不動産投資の強みは、お金を借りて臨めること。金融機関から融資を引き出せれば、自己資金以上の価格の物件を購入できるため、資産をどんどん増やせる。
ただ、ひと口に金融機関といっても、都市銀行をはじめ、地方銀行やノンバンクなど窓口は多数ある。どこに融資を頼るべきか、頭を悩ますことだろう。
「私は信用金庫を有効に活用しています」と語るのは、『信金マスター』の異名をとる専業大家の坂本賢二さん(40歳)。
坂本さんは2012年6月に不動産投資を開始。現在アパート13棟とマンション2棟、区分1戸を所有し、うち10棟の融資を信用金庫から受けている。
「信用金庫には他の金融機関にはない利点がたくさんあります。不動産投資家の強い味方になってくれる存在ですよ」
毎月約250万円のキャシュフローを得る坂本さんの歩みとともに、あまり知られていない信用金庫活用のイロハを紹介しよう。
灯台下暗し!? 地元の信用金庫で融資が通る
坂本さんはもともと、父親が経営する店舗の設計・施工を行う会社に勤務。不動産投資に興味を持って臨みながらも、長らく物件が買えなかったそうだ。
「大きな壁は融資でした。当初は不動産仲介会社の担当者に金融機関との交渉もお願いしました。ノンバンクを中心に何行か融資相談したと聞いています。でも、どこもNGの回答。人任せにしていたため、私に問題があるのか、物件に問題があるのか、わからないままなのが失敗だったのかもしれません」
その後、土地勘のある地元・神奈川県川崎市近辺の物件に的を絞り、自ら融資付けに奔走。しかし、悪戦苦闘の日々は続いたという。
「第二地銀やノンバンクなど6行ほど回りましたが、自己資金が足りなかったり、審査自体に落ちてしまったり。某銀行では、『ある程度、属性の高いサラリーマンじゃないとアパートローンは厳しいよ』と言われました。年収が普通レベルだったのと、親族企業勤務で自営業と見られたのもネックだったのでしょう」
物件を買えない時代は6年余り。でもあきらめず、行動を続けた結果、道が開かれることに。融資をOKしてくれる金融機関が現れたのだ。
「それが地元の信用金庫です。信用金庫も融資先のひとつとして頭の片隅にありました。融資が通ったのは、もともと口座を持っていた身近なところですからね」
1棟買えてからは順調に物件数を拡大。1~5棟目と、地方銀行をはさみ、その後購入した5棟の計10棟で信用金庫を活用している。
物件エリアは前述したとおり地元・川崎をはじめ、横浜や横須賀。同地域の4つの信用金庫で融資を受けている。1棟目、2棟目は物件価格の3割、2割の頭金を必要としたが、その後購入した物件の多くはフルローンやオーバーローンを実現。
全所有物件の家賃収入からローン、税金等を差し引いた手残りは月約250万円の計算だ。
「投資対象とする物件は建物が古いため、土地の評価額(路線価)が高いものを選びました。基準は物件価格と同等か、それ以上のもの。土地の評価額が高い物件の場合、築古でもフルローンやオーバーローンを引けるケースが少なくありません。
逆に土地の評価額が低い物件だと、いくら立地がよくて高利回りでも、融資の金額は伸びません。なので、そういう物件は購入をあきらめました」
プロフィール画像を登録