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こんにちは。鑑定士×投資家です。今日もコラムをご覧下さり、ありがとうございます。今回は「金融機関の開拓方法」についてご紹介したいと思います。

不動産投資は金融機関の融資があってこその商売だと思いますので、不動産投資家として、どのように金融機関を開拓し、どのように融資獲得をしていけば良いのか、という戦略を立てることは非常に大切なことだと捉えています。

融資については、いつの時代も様々な情報が錯綜しますし、都市伝説的なものもありますので、ここでは原理原則を押さえつつ、自らの実体験を踏まえた金融機関開拓方法をご紹介します。

金融機関に入っていく方法については大きく2つの方法があります。

(1)他者からの紹介

(2)自分で新規開拓

(1)については、不動産会社や大家仲間の知人等を介して金融機関に入れるので非常にスムーズです。紹介者の信用力を借りることができるので、最初から然るべき立場の方(支店長や融資課長)が応対してくれることもあります。

紹介してくれる知人等がいるのであれば、紹介で入っていった方が良いのは言うまでもありません。

しかし、紹介でないと融資が引けないのか? というと、そんなことはありません。紹介ルートがなければ、(2)のように自分で金融機関を開拓すれば良いのです。特に、投資初期で知人がいない場合、縁もゆかりもない地方物件を狙う場合等は、自分で金融機関を開拓する必要に迫られます。

地方銀行の開拓の難しさ

かく言う僕も投資初期は誰も知り合いがおらず、かつ、地方物件ばかり狙っていましたので、いつも融資の壁にぶち当たっていました。不動産投資を始めた当初は、当然ながら紹介ルートなど1つもありませんでしたので、自ら金融機関に電話して開拓するしか方法がありませんでした。

不動産投資開始2カ月ほどで金融機関30行以上、支店ベースで100店以上にアタックしていたと思います。投資を開始してから今日までの約3年間で換算すると、60行以上、300店以上に及びます。メガバンク、地方銀行、政府系金融機関、信用金庫、信用組合、ノンバンクなど、対象は様々です。

地方銀行の存在意義は「地域企業や地域住民への貢献」ですので(当然ながら縁もゆかりもない僕のような投資家は)「一見さん、遠隔地の方お断り」というのが基本的なスタンスです。融資申込者も物件も支店所在エリアに含まれていないと貸してくれません。

幾重にも銀行アタックをしては断られるということを繰り返し、心折れることもありましたが、行動していると不思議なものでミラクルが起こることもあります。

これまで僕がやってきた銀行アタック、融資獲得の道のりをご紹介したいと思います。


鑑定士×投資家の融資獲得の道のり

前回のコラムでもご紹介しましたが、現在僕が保有する不動産は下記のとおりです。各保有不動産について融資を獲得した6つの金融機関及びルートを追記しています。

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○メガバンクA(物件NO.1)

物件紹介を受けた業者からメガバンクAの担当者を紹介してもらいました。担当者が非常に優秀ということもあり、融資承認までトントン拍子で進みました。

1棟目からメガバンクの融資を受けて不動産投資を始めることが出来たのは幸運でした。後々分かったことですが、2棟目以降の金融機関の印象が違いました。

メガバンクの金利等の融資条件は他の金融機関と比べると格段に良いですが、一方、メガバンクは客を選びますので敷居が高い銀行といえるかも知れません。

○地銀B(物件NO.2)

物件所在地にある地銀Bを自己開拓しました。購入には至りませんでしたが1億円弱の物件を持ち込みフルローン承認が出たことが過去にありましたので、NO.2物件は問題なく融資が出るだろうと持ち込みました。

NO.2物件は積算価格が6000万円もあるお宝物件でしたので、2000万円の売買価格に対し、諸経費+修繕費用として1000万円を上乗せした3000万円のオーバーローンで承認を得ました。

しかしながら、3000万円を借りたものの、比較的築が浅いRC物件でしたので(大規模修繕費は不要と判明)、すぐに700万円は繰上げ返済しました。したがって、物件NO.2は、購入諸経費300万円だけを上乗せしたオーバーローンということになります。

○地銀C(物件NO.3・4・5・9)

自己開拓した僕のメインバンクです。地銀Cとの出会いはドラマチックなものでした。

物件NO.3は間違いなくフルローン以上が出る物件だと思っていました。しかしながら、地方銀行の壁なのか、僕の属性に問題があるのか、どこの銀行に持ち込んでも良い返事は得られませんでした。

路頭に迷った僕は、物件所在地の隣県にある地銀Cの支店(a支店、b支店、c支店)にアポを入れてダメ元でアタックすることにしました。

[a支店]
営業基盤となる某県内の中核店です。融資相談に出向きましたが、「東京在住の方への融資はできません」とあっさり門前払いされました。

[b支店]
新幹線停車駅の近くにある比較的新しい支店です。ここの担当者にも「良い物件であることは間違いないので一応検討はさせて頂きますが、県外の方への融資は前例がないので……」といった遠回しのお断り回答

[c支店]
市役所内にある行員3名の小さな支店。a支店、b支店に断られて意気消沈して、一応アポを取ったから行ってみるかという程度でした。

まったく期待していなかったc支店ですが……ここでミラクルが起きたのです! この支店では、支店長が応対してくださいました。そのときの会話です(物件資料、属性資料を見ながら僕に質問をしてきます)。

支店長:「良い物件ですね、積算も収益性も問題ない。他の金融機関も回られたんですか?」

僕  :「他の銀行も回りました。御行の他支店にも相談に行きましたが、県外者ということで断られてしまいました」

支店長:「経歴書を拝見しましたが、鑑定士×投資家さんは○○大学のご出身なんですか? 実は私も同大学の出身なんですよ」

僕  :「はい。○○大学の出身で△△ゼミです」

支店長:「△△先生の△△ゼミですか? 私も△△ゼミです! 奇遇ですね~。大学の後輩をこのままお返しする訳にはいきませんね……。しかし、残念ながらc支店は融資を実行できない支店なんですよ。融資相談であればa支店が良いと思いますよ。a支店には行きましたか?」

僕  :「a支店にも伺いましたが、断られてしまいました」

支店長:「対応した者の名前は分かりますか?」

僕  :「Mさんという方です」

支店長:「Mじゃダメだな。a支店の支店長と優秀な担当者をご紹介しましょう。電話しておきますので、もう一度相談してみてください」

僕  :「ありがとうございます! もう一度伺ってみます」

その後、a支店に戻り、支店長と別の担当者と面談をして、正式に融資審査をお願いしました。2週間後、無事に諸費用込のオーバーローンの融資承認が下りました。まさに急転直下のミラクルが起こったのです。

後から担当者に聞いたことですが、a支店の支店長は執行役員で不動産融資に積極的な剛腕支店長であることをこっそり教えてもらいました。その後、担当者の快進撃が続き、地銀Cから4億円近い融資を獲得することとなるわけです。

愚直に実践・行動していると、このようなミラクルが起こるので不思議なものです。この出会いを契機に僕の不動産投資人生が好転したのは言うまでもありません。


○地銀D(物件NO.6)

物件所在エリアが北海道ということもあり、融資付に苦労した物件です。物件を紹介してくれた業者には「既に融資枠を確保している銀行があるので、融資は問題ない」と言い切って物件をグリップしましたが、そんな当てはありませんでした。

1棟目の融資先であるメガバンクAから「支店がない」という理由で断られ、他のメガバンクには「物件の評価が出ない」と断られ、地元の地銀にも持ち込みましたが「遠隔者は対象外」と断られてしまって八方塞がりの状況でした

そこで、懇意にしている投資家Kさんに相談したところ、地銀Dなら紹介できるということでしたので、地銀Dのある支店を紹介してもらいました(実はこの地銀D、Kさんに紹介してもらう前に、別の支店に持ち込んで「フルローンは無理、頭金3割が必要」と既に断られていました)。

別の支店で断られているので半信半疑で持ち込みましたが……支店が変われば別の銀行ですね。積極的な支店、かつ、優秀な担当者だったので直ぐに融資承認が下りました。投資家Kさんに非常に感謝した事例です。

○地銀E(物件NO.7)

築古の物件(築37年)で融資付に苦労しました。法定耐用年数超の融資を受ける必要があるので融資付に一番時間がかかった物件です。

売買契約締結済だったので物件はグリップできていたのですが、築年が古いということで、どこの金融機関も良い顔はしませんでした。

物件所在地である某県の地銀、信金、信組等に片っ端からアタックしました。ほとんどが断ってくる中、唯一話を聞いてくれたが地銀Eでした。担当者が粘り強く支店内を説得し、融資稟議を通してくれました

通常は物件紹介があってから2週間~1カ月ほどで融資承認を得ているのですが、この案件については2カ月ほど時間を要しました。

○政府系F(物件NO.8)

これも全国対応のメガバンクに断られて暗礁に乗り上げつつあった物件です。

メガバンク以外で全国対応というと政府系金融機関しか思い当たりませんでした(政府系にお世話になるつもりはなかったのですが、贅沢は言っていられません)。これも知人の投資家に紹介してもらった支店から入って、無事に融資を引き出すことが出来ました。

諦めない気持ちで挑む

「他者からの紹介で銀行に入らないと融資は引けない」とか「銀行へいきなりの電話アポなど以ての外」といった書籍等を巷で見かけますが、そんなものは都市伝説です。著者に不動産投資の経験があるのか? と疑いたくなります。

この点、金融機関へ紹介ルートで入っても、自己開拓で入っても、融資が出るときは出る、出ないときは出ないのです。

繰り返しになりますが、他者からの紹介で行った方がスムーズであることは間違いありません。

ですが、どんな地位の高い御仁の紹介で入ったとしてもコンプライアンスが声高に叫ばれる昨今、融資審査に手心が加わることは絶対にありません。融資の可否は、物件のポテンシャル、申込者の属性や実績・金融資産の多寡で決まるのです。原理原則を忘れてはいけません。

銀行に融資を断られてすぐに諦めてしまう人が多いと聞きます。銀行から断られるのも不動産投資家としての仕事・勲章、くらいの割り切りが必要だと思っています。

一般的には、投資規模が大きければ大きいほど金融機関に断られている回数も多いと思います。世のメガ大家と呼ばれる方々はこういった努力・苦労を重ねてきた人達なのです。発想を転換すれば、「断られる回数に比例して資産規模が大きくなる」ということですので、頑張らないわけにはいきませんね。