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みなさん、こんにちは! 不動産投資専門税理士の叶です。
お金を残す不動産投資コラム。今回は、平成28年12月8日に発表された平成29年度税制改正大綱から、最新の税制改正について、不動産投資に影響があるものを中心に解説します。
配偶者控除、見直し決定!
こちらは昨年から改正されると噂になっていた項目で、今回実際に改正されることとなりました。
現行では、配偶者の所得条件に合致すれば、本人がいくら稼いでいても、適用できていた配偶者控除、そして配偶者特別控除が、本人の所得が一定額を超えると適用できなくなりました。
(1)配偶者控除額(合計所得金額1000万円超は適用なし)
(2)配偶者特別控除額(合計所得金額1000万円超は適用なし)
例えば、夫には合計所得1000万円超の所得があるとします。その夫が自分名義で物件を購入すると税金が高くなるので、法人で物件を購入。そして奥さんにも法人の役員になってもらって、お給料を年額100万円払っているとしましょう。
すると、奥さんの合計所得は、給与所得控除65万円を差し引いた35万円になり、今までなら無条件で配偶者控除38万円を控除できていましたが、この改正により、夫の合計所得が既に1000万円を超えているので、平成30年以降は配偶者控除を適用できなくなるんですね。
したがって、夫の所得が高いケースでは、法人化のメリットである所得分散による節税効果が薄れてしまうことになります。
海外移住での節税に網!
こちらは前回のコラムでも取り上げた、海外移住者による相続税・贈与税の節税対策に網が掛かりました。
現行は次の表の通りで、財産を渡す方も、もらう方も5年を超えて国内に居住していない場合に限り、国外財産については課税されません。
しかし、今回の改正では、財産を渡す方も、もらう方も10年を超えて国内に居住していない場合に限り、国外財産については課税しないこととなり、なんと年数が倍に伸びてしまいました。
この改正により、富裕層の相続税・贈与税の節税対策は、さらに厳しくなりましたね。
タワマン節税法の改正!
相続税対策として有効な不動産の所有。
なぜ有効かというと、財産を現預金で持っていると、その金額がそのまま相続財産になるのですが、それが不動産になると、土地は相続税路線価で、そして建物は固定資産税評価額で評価されるので、現預金よりも相続財産としての金額が下がることになるからです。
さらにその物件を人に貸していると、その土地や建物は所有者が自由に使うことができないので、さらに評価減されます。
そしてタワーマンションの場合、実際の価格は低層階と高層階で異なるのに、相続税評価額としては、間取りが一緒であれば、低層階でも高層階でも変わらなくなるわけです。
この税制の歪みをついたのがタワマン節税で、最近よく使われるようになった相続税の節税方法です。
この歪みのポイントは、建物が固定資産税評価額で評価されるという点!
そして、今回の改正ではこの歪みを是正する内容となりました。
高さ60mの建築物は、建築物全体の固定資産税額を按分する床面積の割合について、1Fを100とし1階増すごとに10/39を加えた係数とする。
要するに、高層階になれば、固定資産税評価額も高くなるわけです。
こちらは、平成30年度から新たに課税される建築物が対象となります。ただ、この改正による相続税の影響は数十万円から高く数百万程度。
したがって、億万長者の富裕層にとっては、それほど大きな金額でありませんので、現在のタワマン節税が抑制されるまではいかないかもしれません。
以上、不動産に影響のありそうな3つの改正を紹介しましたが、税制改正はこれからの投資の方向性を考える上で、一つの重要な材料となりますので、しっかりと把握するようにして下さいね。
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