
写真© NOBU-Fotolia
楽待新聞読者のみなさん、はじめまして。白岩貢と申します。
コラム第1回目ということで、まずは自己紹介から。
私は父から相続したアパートと自分で企画した物件も含めて、世田谷・目黒を中心にアパート6棟61室と貸家4軒を所有する大家です。その傍ら、大家さんと大家さん志望の方を対象とした勉強会を主宰し、アパートづくりのサポートをしています。
株で破産、夜逃げ……不動産投資へのきっかけは相続
私が大家になったきっかけは相続です。
14年前に生まれ育った世田谷区にアパートを3棟。そのほかに神奈川県川崎市多摩区に約89坪の土地を姉と相続しました。
そこに至るまでのエピソードとして、私が株で破産して夜逃げをしたり、相続時には親族間で血肉の争いが起こったり(今でも続いています)、様々なことがありましたが、その話はまた改めて紹介したいと思います。
私の大きな転機となったのは2002年、神奈川県川崎市の土地に自分のプランニングでアパートを建てたことです。当時、多くのアパートメーカーをまわり、今ほど多くはありませんが投資家向けの勉強会やセミナーにも参加して、片っ端から「アパート投資」について学びました。
その結論として、誰かを頼るのではなくて自分自身で「オンリーワンのアパートをつくる!」ということを選びました。
というのも、私の父は腕の良い大工職人で工務店を経営していました。工事現場は幼いころから私の遊び場でしたし、専門的な勉強はしたことはありませんが、日本古来の木造軸組み工法は私がよく知るものだったのです。
激戦エリアでも負けない物件づくりとは!?
川崎の土地は父の経営する工務店の資材置き場だった土地で、賃貸ニーズを見越して購入された土地ではありません。
川崎の郊外にあり周辺に大学はあるものの、地主の建てるメーカー製アパートも多く建つ激戦エリアでもありました。そんな地域に斬新なデザインの吹き抜けアパートを新築しました。よくある狭小アパートではありません。30平米以上の広さがあり、カップルでも住める社会人向けの住居です。
また、斬新なデザインといっても見た目ばかりが尖った住みにくい部屋ではありません。入居者に選ばれるための工夫を随所にちりばめました。
そしてその翌年、私のホームタウンであり、若者が憧れる世田谷・目黒の好立地に、同じくカップル向けに、33平米の吹き抜けアパートを新築しました。

世田谷にて土地から探してプランニングした2棟目のアパート

カップル向けにデザインした33平米の部屋
この物件は、私が土地から探し出した、不動産投資としての1棟目の物件です。
これまでにないオシャレで住みやすい新築アパートということで、相場よりも高い家賃にも関わらず、あっという間に満室になりました。
この2棟の経験を経て、私は「地主でなくても新築アパートはできる」と確信を持ちました。
その後、大家仲間やセミナーなどで知り合った投資家に自身のアパートの話をしたところ、「ぜひ、建てたい」「新築アパートを学びたい」と多くの声をいただき、2005年にサラリーマン投資家を対象とした勉強会をスタートさせました。
今でこそ、新築アパートは融資も付きやすく、手軽に購入できる初心者向けの投資と位置付けられていますが、当時はサラリーマンが都内、それも城南地域で新築アパートを持つのは、夢のまた夢……と考えられていた時代です。そして、私の仲間である勉強会のメンバーさんたちが次々と夢を実現しました。
立地選びに妥協しない! ブランド立地は揺るがない
私がはじめて手がけたアパートも築10年を超えましたが高稼動を続けています。これは絶対の自信があり、今でも全く心配はありません。ただし、景気とともに不動産価格が高騰しだしてからは、同じ手法を続けるのが難しくなりました。
そこで、新しい投資ターゲットとして賃貸併用住宅とシェアハウスのプランを考えました。
そもそも私のこだわりは立地です。それも「東京でも絶対的に需要のあるブランド立地で、アパート経営をすべき!」という理念でやってきました。これは決して、理想論ではありません。というのも一時期進出した地方投資での失敗を経験したうえでの結論だからです。
つまり、立地に妥協をせずに収支の合う賃貸経営をつきつめた結果が、賃貸併用住宅とシェアハウスだったのです。とくに女性専用のシェアハウスでは、バックひとつで簡単に引越しをする「新しい住まい方」に着目しました。ここでも立地が重要で、世田谷・目黒のみならず、さらにより良い立地として渋谷へと進出していきました。
女性向けシェアハウスは時流に乗ったのですが、またたくまにライバルも増えました。
競争力では他にはひけをとりませんが、アベノミクス以降、都内の土地価格が上がり過ぎました。昔の良さを知っている分、低収益では納得できず、かといって「厳選した立地・建物」に対する、こだわりを捨てきることもできずに悶々と悩みました。
次のターゲットは旅行者……民泊は無法状態
そんなときに出会ったのが「民泊」です。シェアハウスはバック一つで引っ越す女性が対象ですが、旅行者もバック一つで数日の滞在をします。外国人相手と考えると構えてしまう方も多いでしょうが、根本的なところでは同じです。
良い立地に居心地の良い部屋を提供することです。アパートであっても宿であっても大切なのはどれだけ稼働するかです。
こうして私は「民泊」に注目したのですが、ここで大きな壁となるのがコンプライアンスの問題でした。民泊については後々解説していきますが、簡単にいってしまえば、今も法整備を行っている最中であり、私が民泊を知った2015年はまだまだ無法状態でした。
そんな中で、私が行ったのは旅館業の一種である「簡易宿所営業」の許可を得るという正攻法でした。次回からは民泊の基本と私が行っている簡易宿所についてテーマにしていきたいと思います。
プロフィール画像を登録