、値上がりと配当利益を含めて長期的には6~7%の期待リターンがあると言われています。1億円を目指すならば、毎月8万2000円を積み立てて、年7%で30年間運用すれば1億円になります。

毎月8万2000円はちょっと大変かもしれませんが、都内の賃貸マンション程度の値段と考えれば出せない金額ではないはず。家賃や固定費などを減らすことで捻出し、それを30年間続ければ、臆病な弱い心を持った人でも可能な数字。そう考えると希望が見えてきませんか?」

8万2000円は無理かも……という方でも、少しハードルを下げて毎月3万円を積み立て、同じように年平均7%で運用できれば30年後には3600万円になる。

「60歳からの老後資産としては、3000万円あれば余裕を持った生活ができると言われています。今30代の方ならばやってみる価値はあるはず。それに、もっと時間をかければ複利で投資の効果は高まります。地道に長い目で取り組めば、ごく普通の投資で誰でも将来の資産形成が実現可能なのです」

コツコツと続けること。それが現在の収入額に関係なく、大きな資産を作るためのコツなのかもしれない。

中野晴啓さんプロフィール

セゾン投信株式会社代表取締役社長。公益財団法人セゾン文化財団理事、NPO法人「元気な日本をつくる会」理事。1963年東京生まれ。87年明治大商学部卒、クレディセゾン入社。

セゾングループの金融会社にて資金運用業務に従事後、投資顧問事業を立ち上げ、グループ資金の運用のほか、外国籍投資信託をはじめとした海外契約資産等の運用アドバイスを手がける。

その後、株式会社クレディセゾンインベストメント事業部長を経て2006年セゾン投信株式会社を設立、2007年4月より現職。

著書に『図解 お金持ち入門』(学研プラス)がある。