舛添1月_yayoicho-Fotolia

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皆さんはどのような物件がほしいですか?

立地が良くて、築浅で、お手頃価格で……条件を言い出すときりがないのですよね! 私もそんな好条件の物件があったら絶対に買いたいです。

しかし、今は不動産投資ブーム。そもそもそんな良い物件はなかなか出てきません。出たとしても、とたんに売れてしまうし、市場に出てこない川上物件として投資家さんがサラッと購入してしまうので、私のような零細主婦大家のところには回ってこない場合がほとんどです。

空き家800万戸あるのに、お手頃な物件がない!!

全国には空き家が820万戸と言われています。平成25年の総務省統計局によると、総住宅数は6063万戸で、5年前と比較すると304万戸の増加、増加率は5.3%となりました。

そんな中、空き家は5年前に比べて63万戸、8.3%増加しました。空き家率は平成10年にはじめて1割を超えて11.5%となり、平成25年には13.5%と空き家数・空き家率共に過去最高となりました。

こんなに空き家がたくさんあるのに立地の良いお手頃な物件があまりないのは不思議な話ですよね。

その空き家820万戸のオーナー達が一斉に売却に出してくれたら、私好みの優良物件が選びたい放題! 買いたい放題! になって、どんなに良いだろうな~って思うんですが、なかなかそういうわけにはいきません。それは何故なんでしょう?


空き家のオーナーが物件を手放さないわけは?

私が不動産投資を始めたのがちょうど5年前のことです。この5年間でたくさんの物件を見て買い付けを入れてきました。

5年前までは、まだそこまで物件価格が上昇していたわけではなく、立地が良くても古いとか道路付けが悪いとかを理由に売れ残っている物件がたくさんありました。

当時の立地が良くて比較的新しくお手頃な物件なんてそうそうなかったので、当時の私の買い方は、少し難のある物件を売れ残るまで待って更に指値(価格交渉)をしてお安く譲っていただくという手法でした。このやり方で5年間で取得した物件は全部で10戸です。

その中でもオーナーチェンジと言って、入居者付きで売りに出ていた物件を購入したのはたったの1戸なのです。

しかも、そのオーナーチェンジ物件は不動産投資家が所有していた物件ではなく、一般の方が以前住んでいた物件をたまたま賃貸されていた物件の売却でしたので、私の所有物件はすべて投資家以外の方から購入したことになります

そこで気づいたのは、一般の方は、物件が古くなるにつれて「こんな物件には価値がない」と思い込みがちだということです。私に言わせると、こんなに素敵な物件はないとテンションが上がって仕方ないのに、一般の方とは価値観がずいぶん違うなと感じました。

売主さんがこうした考えを持つ一般の方であれば、指値も通りやすい場合があります。これまで私が購入してきた物件の中で、一番大幅な指値ができたのは580万円の物件を360万円で購入したときです。

この物件は2014年に購入しましたので、東京オリンピックが決まり、不動産価格が上昇している中での最大指値幅でした。築45年と古い物件ではありますが、立地が良かったので他で買い付けも入っていたそうです。

ここまで値下げしなくても売却できたはずなのに、売主様は数多くの購入希望者の中から私を選び、しかも220万円もの指値に応じてくれたのです。なぜ、このような大幅な指値が通ったのでしょうか?

一般人が手放す物件、投資家が手放す物件の違い

一般の方と投資家の大きな違いは、それぞれが物件に対して抱いている「想い」の差にあるのではないかと思います。一般の方は、これまで長年住んできた思い出のご自宅を「投資目的で買いたたかれる」ことを嫌がるのです。

かつて、私の所有する区分マンションの理事長さんとマンションの共用部分である玄関ドアの修繕について話し合ったときに、つい「将来売却するときのことを考えて高く売れるような修繕にしましょう」と言ってしまったときのことです。

いつも温厚だった理事長さんが「私はあんたら投資家とは違うんだ! 家を売る気はない! 死ぬまで住む!」と、ものすごい剣幕で怒ってしまったことがありました。その時は本当にびっくりしました。

でも、それと同時に、もし私が理事長さんの立場だったらと考えると、家でも何でも、自分が大事にしていたものをその人の儲けのために利用されるなんて考えただけでも腹立たしいことだと思いました。

ですので、820万戸の空き家のオーナーさん達の中には「どうせ投資家に買いたたかれるだけ」「そんな古い物件なんて売れるはずがない」「今後住む予定はないけれども思い入れがあるので何となく手放せない」という思いで、その物件から目を背けていらっしゃる方がたくさんいらっしゃると思います。

私の買い方は、そんなオーナーさん達の心を開いて頂き、気持ちよく売却できるように最善を尽くします。

例えば、私も投資家ですが「儲けようという気持ちでやっているのではない」ということを仲介業者さんから売主様に伝えていただきます。その細かい交渉術等はここで話すと長くなってしまいますので、割愛しますが、また、機会がございましたらゆっくりお話しさせていただきますね。

最後までお読みいただきありがとうございます。

○出典元:総務省統計局 – 統計からみた我が国の住宅(「平成25年住宅・土地統計調査(確報集計)」の結果から)
http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/topics/topi86.htm