加藤さん2月v2_francis_bonami-Fotolia

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今から約30年前の1986年(当時28歳)から不動産投資を始めた私ですが、最初は、東京の新築区分マンションからでした。当時は、不動産投資と言えば、昔ながらの地主が道楽でやるイメージが強く、一介の貧乏サラリーマンがやるという発想はあまりありませんでした。

住むところと言えば、大家の家の一室を「間借り・下宿」し、トイレ・洗面所は共同で使わせて貰い、風呂は銭湯に行くといった、「かぐや姫」の「神田川」のイメージです。

私など、1976年(当時18歳)、某予備校の寮に上京してきた時には、3畳一間、トイレ・洗面所共同、風呂は銭湯でした。隣の部屋とはベニヤ板で仕切られ、鉛筆で書いたり消しゴムで消したりする音まで聞こえてきていました。

そんな時に、ビジネスホテル風味の「3点ユニット式(バス・トイレ・洗面所一体型)」の「ワンルームマンション」(15平方メートル程度)を賃貸するというシステムが誕生し、大ヒットし始めたのです。

持ち出しが普通だったあの頃

私の物件はと言えば、池袋駅から西武池袋線で2駅の東長崎駅近の物件。女性専用・楽器専用の新築ワンルームマンションです。価格は1210万円、頭金:借入=1:9で購入しました。持ち出しは1万円程度です。

当時は、日本も未だ成長期で調達金利も高く、家賃のみでローンの支払いを賄うことはできませんでした。持ち出し分は貯金感覚で行い、ローンが終わった暁には、家賃がほとんど手残りとなり、年金替わりになるという発想です。

私自身「悪くない投資」だと考えていました。生命保険機能、節税機能もありますし、何より、今と違って当時は、家賃も物件価格も右肩上がりだったからです。

その後、ワンルームマンションを順調に買い進めていきました。しかし時系列で見ると、上北沢1680万円、博多820万円、千歳烏山2000万円、初台2480万円と、購入価格は着実に上がっていったのです。バブルの兆しを、まさに肌で感じていました。

そして購入価格が上がるにつれて、持ち出しも、3万円、4万円、8万円と増えていきました。


「さすがに高すぎるだろ!」と現実を直視する

初台駅近の物件のあと、実は恵比寿駅近の物件も検討していました。しかし、どんどん物件価格が値上がりするため、「さすがに高すぎるだろ!」と私は購入をストップしました。

この時、恵比寿駅近のワンルームの相場は3000万円になっていました。

その後、本格的なバブル期に突入して、キャピタルゲインを狙う投資法が主流になり始めました。バブル前には1000万円くらいだったワンルームマンションは、3000万円、4000万円、5000万円と上がり続け、私のところにも買い取り業者から「物件を売ってくれないか」と連絡がくるようになりました。

そしてバブルのピーク時には、新宿のマンションが1億円迄になったのです!! この時、持ち出しだけで、10万円、15万円、20万円となっていったようです。

そして1990年、平成バブル崩壊。1億円迄になった新宿のワンルームマンションは、1000万円程度に大暴落しました。キャピタルゲインだけを狙って購入した人たちは、抵当権を抹消できる金額では売れず、多額の持ち出しがある物件を売りたくても売れず、自己破産する末路を辿りました。

私は「さすがに高すぎるだろ!」と直感できたお陰で、首の皮一枚で生き残ることができたのです。

前提として私の場合は、資金繰り(キャッシュフロー)重視で、持ち出しが10万円超ではやっていけないと感じました。家賃・インカムゲイン狙い・長期ホールド思考で、値上がり益・キャピタルゲイン狙い・転売目的ではないからです(その後も、30年間にわたって売却はしておりません)。

家賃の上昇の割には、物件価格の上昇が激しく、利回りの低下にも、異常さを感じ始めていました。

物件価格が上がり続けている「今の市況」と比べて

2012年末からのアベノミクス、2013年の東京オリンピック開催発表から現在に至っても、家賃は下落し続けているにもかかわらず物件価格だけが上昇しており、その結果、利回りは低下しつつあります。

反面、金融緩和で調達金利が下がっているので、利回りが今一でもキャッシュフロー上は何とか回っている状況かと思います。キャッシュフローが回らないほどにまで利回りが低下すれば、限界かとは思います。

過去・世界の経験則上、オリンピック開催の2年前位からは沈静化することからすれば、2018年頃からは沈静化するかも知れません。変化が早くなっていることに鑑みれば、早まるかも知れません。遅くとも、2020年過ぎには反動があるかも知れません。

ただ、長期・マクロの観点からすれば、財政破綻した国は、紙幣・国債等増刷等によるインフレ政策によって、貨幣価値下落・物価上昇(特に、数に限りのある資産価値のあるもの:貴金属・優良エリアの土地等)に繋がるものと思われます。さすれば、借入金を活用した(金利上昇には気を付けつつも)不動産経営は有効かと思います。

思い起こせばこの30年間で、様々なトラブルに巻き込まれ、失敗を経験してきました。(その時のエピソードは、過去のコラムでご紹介しています)

しかし、それらを補って余りあるいいこともあり、総じて言えば、御陰様でうまく生き残れているかなと思っています。皆さんも、今自分が置かれている状況が苦しいものでも、解決策は必ずあるはずですので、悲観的にならずに楽しんで頂ければと思います。