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「おれ、こないだ会社を買収したんだ」なんて飲み屋で言えたらちょっとカッコイイですし、なんだかモテそうですよね。私はサラリーマンを続けながら、3件の企業買収をしたことがあります。
ラブホの購入も、法人の買収や経営も、やったことのない人にとっては「難しそう」「怖そう」と感じるかもしれません。しかし実際に体当たりでやってみると、できないことではありませんでした。不動産投資も同じですが、興味を持ったらまずはやってみることをお勧めします。
ある意味、ラブホテル経営はアパート経営と似ています
さて、自分が株主という立場で企業買収(M&A)をしたことがある方はどれくらいいるでしょうか。職業としてM&Aをする人も、自分がオーナーとして企業を買収したことはほとんどないかと思います。実はラブホテルの売買は、企業買収となるケースが多いのです。
どんなビジネスでもそうですが、事業の立ち上げはなかなか大変ですし、普通の企業をサラリーマンの副業として経営するのは相当難しいと思います。
その点、ラブホテル経営はアパート経営と似ており、既に事業として回っている案件を購入するため、思ったほど大変ではありません。不動産が稼いでくれます。もちろん清掃や運営は必要になりますが、ラブホテルは普通のホテルと異なり、ほとんど接客もないため低運営コスト・低リソースで経営することが可能です。
ラブホテル経営は人を雇って運営するため、オーナー自らが清掃したり接客をする必要はありません。好きな時に無料でホテルに泊まることができます。社長の名刺を持てるのでカッコイイです。デキるビジネスパーソンの副業にピッタリだと思います。
企業買収の手続きと営業許可
ラブホテル物件を探していると、ホテルの建物(+土地)のみを売っているものもあります。相場よりも安いことが多いため目を引かれますが、この場合自力で「旅館業」と「風俗営業」の許可を取らねばなりません。
私はやったことがありませんが、新規でラブホテルの営業許可を取るのはかなり難しいようです。建物を購入後、「許可が取れませんでした」「大規模な改装が必要になりました」となると大損となりますので、ラブホテルを購入する際は必ず適切な風俗営業許可を持つものを選びましょう。
また、風俗営業許可もホテルにより法人名義で取ったものと、個人名義で取ったものとがあります。
個人名義で取った風俗営業許可はその人限りの許可ですので、売買することができません。現在は適法ラブホであっても、オーナーが変わった途端に無許可ラブホになってしまいます。こういった案件も大変なので避けるべきかと思います。
ではどういった案件を選べばよいかというと、法人名義で風俗営業許可と土地・建物を持っている会社を狙いましょう。できればそのラブホテル専業の法人が楽で良いです。
これらの情報は、ラブホテルを売買仲介している不動産会社経由で聞いてください。それでも分からない場合は、売主と直接話すしかありません。私の場合、不動産会社が分からなさすぎて、途中で仲介を放棄されたこともあります……(仲介手数料はいらないから直接やってくれと言われました)。
また、別事業を持っていて、同じ法人名義でラブホ営業許可を持っている会社の場合は、法人売買が非常に難しいです。ここらへんも仲介業者に根掘り葉掘り聞いてみるしかありません(聞いても分からないことが多いですが)。
ラブホを取り扱っている仲介業者でも、会社の売買や風俗営業許可には詳しくないことが多く、売買に伴うアドバイスは期待できませんので、購入時の手続きなどは税理士に頼んだほうが良いです。ただ、税理士も風俗営業許可については詳しくありませんので、その部分は自分で調べながら手探りでやらないといけません。
私の場合はインターネットで数少ない情報を調べ、警察署に電話をして確認し、自分で申請書を作って営業許可を取りました。とは言っても代表者の名義変更なので思ったほどは難しくありません。どこの警察も無愛想ながら案外親切に教えてくれます。
あとは普通のホテル同様、保健所で旅館業申請すれば完了です。細かいことを言えば防災管理者や食品衛生管理者を置くなどありますが、どれもネットで調べて役所で聞けば、個人でできないことではありません。
企業買収の進め方
風俗営業許可のやり方がわかったところで、法人の買収の仕方についてお話します。まずは買収する法人の調査から始めます。たぶん売上と費用に関する費用が数年分提出されると思いますので、一生懸命読み込みましょう。何にお金がかかっているのか、売り主が把握できていない項目はないかなどがポイントです。
普通の人は現在の収益が一番気になると思いますが、現在儲かっているホテルは非常に高額なので、できれば赤字のホテルを買収するべきだと思います。だいたい安いホテルは現オーナーのやる気がないだけの場合が多いため、致命的な問題がなければ黒字化はそれほど難しくありません。
その他、近隣関係やトラブル、借り入れや保証の有無を確認し、売主から既知の問題はないことを保証する旨一筆もらいましょう。旧オーナー時代の問題は旧オーナーの費用で処理してもらえると安心です。この事前調査(デューデリジェンス)さえ済めば買収はもうすぐです。
法人の買収なんていろいろ大変そう……と思われるかもしれませんが、言ってしまえば紙数枚と法人登記の手続きだけです。売買代金を入金し、株式の所有権変更の証書を作成し、役員変更の申請書を作って法務局で申請します。ネットでも多くのテンプレートが出回っていますし、細かいこと言わなければ不動産の売買よりはよっぽど簡単です。
一番最初の法人売買は、税理士などの専門家と相談しながら進める方が無難です。どのホテルもだいたい顧問税理士がついていますので、売主と相談しながら書類を作成していきます。金額としては、本格的なM&A会社だと取引価格の約10%と聞いたことがありますし、顧問料の中で済ませてくれることもあるようです。そのあたりは税理士によく確認してください。
ちなみに、M&Aの仲介法人を入れると、とんでもなく高い手数料を取られてしまいますので、なるべく自力でやることをお勧めします。
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