大家まさおくん若手DIY名人、ピーナッツ大家まさおくんは、おばあちゃんと2人暮らしのサラリーマン。不動産投資をはじめたきっかけは、ずばり「将来への不安」から。

DIY活用でコツコツと築古戸建てを再生する手法が得意で、「汲み取りトイレ」「井戸」「傾き」など普通の投資家なら敬遠する物件に果敢にチャレンジ。知恵と工夫と仲間たちの力を集結して高利回りを達成。その投資の極意を紹介する!

不動産を買って財産をつくり、勝ち組になりなさい

ピーナッツ大家まさおくんは、空き家再生をコンセプトにした不動産投資を行っているサラリーマン大家さん。卒業後に就職もせずに居酒屋でバイト。パチンコや麻雀にハマり堕落した生活を続けていたところ、同居していたおばあちゃんから一喝された。

「おばあちゃんから、そんなダラダラした生活をしないで、英語かパソコンの仕事をしなさいと言われたのです。そんなときにバイト先のお客さんだったパソコン会社の営業部長からスカウトを受けてはじめて正社員になります」

それが実はかなり問題のある会社で、研修期間が終わって間もなく倒産。関連会社への異動となるが、40人がリストラされて、社員5人だけが残された派遣会社となった。

「休みがなくてヒドイときには77日間、連続勤務しました。ボロボロになって車で寝てそのまま出勤する生活です。それでも残業手当も出ず月20万円の固定給。

耐えきれなくなって在職中にスカウト受けた会社にさらに転職しますが、今度の会社は月給20万円+ボーナスで年収は400万円弱、そして、1年間の昇給額が月額24円だったのです。昇給額があまりに少ないので、最初『時給ですか?』と聞いてしまったくらいです。『いえ、月額です』といわれて衝撃を受けました(笑)」

ここで感じたのは、不満ではなく不安だったという。

「そんなときに、仕事で知り合った不動産会社の方から、『不動産を買って財産をつくり、勝ち組になりなさい』と不動産投資を薦められたのです。それまで株など別の投資をやった経験もありますが、安定した投資を求めていきついたのが不動産投資だったのです」

それが6年前、29歳のときだった。そして1戸目の戸建てを購入したのは2011年の震災の年。当時はまったく知識がなく「利回り」という言葉すら知らなかったという。自己資金は小学生の時から貯め続けた500万円

「僕の家は貧乏で中学生から自転車で新聞配達をしていましたし、必要なものと欲しいものを分けて、必要なものしか買わない生活をずっと続けていました。そのため堕落していた時期でも貯金は200万円~300万円はありました

おばあちゃんと2人暮らしをはじめてからは、おばあちゃんの老後が心配になって節約生活をしていましたので薄給ではありましたが、貯金はあったのです」


1戸目の物件は、不動産投資を進めた不動産会社より、いわれるままフルローンを組んで、千葉県郊外の戸建てを購入した。

「利回り10%程度で、どちらかといえば収益性ではなく資産価値がある物件です。失敗ではありませんが今だったら買わない物件ですね。それでも家賃収入からローンの支払いをしても、多少はお金が残るので、素直にありがたいと思いました」

こうしてスタートした不動産投資。以来コツコツと買い増やして、今では戸建てばかり15戸を所有。現金と融資を取り混ぜており、融資は地元の信用組合と日本政策金融公庫の10年~15年に限定して、返済率を50%以下におさえている堅実なやり方だ。

物件の高騰する2016年に利回り40%の戸建てをゲット!

高収益狙いに切り替えたのは4戸目から。キャッシュフローを重視して、築古の戸建てばかりを購入するようになった。

「築古物件の再生はここ3年でマスターしました。業者に頼んだら数百万円かかるところを自分で取り組めるようになって収益性があがっていきました」

もともと手先は器用だったけれど、特別にDIY好きだったわけではなく、工具もなかったそう。

「基本的には『人にできて自分にできないことはない』という考え方です。自主管理をしていたので、お客さんからクレームがあって修繕するときは、毎回業者さんに同行して作業を見させてもらっていたのです。それで、次回同じことがあったらプロに頼まなくても大丈夫なように少しずつできることを増やしていきました」

工事を安く上げるコツは自分でやるのはもちろん、知識をつけるのも重要。

家の構造を理解しながら、自らの手で修繕していくことにコストカットの極意がある。また、自分ですること、業者に発注することを明確に切り分けるのもポイントだという。少ない作業で大きなパフォーマンスがでるところは手をかけるなど、頭を使ってお金をかけないようにしている。

「屋根など高いところの施工や電気はプロにまかせます。また、費用対効果も考えています。

例えば、洗面所のクッションフロアだけで他部分の発注もあるのであれば、安価でできますからまとめて依頼して自分ではしません。洗面台交換にクロスとクッションフロアを張り替えて1日で施行可能あれば自分でします。1日動いて時給3000円以上出るような作業であれば行うというイメージです」

このような工夫で、利回りがどんどん高くなり、今年になってから実質利回り40%を実現! 今年2月に購入したのは、千葉県の成田空港近辺にある築22年の木造戸建て。価格はなんと100万円! 不同沈下している問題あり物件だった。

不同沈下(不等沈下)とは、地盤沈下はせずに、建物が傾斜している状態のことです。 地盤が均等に沈下すれば、建物も均一に沈下しますから傾斜は発生しません。しかし、地盤の一部だけが沈下すると建物は不揃いに沈下をおこし、その結果として傾斜してしまうのです。傾いてグチャグチャになった物件でした」

室内に残置物はないが、鳥の死骸があり、庭は猫と犬のふんだらけ。平成築にも関わらず、傾いて異臭を放つ朽ち果てた家だった。

「売主は知識がないのに難しい物件を買ってしまって、持て余している不動産投資家でした。売出価格440万円のところ、30万円で指値をしたところ、一旦は断られました。その後、買い手がつかなかったようで、100万円で購入することができました」

この物件に対して、まさおくんが行った工事は以下の通り。

・朽ち果てたウッドデッキ解体
・床下と外壁周りにコンクリを流し、これ以上の沈下を止める
・アンカーを外しジャッキアップしてスペーサーを入れる
・クロス交換
・畳からフローリングへ
・汚れた床をクッションフロアへ
・洗面台交換
・給湯器の交換、水栓の交換(プロパンガス会社のサービス)
・ウォシュレットとモニター付きインターフォン設置

自分1人で行ったこともあれば、仲間に協力してもらったこともあり、総勢10人がかかわって、施工期間2カ月、費用は120万円で済ませることができた。

「内装は仲間の協力を得ましたが、1トンあるウッドデッキは1人で解体しましたよ。普通は解体・処分だけで20万円くらいかかるところ、1人でハンマーだけでバラしました。そして2トン車を9500円でレンタル、処理費は1トン分1万円、合計2万円で済みました」

登記など初期費用含めて総額240万円。実質利回り40%を達成した。


そのほか、まさおくんが手掛けた難しい築古物件は、「井戸」「汲み取りトイレ」などだ。

○井戸

井戸は浅井戸・深井戸といった種類があり、地域によって水質が変わる。特に鉄分を多く含む地域は水道関係の設備が傷みやすい。地域によっては水道が珍しく、井戸が一般的な場所があり、そういった地域であれば客付に問題はない。

深井戸の修理コストは、ポンプに配管、下にジェットという部品がある。ポンプ交換してもポンプ自体は10万円以下で、ジェットの部品は1万円と思っているほどコストがかかる設備ではない。水道代がかからないので入居者には総じて評判がいい。

注意点をいえば、給湯器が壊れやすくなるのと、インフラなので故障の場合は早急に対応する必要がある。

井戸は思っているほどコストがかからない

○汲み取りトイレ

汲み取りトイレの選択肢は簡易水洗か完全な水洗にするかの2種類。簡易水洗は汲み取りのまま都度水を流す仕組みで、見た目は完全に水洗トイレだが、簡易水洗にすることで汲み取りの回数が増えるため入居者の負担が増える(通常は入居者負担)。そのためコストはかからないが、あまりおすすめはしない。

完全な水洗に変えるときの注意点は以下。

・浄化槽を設置するため約駐車場1台の浄化槽を埋め込むスペースが必要になる。
・浄化槽設置費用、配管、便器などで約60万円の費用がかかる。
・市の補助がでる場合もあれば少ない負担で済む(ただし適用条件あり。自治体によっては投資用では適用しないケースもある)

これまで40万円近く補助金が出たケースもあり、補助金については事前にリサーチしておく方が良い。

初心者はまずは知識を得て、道具の使い方から覚える

費用対効果を見て、どれくらいの期間かかり、賃料、募集時期など計算して、外注を組み合わせていくのがコツ。だからこそ、会社員しながらでもできたという。

「戸建てのDIYは最初大変でも、一回完成してしまえば、あとはほとんど手間がかかりません。またファミリーを対象にできるのもいいですね。ファミリーの入居期間は長く退去が少ないため、安定した経営ができます。ただし、一気に規模拡大をするのは難しいのでスピードを求める人には不向きです」

まさおくんは今後、DIYできる人を全国にたくさん増やして、地域の空き家再生をしていきたいと考えている。現在そのためのWEBサイト・アプリケーションも作成中だとか。

「空き家を甦らせ活用することで、今後の空き家対策になると考えています。困っている地域の皆様に貢献しながら自分も利益をいただいて、笑顔で暮らしていくのが理想ですね」

最後にこれからDIYを取り入れて、不動産投資にとりくみたいと考えている初心者へアドバイスを伺った。

まずは簡単な道具の使い方から覚えることをおすすめします。メジャーを使っての寸法の測り方から、インパクトドライバーなど基本の工具の使い方。そうやって使える工具が増えれば自分の武器が増えていきます。

業者さんに同行して作業を見ることができれば一番いいですが、そうでない場合は自分自身で小さなことからはじめていくのがいいと思います」

いきなり難しいことはせずに、まずはホームセンターにいって道具を選び、自分の家の一部屋のクロス交換からでもやってみるのでもいいそうだ。


まさおくんがDIYした物件Before&Afterを大公開!

○ボロボロのウッドデッキを1人で解体撤去

Before

After

 ○古びた和室を清潔感ある洋室に

Before

After

○傷んだキッチンの床と壁がキレイになった

Before

After

ピーナッツ大家まさおくんのプロフィール

まさおくん

千葉県の郊外におばあちゃんと2人暮らし。空き家再生をコンセプトにした不動産投資を行っている。

所有物件は戸建て15戸。平均実利回りは20%。現在、家賃年収は800万円で、返済比率50%、CF400万円。

ブログ「ピーナッツ大家の『DIOで空家再生しよう!』」
http://ameblo.jp/peanuts-ooya/