こんにちは。デザイナーのみなやまくみこです。
今年の春から企画をしていた地方物件のリノベーション工事が、今月よりスタートしました。場所は富山県富山市、物件は築35年のRCマンションです。こちら16部屋ある中の6部屋をリノベーションします。
部屋によって程度が違い、軽度のものからフルリノベーションまでと幅があります。今回は工事に至るまでのお話しをさせていただきます。
地方物件はまず業者探しから始まる
この物件は、2015年にオーナーチェンジされたそうで、16部屋のうち5部屋が空室でした。比較的安く購入できたため、空室が現在の状況でも利回りが二桁台と好条件だそうです。しかし、さらなる高みを目指し運営したいということで、リノベーション工事を決意された経緯があります。
それにしても春に依頼を受けたリノベーション工事のスタートが、どうしてこんなに遅くなったのか、みなさんは疑問に思われるでしょう。
その第一の原因は、業者探しから始まったことにあります。オーナー様も私も都内在住、残念ながら富山県やその近くに知っている業者がおりません。お付き合いのある業者にも聞いてみましたが、探すことが出来なかったのです。
もちろん現地の管理会社からの見積もりも上がっておりましたが、中身はいわゆる原状回復工事だけの内容でした。こちらの業者が最初の候補の一つでしたが、どうやら原状回復を専門にしている業者で、私のプランに対しても今一つ乗り気ではない印象を受けました。
そこから新たに業者探しが始まりました。まずはネット検索で、数社から見積もりを取ることにしました。選ぶ基準は、その会社のHPサイトで施工事例です。そのほかに以下を参考にしています。
・社歴が10年以上かどうか(私は約30年の業者にお願いするようにしています)
・得意分野、よく手掛けているものが自分に合っているかどうか
・メンテナンス・アフターフォローがしっかりしているか
まずは金額と内容の比較です。以下の内容に対して見積もりをとりました。
・最低限の原状回復工事
・こちらで指定した内容のリノベーション
3社に見積もりをとったところ、比較的簡単に済みそうな1部屋の内装工事に対して、40万~60万円という見積もりがあがりました。高いのはもちろん、安すぎるのも曲者です。それぞれ工事の適正価格がありますから、ここを基準に考えなければいけません。
ただし都内の業者の価格と比較になりませんし、都内よりも高いとなれば逆におかしいですよね。
例えば諸経費に含まれる駐車場代などがわかりやすい例で、地方では駐車スペースや資材置き場に困ることはほとんど無いのですが、都心では普通に駐車場費用がかかってきます。場所によっては1日3000円以上、それが数台となれば、×日数で、結構な金額になるということです。
この段階では、数社に絞っていますので、見積もりの次はメールや電話での対応です。やはり人あっての仕事ですから、意思疎通がうまくできなければいけません。特に距離が離れているというハンデがあるわけですから、かなり重要になります。
今回の金額の差は、それぞれ会社の捉え方の違いです。こちらから指定した内容をきちんと把握しきれていたかったのが原因です。その結果、このような工事をあまり得意としていないというような返事がきました。
最終的に選んだ業者は、他に比べて対応がスムーズだったり、こちらの希望に対しても金額の提示も早かったりと、あらゆる点で優れておりました。
酷いところになると、見積もりに1カ月近くもかかるという業者もありました。そういう業者は除外して考えましたが(笑)そのような経緯がありまして、まずは業者探し、見積もり段階で時間がかかってしまったのです。
例えば、楽待の「大家さんの味方」では、内装リフォームの見積もりが一度に複数社取れるようなので、スムーズに業者を探したいという方は活用してみてもいいかもしれません。
水回りの工事が難しい物件
二つ目の原因としては、リノベーションプランの問題点の発生です。簡単にいえば、構造上、工事が難しい部分や、サイズの問題が出てきたのです。
特に水回りに関して、既存の構造上、規格のバスタブが入らないなどの問題が発生しました。また、洗面室を広げたいと思ってもスペース的に難しく、既存と同じ位のサイズのものでしか交換が出来ないなど、制限がかなりありました。それらの条件を満たすために私も、施工業者の方でも時間がかかってしまいました。
三つめの原因は、金額の調整です。
写真でもわかるように、かなり古い物件ですので、軽度のリノベーションとはいえど、原状回復程度では収まりません。活かせる部分はなるべく利用したプランではありますが、複数戸となるとそこそこの金額になってしまいます。
具体的にいえば、工事を行う6部屋中、2部屋はフルリノベーションですので、設備も総交換になり、180万円~200万円くらいになりました。
金額調整=プラン変更になりますので、ここでも時間がかかり、約3週間伸びてしまいました。
現地調査ではオーナー様、施工業者とチェック!
現場である富山市には2度ほど出向きました。1度目はお話しをいただいてすぐの現地調査で、5月に出向きました。オーナー様と現場で待ち合わせて1部屋ずつ確認していく作業です。
確認してみると、入居者自らリフォームをしたような部屋が2部屋ありました。同じ業者を選んだのかどうかはわかりませんが、どちらもリビングの壁にタイルを張っていました。それは何とか活かす形で使用する予定です。
また、猫を飼っていた部屋に関しては、襖や建具枠がボロボロの状態だったりとそれぞれが全く違うため、こちらも写真や仕様を整理するのも一苦労でした。
現地調査と同時に、オーナー様にはどのようにするのが良いかアドバイスや提案をしながら、見積もり依頼の内容の確認をします。
そこからプランに入り、2度目は7月に施工業者と一緒に見積もり金額の最終調整で現地に伺いました。ここでGOサインを出すことができ、また融資の関係もありまして、今月からの着工という運びになりました。
再度現地へ、3度目の現地調査
10月末より着工、解体が始まりました。今月中に再度現場に足を運ぶ予定です。その理由は最終的に見積もりの内容で対応が出来るかどうかを確認するためです。
リフォームでは、開けてみないとわからないとよく言います。特に古い物件に関しては、想定外のことが起こる確率が高くなります。
見積もり時点である程度想定して金額を出しますが、それでも見きれないことが発生しますので、契約の時点や、私からも見積書を提示する時点でオーナー様には必ず伝えておきます。ありがたいことに、現段階ではそのような話は出てきていないので、ほっとしております。
工期は約2カ月、今年いっぱいの予定です。工事が完了しましたら、またご報告させていただきます。
まとめ
居住地から離れた場所に購入した場合には、距離があり、すぐに駆けつけられないというハンデがあるため、より施工業者とのスムーズな進行が望まれます。普段からなるべく情報を集め、信頼のできる業者を探しておきましょう。
業者を見つける方法は、できれば紹介が望ましいです。一般的には管理会社からの紹介。それ以外では、同じエリアに物件を所有する先輩大家さんから紹介も、良い業者さんを知るチャンスでもあります。
紹介で良い業者に恵まれない場合は、インターネットから探していきます。その際にもっとも重視するのは、金額ではなく対応やソフトな部分で、今後もお付き合いが発生することを踏まえて選びましょう。
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