写真© Paylessimages-Fotolia

この度、ご縁があり特集コラムを執筆させて頂くことになりました「鑑定士×投資家」です。現在、東証一部上場メーカーに勤務している不動産鑑定士で、サラリーマンと不動産投資家という二足のわらじを履いて日々奮闘しています。

僕のようにサラリーマンをしながら不動産投資をされている方も多いと思います。

就業時間中に銀行や管理会社から緊急の電話が鳴ったりと、大変なことは枚挙にいとまがありません。しかし、将来は不動産投資をメインでやっていきたいという強い想いもあり、悪戦苦闘しながらも割り切ってサラリーマンを続けているというのが正直なところです。

さて、僕が不動産投資を志したきっかけですが、不動産鑑定士ということもあり、仕事上で不動産が身近にあったことが挙げられます。

不動産鑑定業者で丁稚奉公をしていたときの面白いエピソードがあります。ある資産家からご自宅の鑑定評価を依頼され、僕が担当することになったことがありました。その方からこんなことを言われたのです。

「一般的には不動産への投資はあくまで攻めのイメージだけど、私の場合、不動産投資は『守り』いう位置づけ。攻めは別にある本業のビジネスで、そこで得た利益(お金)を不動産に向けている。古今東西、世の金持ちは100%不動産をやっている。君も金持ちになりたいなら不動産へ投資することをお勧めするよ」と。

このアドバイスが僕の不動産投資への直接の契機となっています。この方は欧米人を相手にビジネス(小売業)を始めて一代で財を成した知る人ぞ知る著名人です。

現在はビジネスからは一線を退かれ、ご自身の保有不動産の管理を悠々自適にされています。まるで「金持ち父さん貧乏父さん」のストーリーのようですが実話です。

この資産家をはじめ、他の資産家、富裕層の方々の殆どが不動産へ投資していたことを鑑定事務所勤務時代に学べたことは、僕の人生にとって大きな収穫でした。

受けた融資の全てがフルorオーバーローン!!

僕が不動産投資を開始したのは2013年の秋頃です。アベノミクスの余波を受け、不動産価格が徐々に上がっている中でのスタートでした。

2013年の11月にRC一棟を取得したのを皮切りに、その後も積極的に取得を続け、現在、RC一棟物を中心に14棟(約200戸)を所有しています。投資金額は約7億円、満室時家賃収入は約1.1億円、平均の表面利回りは約16%です。

手前味噌になりますが、ここ数年の不動産マーケットを鑑みますと、好条件で物件を取得できていると思っています。所有不動産の概要、購入時のスペック等は次の通りです。


投資実績

比較的高利回りで取得していますが、一つとして楽に取得している物件はありません。競合相手との壮絶な情報戦・争奪戦に勝利し、ギリギリのところで銀行融資を付けて物件を取得しているものばかりです。

保有物件の取得エピソードを幾つか簡単にご紹介します。

○与えられた時間は2週間!? ~関東物件(No.5)の場合~

懇意にしている仲介業者からの紹介でした。僕だけへの紹介で完全な水面下案件でしたが、与えられた時間は2週間。2週間以内に融資を獲得できないと他者へ流れてしまうと言う物件です。

融資枠を2億円ほど獲得している地方銀行に案件を持ち込み、優秀な担当者に2週間で本店決裁を取ってもらって何とか購入に至った物件です。

関東物件(No.5)

 

全32戸(70平米超のファミリータイプ)のマンションで購入当時は1/3ほど空いていましたが、管理会社の協力もあり、半年ほどで満室になりました。現時点でも満室状態をキープしており、潤沢なキャッシュフローを生んでくれています。

○戦略的に1000万円もの買い上がり~四国案件(No.8)の場合~

最初に取得した物件(No.1)の客付営業をしていたときに知り合った不動産業者からの紹介です。

当初、6000万円(利回り:20%超)という話でしたが、買付が殺到していたらしいので、僕は「7000万円に買い上がります。融資は必ず付けますので、即契約締結するよう売主を説得して下さい」とお願いし、何とか取得できた物件です。

売り・買いの業者同士が高校の同級生で友人であったということも成約に至った大きな要因です(これは想定外の幸運でした)。 

この物件も高利回りですが、利回りが高いということには必ず理由があります。

この物件の購入時の稼働率は20%程で、はほとんどリフォームをしたことがないという物件でした。購入後2カ月近くかけて20部屋をフルリフォーム、積極的な客付営業を展開したことにより、現在の稼働率は80%に上昇、2月の繁忙期には満室になると思います。


物件購入における「こだわり条件」は?

それでは、僕がどのような条件で不動産投資を実践しているかご紹介します。

○投資スタンス

まず、僕の保有物件に共通する特徴ですが、全てフルローン・オーバーローンで銀行融資を受けて取得していることです。投資初期は自己資金が800万円ほどと、希望する物件価格の割に乏しかったので、諸費用込のオーバーローンで融資を引くことに徹底的にこだわりました。

一般的に諸費用は物件価格の7%~10%ほど掛かるため、投資初期に自己資金をこれに充ててしまうと、回収期間に数年を要することになってしまいますので買い進めるためには非効率だと考えています。

今でこそ、それなりにキャッシュフローが潤沢になり始めて、敢えてオーバーローンは引かないという選択肢を採ることができますが、当時は少ない自己資金でやり繰りしなければならなかったため、オーバーローンは必須という状況でした。

○投資エリア

投資エリアについては、基本的に全国を対象としていますが、以下の要件を満たすことを条件としています。

A)   満室経営が可能であること(需給バランスが壊れていない)

B)   融資してくれる金融機関があること

Aについては、購入前に徹底的に調査します。鑑定業者勤務時代に不動産調査の基本を叩き込まれたので、これを基にエリアの需給バランス、対象不動産の競争力等を念入りに調べます。

Bについては、不動産投資は基本的に「金融機関ありき」の商売だと考えていますので、その地域で自分に融資してくれる金融機関があるのか? ということを念頭に置いています。

どうしても自分には買えないエリアや不動産があります。買えない不動産に時間を割くのは無駄ですので、金融機関の融資エリアを含めた融資基準等を常に把握しておくことが不動産投資家としての生命線だと思っています。

○融資銀行及び借入条件

現在、融資して頂いている金融機関は、メガバンクをはじめ、第一地方銀行、第二地方銀行、政府系金融機関の計6つの金融機関です。金融機関との取引数は多ければ多いほど良いと考えていますので、今後は10、20と増やして行きたいと考えています。

加えて、現在の借入条件ですが、融資期間は法定耐用年数(RC造であれば47年)起算の残存年数、金利は0.8%~2.3%(平均1%台前半)といったところです。

ご参考までに、僕の全資産の返済比率(満室家賃収入に占める銀行返済額の割合)は40%未満です。

家賃年収1億円は、誰でも達成できる!?

不動産投資を志した当初は「自分の年収(600万円)くらいのキャッシュフローがあれば良いな」といったイメージでしたが、今はそれ以上、当時の自分では想像もできなかった規模となっています(いつでもサラリーマンをリタイア出来る状態です)。

ただし、家賃年収1億円という一つの目標はクリアしましたが、これはあくまで通過点、不動産投資家として本当の意味でスタートラインに立った、くらいにしか捉えていません。

家賃年収1億円に到達して思うことがあります。家賃年収1億円程度は誰でも到達可能であるということです。ましてや高属性の方や自己資金を多くお持ちの方であれば、一瞬で到達できるレベルだと思っています。

しかし、僕の場合は不動産を購入すること(=大家さんになること)を目的としていません。不動産投資という手段を用いて「儲けること」を目的としており、今後もブレることなく積極的に不動産投資を継続・加速させていくつもりです。

次回以降は、金融機関との付き合い方を中心にお伝えしていきます。