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こんにちは。鑑定士×投資家です。今日もコラムをご覧下さり、ありがとうございます。

僕は不動産投資を始めてから今日に至るまでの約3年間で15棟ほど購入してきていますが、ほとんどの物件をフルローン、諸費用等込みのオーバーローンで購入することが出来ています。おそらく今後もフルローン以上で物件を購入していくでしょう。

何故このようなことが出来ると思いますか?

・たまたま運が良かったから?
・年収数千万円を稼ぐスーパー高属性だから?
・預貯金を数億円持っていたから?
・銀行に特別なパイプを持っていたから?

残念ながらすべて持ち合わせていません(仮に持っていたらどれだけ楽だったことか……)。ちなみに僕は年収も属性も金融資産も「並」のサラリーマンです。

答えはと言うと、「投資戦略を持っていたから」なんです。不動産投資を始める前から明確な目標と戦略を持って実践してきただけなんです。いま振り返ってみますと、これが功を奏したと思っています。

目標はサラリーマンをリタイアすること、戦略はフルローン以上の融資を獲得しながら物件を買い続けることでした。

今回は投資戦略について僕の考えをご紹介したいと思います。

法定耐用年数の壁と信用棄損

僕は不動産投資を「金融機関ありき」の商売だと思っています。換言すれば、金融機関が持つルールや枠組みの中で不動産投資を実践しなければならないということです。

例えば、建物の躯体ごとに法定耐用年数というものが決まっているのをご存知だと思います(下記は住宅用の法定耐用年数です)。

RC造……47年
鉄骨造……34年
木造……22年

多くの金融機関は上記の法定耐用年数を超える融資をしません。一部のメガバンク、地方銀行等では経済的耐用年数と称して法定耐用年数より短い期間を設定するところもあります(例:RC造=40年)。

僕の場合は、RC造がメインですので、例えば築20年の物件を購入しようとすると、法定耐用年数起算であれば、「法定耐用年数(47年)-築年数(20年)=融資期間(27年)」となります。この与えられた条件の中で不動産投資を実践しなければなりません。

一方、木造の場合はどうでしょう?

木造は法定耐用年数が22年しかなく、新築木造の融資期間は原則として22年です。中古物件の場合は、仮に築20年の物件の購入を検討したとき、「法定耐用年数(22年)-築年数(20年)=融資期間(2年)」しか得られないというのが原則になります。

ところが、多くの不動産投資家は、新築木造に30~35年、築20年ほどの築古木造に10~15年ほどの融資をつけて購入しようとします。

メガバンク等はこれに応じることはないと思いますが、一部の地方銀行、信用金庫、政府系金融機関、ノンバンク等に持ち込むと法定耐用年数を超えた融資期間の設定が可能となる場合があります。

これを良いことに新築木造や築古木造に法定耐用年数を超える融資をつけてしまうと……不動産投資において致命的な「信用毀損」に陥ることになります。


信用毀損とは?

信用毀損とは、借入金が個人の与信と保有物件の担保価値の合計を超えてしまっており、金融機関から「債務超過」状態と判断されてしまうことです。

要は、将来破綻する可能性が高いと判断されてしまい、金融機関から追加で融資が受けられない、または受けることが難しくなる、といった不動産投資家として致命的な状態を指します。

信用棄損と言っても金融機関によって考え方は区々です。不動産投資における信用棄損は大きく分けて3つのパターンがあります。

(1)収益評価による信用棄損(収益評価<借入金)

利回りの低い物件や空室率の高い物件が該当します。家賃収入から返済が困難と判断されるケースです。

(2)積算評価による信用棄損(積算評価<借入金)

債務者が返済不能となった場合に、金融機関が抵当権を実行しても債権回収できないと判断されるケースです。

(3)融資期間による信用棄損(法定耐用年数<融資期間)

法定耐用年数を超えた期間で融資を受けたケースです。

信用毀損の中でも(3)の融資期間による信用毀損が多いと思います。ある金融機関が法定耐用年数を超える融資期間でお金を貸してくれたとしても、他の金融機関から見れば明らかにルール違反(債務超過)なのです。

この法定耐用年数を超えた期間(債務超過部分)について、例えば、これを補完するだけの金融資産、他の不動産の担保余力を金融機関に示さない限り、追加の融資は難しいと言えるでしょう。金融機関の立場になって考えたとき、これは当然と言えるかもしれません。

フルローンで買っていい物件、ダメな物件

僕は既述のように、ほとんどの物件をフルローン以上の融資を付けて購入しています。そして継続して物件購入することが出来ています。並のサラリーマンに金融機関がお金を貸し続けてくれているのです。

ここまで読んでいただければお解りだと思いますが、僕は「信用毀損」を起こさないように細心の注意を払いながら不動産投資をしているのです。これが僕の肝となる投資戦略です。

金融機関から融資を引き続けるには、信用毀損を起こすことなく、金融機関に好まれる体質づくりが必要だと思っています。金融機関に持ち込む物件は、すべてその金融機関の融資基準に合致したものだけなのです。以下が簡単なチェック項目です。

(1)物件の収益性に問題はないか?
(2)積算価格が出る物件か?
(3)法定耐用年数起算の融資期間でキャッシュフローは潤沢に出る物件か?

これらをチェックして金融機関に持ち込んでいるだけなのです。これらを満たす物件であれば、必然的にフルローン評価が出ると思っています(現に出ています)。フルローン以上を獲得して、その後も買い続けていることが出来ている方は、このようなことに注意を払って不動産投資をされていると思います。

一方、フルローンを引いて購入できたとしても首を傾げてしまうケースがあります。金融機関から高属性として見做されるケースです。

例えば、上場企業のサラリーマンや国家公務員等の場合、物件価値が低くても金融機関がその個人の給与収入や金融資産を返済原資として見込んでフルローン以上の融資を出す場合があります。

このような場合、最初の1棟目を購入する際は、収益性や担保価値が低い物件でも金融機関からある程度の融資を受けられる場合が多いと思います。

しかし、2棟目以降の追加投資を金融機関に依頼する際には、その個人の給与収入や金融資産は返済原資として既にカウントされてしまっていますので、追加の融資を受けることが非常に難しくなってくるのです。信用を棄損してしまった状態です。

そして残念なことに信用を棄損してしまっていることに気付かず、1棟目を購入できたことに気を良くして、2棟目、3棟目と金融機関に物件を持ち込みますが、融資を断られたり、融資額が伸びなかったりすることが往々にしてあるのです。


鑑定士×投資家がRC一棟物を中心に投資をする理由

皆様ご存知かも知れませんが、僕の投資スタイルは「RC一棟物に満額以上の融資を付けて潤沢なキャッシュフローを得る」というシンプルなものです。

不動産投資には様々な投資対象や投資手法が存在します。かく言う僕も不動産投資を始める前は「どんな手法を採るべきか?」と相当悩んだのを覚えています。

僕の場合は、サラリーマンをリタイアすることを目標として不動産投資をスタートしましたので、これを実現するためには下記のような要件を満たす投資手法であることが必須でした。

(1)フルローンが付く投資手法であること

過去のコラムでも述べていますが、自己資金が乏しかったため、フルローンやオーバーローンを狙う必要がありました。また、フルローンが付く物件ということは金融機関の物件評価が高いということは言うまでもありません。

(2)キャッシュフローが出る投資手法であること

リタイアするためには、潤沢なキャッシュフローを生み出す仕組みを構築する必要があります。これは物件の利回り(収益性)と金融機関の融資条件(金利・融資期間等)のバランスを取って初めて得られるものです。

(3)継続購入が可能な投資手法であること

物件のサイズにもよりますが、1~2棟の購入のみではリタイアは難しいです。何棟も買い続けられる投資手法に拘る必要がありました。

上記を突き詰めて考えたところ、一つの結論に至りました。「積算評価が出る中古RC物件にフルローンを付ければ潤沢なキャッシュフローが出る」ということです。

・高積算……銀行評価が出やすい≒フルローンが出やすい
・RC……他の躯体と比べて法定耐用年数が長いため融資期間を長く取れる
・中古……新築と比べると利回りが高い

不動産投資で本気でリタイアしようと考えたとき、ある程度の規模で投資しておく必要があります。その規模に到達する前に信用を棄損してこれ以上融資を受けられないという状態になってしまったら不動産投資界からの撤退を余儀なくされます。くれぐれもこのような状態にならないように不動産投資を継続したいものです。