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皆さん、こんにちは。岡田のぶゆきです。今回の相談者は、愛知県にお住いの山本修二さんです。これまで貯められた2500万円の資金の運用を考えたとき、不動産投資に興味をもたれたそうです。
昨年の1月から勉強をはじめ、積算重視の投資法で年間のキャッシュフロー600万円を目指されています。
名前 |
山本修二さん(仮名) |
年齢 |
39歳 |
性別 |
男性 |
職業 |
会社員 |
居住地 |
愛知県 |
年収 |
約600万円 |
自己資金 |
1000万円(貯蓄額2500万円) |
Q1.都内の区分マンションを買い進めたいが利回りが低くて心配
A1.まずは土地勘のある愛知でスタートしましょう
ご質問ありがとうございます。山本さんは都内で区分マンションを購入したいそうですが、都内では場所はよくてもキャッシュフローは残りません。
都内で物件を買いたい理由はなんでしょうか。都内は資産価値や入居付において安心だと思われがちですが、新築区分マンションで収益を得るのは難しく、持ち出しになるケースもあります。
中古の区分マンションもご存じのように利回りは低い状況です。競合が多く、土地勘もない都内で買い進める場合、相場より高く買ってしまう可能性も高いのです。
山本さんが自己資金2500万円のうち、不動産投資に使える金額は1000万円とのことですが、キャッシュフロー600万円を叶えるためにも、融資を最大限に使った方が良いでしょう。そうなると、都内の区分マンションで利回り4~6%では足りません。
そこで、まずは今の居住地である愛知でスタートされてみたらいかがでしょうか。融資のつきやすさから考えても、居住地や職場に近い方がおすすめです。自分で調査もしやすいでしょうし、初めての不動産投資であれば、なおさらおすすめです。土地勘、地の利を活かされてはどうでしょう。
また、都内の区分マンションを購入して、その後に自宅を購入するという計画ですが、不動産投資の観点からいえば、おすすめにしくいのが現実です。融資を受けて買うときに、自宅の住宅ローンが賃貸事業の足を引っ張ってしまう可能性もあります。
どうしてもご自宅が欲しいのなら、賃貸に出せる物件を選び、中古物件を購入して価格を抑えるようにするのが良いと思います。
Q2. できるだけ早く完済したいがリスクとのバランスは?
A2.最低目標を見直す必要あり
最低目標として「60歳で借金完済、キャッシュフロー600万円」とされていますが、これは山本さんが思っている以上に高い目標です。60歳までの20年間に返済するとのことですが、達成するためには、かなり高利回りの物件を購入する必要があります。
山本さんの目標を実際に計算してみましょう。キャッシュフロー600万円以上を表面利回り6%で逆算した場合、家賃収入2000万円を得るには3億3000万円くらいの物件を買って保有しなければなりません。これはあまり現実的ではありません。
本来であれば、利回り10%程度の物件を購入するのが現実的だと思いますが、キャッシュフローが赤字、または不意の修繕費が出たときのことを想定すると、20年返済の場合ですとゆとりをもって利回り12%~13%は欲しいところです。
そこで利回り12%で1億6500万円の物件を購入して、20年で完済する目標とします。この場合、どんな物件を購入すればいいのかを考えてみます。
融資期間が20年とれて高利回りの物件というと、平成元年築の一棟RCマンション、1億6500万円で利回り12~13%。地銀で20年間の融資を受けるイメージです。こう考えると、山本さんの最低目標は、一般的にはかなり高い目標だと言えます。
このような条件の物件は、今の市況からいえば都内はもちろん、愛知や京都でも見つけるのが難しいでしょう。
ただし、ここ数年間で不動産価格が下がる可能性もあるため、利回りの高い物件が買える可能性がないとも言えません。
まず、投資エリアを愛知に絞ったうえで、「最低」としている目標の変更を検討されてみてはいかがでしょうか。
地方高利回り物件投資にはそれなりのリスクが伴います。売却価格も下がる可能性がありますし、入居率の維持にも苦戦を強いられるかもしれません。それ以上の目標とするならば、より一層の努力が求められます。
続いて、融資について考えてみましょう。積算重視の投資法は都内にはあまり向きません。積算重視であれば地方の方が叶えやすいですが、借金完済を60歳までとした場合に、積算重視よりも利回り重視でなければ難しいと思います。
愛知県でも名古屋市であれば、投資に積極的な銀行なら融資を出す可能性もありますが、そういった金融機関は借りやすい代わりに、金利が高いです。それに比べて地元の地銀の方が金利は低く抑えられますが、こういった銀行で借りるためには、収益性だけでなく積算を満たす条件の物件を選ぶことが必要です。
結論からいえば、目標を見直して買える物件の幅を広げていくのが良いと思います。もしくは、60歳までではなく、65歳、70歳までに完済する目標であればより叶えやすくなります。
Q3.都内の投資に成功したら愛知や京都でもチャレンジしたい
A3.買い進める順番を逆にして、都内の投資は後回しでもよし
都内の区分マンション経営を軌道に乗せてから、愛知や京都で買い進められたいとのことですが、ご質問の1と2の答えを踏まえると、これは逆の方が行いやすいでしょう。
まず愛知からはじめ、次に京都で不動産を購入する場合、エリアが違えば使える金融機関も異なります。まずはお住まいの愛知で実績を積んでから、京都に分散することでリスク回避にもなります。ここはあえて愛知に集中した方が効率よく買い進めることができるのではないしょうか。
物件を入れ替えて資金を増やすのもやり方のひとつです。タイミングを見て地方の物件を利益が出る形で売却をして、都心の物件価格が下がったときに都内に買うといいかもしれません。
あわせて、お金を増やされることに努めていただきたいと思います。今の相場で利回り10%の物件を買ったとした場合、キャッシュフロー600万円を得るためには2億円程度の物件を購入する必要があります。
2億円の物件を買おうとすれば、自己資金は少なくても2000万円は必要で、もしも融資額が伸びなければ、もっと自己資金を出さないといけません。
そうなると自己資金1000万円では足りません。自己資金2500万円から、使える自己資金を増やした方が可能性は広がります。
現状でお子様がいらっしゃらず年間で可能な貯蓄額は100万円とのことですが、もう少し貯金を増やすことはできないでしょうか。今後はさらに自己資金を厚くしていくべきだと思います。
また、山本さんが不動産投資に使える時間が1週間で12時間とのことですが、物件を買うにも売るにも不動産業者、金融機関との関係が重要になってきます。不動産投資で成功したいのであれば、使える時間を増やすことも課題です。お忙しいでしょうが、どうぞ頑張ってください!
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