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皆さん、こんにちは。岡田のぶゆきです。2017年もどうぞ宜しくお願いいたします。
今回の相談者は、熊本県にお住いの真田浩一さんです。公務員の真田さんは、定年まで残すところ1年。退職後は不動産賃貸業をはじめてみたいと勉強されてきましたが、融資期間の短さや物件選びにおいて悩まれています。
名前 |
真田浩一さん(仮名) |
年齢 |
59歳 |
性別 |
男性 |
職業 |
公務員 |
居住地 |
熊本県 |
年収 |
約800万円(世帯年収1200万円) |
自己資金 |
500万円 |
Q1.弁済期間を長くすることは可能か?
A1.自宅を担保に入れるか、息子さんの協力を得て法人を設立する
ご質問ありがとうございます。定年まで残り1年となるため融資期間が短いとのこと。真田さんの世帯年収は1200万円あり、いわゆる高属性です。融資が厳しいのは、もしかして、お住まいが地方というのが影響しているかもしれません。
ここ数年はサラリーマン・公務員に対して融資が借りやすい状況ですが、地方の金融機関では、まだまだ不動産投資に対する理解が広がっていないところがあります。地方では今でも相続による賃貸経営が一般的なのも原因のひとつです。
住宅ローンについては、あと300万円ということですが、残債が減っていたとしても抵当権がついているためハンデになります。融資を受けて拡大していくのであれば、残債300万円を速やかに返済して、自宅を担保に入れるのも選択肢です。
しかし、融資の可能性が広がる反面、残債を返すことで自己資金が減ってしまうデメリットもあります。金融機関が協力的でなく、ご自身の現金でやっていくのであれば、ローンは全て返済せず、現金を残しておく方がよいです。それを判断するためにも、ご自身で金融機関をまわってヒアリングを行ってみましょう。
もうひとつの方法は法人をつくることです。真田さんの場合なら、息子さんの協力を得られないでしょうか。まだ若くても父親と同じ公務員であれば、保証人として申し分ありません。
とはいえ、真田さんはまだお勤めがありますから、法人の社長を担うのは難しいでしょう。そこで奥様に会社の代表者になってもらい、息子さんを役員として迎え入れて株を持たせるのです。そして、息子さんと真田さんご自身が連帯保証人となります。
法人名義で購入するのがいいのか、個人名義で購入すればいいのかについても、やはり金融機関の判断が必要です。これも金融機関に相談をしてみてください。法人は定年がありませんから、理論上は何歳になっても融資が受けられます。
最終的に、たとえ長期間融資が受けられなくても、今の属性があるうちに融資を受けておき、収支の合う高利回り物件を買えればいいと思います。融資期間が15年程度であればリフォームローンでもかまいません。ある程度は手間がかかったとしても、収益性の高い物件を購入することが大切です。
Q2. 高齢でスタートした場合の注意点は?
A2.相続を意識する、攻め派か安定派なのかにより投資手法を変える
年齢が高い場合は、投資物件を保有した後のことまで考えた方がよいでしょう。具体的にいえば、相続人のことも考えて、いつでも物件を売却できることを意識しておきます。相続の準備として、法人化しておくのもひとつの選択肢です。
また、相続の観点から物件選びを考えたときは、先ほどのご質問で「手間のかかっても収益性の高い物件を買い進めた方がいい」と回答したのと矛盾してしまいますが、長いスパンで考えて資産を残すというよりは、早めに利益を確定できる物件が理想的だと思います。
真田さんの場合は不動産投資に使える自己資金が500万円で、目指される規模が年間キャッシュフロー1000万円とのことですが、今の世帯年収で得られる1200万円が、あと1年しか続かないのであれば、自己資金500万円で1000万円のキャッシュフローを得るのは難しいであろうと想像します。
安定志向で進められることをお望みなら、目指す規模をもう少し小さくしてみてはいかがでしょうか。もしくは、目標を達成する期間を長めに設定します。
そうではなくて短期間で1000万円のキャッシュフローを目指されるならば、不動産投資に注力して、積極的に売買するなど攻めの姿勢が必要です。それができないようでしたら目指す規模を検討し直すことをお勧めします。
Q3. 取り組みやすい不動産は?
A3. 郊外にある高収益が狙える物件
安く買えて収益率が高い物件……たとえば郊外にあって空室率の高い築古物件などです。買った後に手をかけて埋めて高収益化していくことを目指します。さらに、その物件を売って利益を出し、その現金を元にして規模を拡大していくことが前提となります。
息子さんの協力が得られるのなら、息子さんの年齢の若さと属性の良さ(公務員)をフルに発揮して、長期ローンを組むことを前提した物件を選ばれるのもいいでしょう。この場合は、中古の1棟RCマンションで、なるべく築年数が浅い物件を、息子さんの名義で融資を受けるのです。
今は年収が低かったとしても、安定的な公務員ですから強い属性です。フルローンで長期間、低金利といった有利な条件で引ける可能性は大いに考えられます。この場合はレバレッジをきかせた投資となるため、しっかり賃貸ニーズのある物件を精査しましょう。
もうひとつはご自宅を売って自己資金をつくった上で、息子さんに協力いただいて大きな物件を買います。そうやって、ご自宅を区分マンションから1棟物件に買い替えて、その1室に住むのです。
息子さんも社会人として立派に独立されているわけですし、ご夫婦2人暮らしなら広い住居にこだわることもありません。このやり方であれば、自己資金も増えてローンも組みやすくなると考えられます。
最後に、年間の可能貯金が350万円とのことですが、これは定年までの1年限定なのか、それとも奥様に収入があって、それを何年かはキープできるのでしょうか。
また定年退職時にどれくらいの退職金が得られるのか。その中から不動産投資に使えるのはいくらなのかをご家族で話し合ってください。可能ならば自己資金は500万円以上用意できた方がよいでしょう。
真田さんのように定年間際の方であれば、息子さんがどれくらい協力的なのかによって選択肢も変わります。くわえていえば、堅実な物件は利益がさほど高くなく、儲かる物件になるほど、それなりにリスクを引き受ける必要があります。
そのため、自分はどの程度の利益が欲しいのか、どれくらいのリスクが許容できるのかを考えてみましょう。その上で目標を見直して、投資手法を決めていくのが良いのかと思います。方向性が決まったら、絞って勉強された方が効率もいいでしょう。
息子さんも投資に対して積極的になれば、金融機関とのやりとりをする場面もが出てきます。そのためには勉強が必要です。いずれにしても息子さんは不動産という財産を、親から引き継ぐのですから、「親の言われるままにやっただけ」というよりは、本人も事業者としての自覚を持っていただきたいと願います。
息子さんの将来にもつながることなので、どうかご家族で協力し、十分に話し合うことをお勧めします。家族で協力体制をとることにより、融資の問題は解決できるように思います。どうか、頑張ってください!
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