
写真© vege-Fotolia
みなさんこんにちは。湘南藤沢大家です。コラム2回目の今回からは、私が行った空室対策についてお話していきます。
これからご紹介するのは2010年のこと、ある物件の入居者様募集のためにある「販促物」を作りました。もう6年以上も経ったのかと、自分でも感慨深いです。
まずはこの物件について事前知識を
物件は、北海道の札幌市にある木造アパートで、ワンフロア4部屋×2階建て、単身者向けです。すすきのなど賑わいのある場所からは少し離れた地域で、最寄りの地下鉄の駅から歩いて10分ほどの住宅街です。
近隣には、特に「ここに住みたい!」と思うような集客施設もありません。
駅から物件までの道すがら周りを見渡すと、建物の外壁には「入居者募集中」の看板。それらが賃貸物件であることが分かります。そして多くの部屋にカーテンのかかっていない様子から、実際に空室のようです。
ちなみに完全に余談ですが、「入居者様募集中」と“様”は付けないものなんですかね?
さらに札幌では、入居付けの際に賃貸仲介業者さんへ支払う広告料が高額なこと、不動産投資家の間ではすっかり有名ですね。幸いに入居が決まっても、広告料を払うと最初の2、3カ月はまるでフリーレントかのような状態です。
私の物件は、このような賃貸激戦区にありました。
ここまでブーブー言うような物件を何で買ったの? という声が当然のように聞こえてきます。すみません。。買えるから買ったんです。。。
区分から始めた不動産投資、この札幌物件が初めての一棟ものです。
購入した2009年当時はまだ利回りが良い物件がたくさん出回っており、この物件も入居率50%でもローンは返済できる計算です。
融資も大丈夫そうだとなると、まったく土地勘のない場所でも「何とかなるだろう」と前のめりになっていました。
続いて「販促物」を作るに思い至った当時の状況を
当時、賃貸経営者向けにコンサルを行う会社が定期的に勉強会を開催していました。地元に近い横浜を拠点にしていることに惹かれ、私も何度か勉強会に参加しました。
勉強会は、会の代表者や外部から招いた講師によって行われます。私が参加したある回の勉強会の終わりに、パートナー会社である塗装会社の若い女性が登壇しました。外壁診断を無料で行うことを告知し、希望者を募ったのです。
もちろん診断を行ったのち工事を受注するのが目的であることは理解しましたが、「無料」という言葉の響きに興味が湧きます。
ただ、当時持っていた一棟ものは、先に説明した木造物件と鉄骨造の物件、どちらも札幌でした。塗装会社は東京の会社ですが、ダメ元で診断可能かと尋ねると交通費を負担すれば可能とのこと。
外壁診断は2010年の6月、私も同行しました。札幌なのに気温が27℃と、とても暑い日だったのをよく覚えています。
塗装会社の方とは新千歳空港で待ち合わせ。先日お会いした女性、40代ぐらいの男性と合流し、まずは鉄骨造の物件に向かいます。
診断は、打検したり屋上に登ったりと丁寧に行ってくれました。確かに年数は経っているが、すぐに何か対応しないといけない訳ではなさそうです。
購入時に売主さんが屋上防水塗装をやってくれたこともありましたが、とりあえずほっと胸を撫でおろしました。ただ、数年後にはメンテナンスをした方がいいとのアドバイスをいただきました。
その後、木造物件に向かいます。
到着すると、塗装会社さんは先程と同じように調査します。
しかし建物全体を見終わるまでもなく、塗装会社さんの顔が曇りました。
話を聞くと、サイディングの劣化が激しく、継ぎ目のシールもすでに役目を果たしていないので、おそらく建物内に水が入り込んでいるであろう。もうすでにどこかで雨漏りしていてもおかしくないと。
調査が終わると場所を近所のスープカレー屋さんに移し、詳しく話を伺います。
このとき初めて男性ときちんと挨拶すると、実は塗装会社の社長でした。建物の外階段を使い屋上に登ってくれたりとせっせと動いてくれていたので、すっかり職人さんかと勘違いしていました。
社長の話では、今のままの状態では冬を越すのは非常に心配であると。寒冷地での建物への水の侵入は、それ以外の地域と比べいっそう深刻な問題です。半年後には、マイナスの気温が続く厳しい札幌の冬がやってきます。
もう選択肢が無いような状況で工事を決断しました。工事はサイディングの全張替えと屋根も含めた塗装を行います。しめて約280万円。代金は日本政策金融公庫で借り入れしました。私にとって小さな出費ではありません。
これだけお金をかけるので、当時2部屋あった空室の入居者様募集に何か活かせないかと考えます。
そういった時、街にありふれたあるアイデアが浮かびます。それが「販促物」を作ることだったのです。
つづく。
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280万円を公庫から借り入れ……突然の出費で思いついた「客付け施策」は?
2017.3.14
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