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投資家の皆さんに、ぜひチェックしてほしいオススメのビジネス誌を特集ベースで取り上げ、5分で概要がつかめるようご紹介する当コラム。今回ご紹介するのはPRESIDENTの特集「この先30年、お金の安心を約束♪ 今が分かれ目! 『上流』老後、『下流』老後」

昨今「下流老人」なる造語をたびたび耳にする。2015年の新語・流行語大賞にノミネートされたこの言葉は、生活困窮者支援のNPO「ほっとプラス」の代表理事で社会福祉士の藤田孝典氏が提唱し、一気に注目された。

藤田氏の定義では、「下流老人」=「生活保護基準相当で暮らす高齢者及びその恐れがある高齢者」。現役時代は不自由ない生活を送っていた人でも、高齢者になったとたんに、病気や熟年離婚、はては子供のひきこもりなどで、貧困へと転落するケースが目立つという。「下流老人」にならないために、現役時代からできることは何だろうか。

現役時代の考え方、リタイア後の「豊かさ」を創る

リタイア後の生活は、現役時代の習慣に大きく左右される。現役時代に浪費癖がついていれば、老後も身の丈に合わない消費を続け、数年後には貯金が尽きてしまった……なんてことにならないよう、「高年収ビンボーVS低年収リッチ どこが違うの? お金が貯まる人の24時間」をチェックしてみよう。

特集では、「世帯年収1000万円以上だが比較的生活に余裕がない」人たちと、「同300万円以下だが比較的余裕がある」人たち、それぞれ100名のライフスタイルを比較(調査時期は16年10月)。

その結果、面白いほど差が出たのが、「定年後のビジョン」だった。世帯年収が1000万円あっても生活が苦しい「高収入ビンボー」な人たちは、定年後「悠々自適に好きなことをしてのんびり」過ごしたいという人が6割以上にのぼる。

一方、年収300万円以下でも余裕のある暮らしをしている人たちは「最低でも食べる分は働いて稼ぐ」との回答が6割を占めている。今の年収が低いからこそ、危機感をもって「働けるうちは働かねば」と考えているのだろうか。

現役時代の貯蓄だけで、老後を乗り切ろうとするのは甘い

元メガバンク支店長の菅井敏之氏は同誌の取材に対し、「年金と退職金で悠々自適だと思っている人はしくじる」と、厳しいコメントを寄せている。豊かな老後を送れる人の条件は、定年後も「毎月10万円、15万円など、収入を得る方法を具体的にイメージし、準備できる人」だという。

確かに「人生100年時代」とすれば、65歳でリタイアしても残り約40年。この長い年月を、現役時代の蓄えだけで「悠々自適に」「好きなことをして」過ごすのは無理がある。資産家でもない一般的なビジネスパーソンにとっては、「できるだけ長く働く」ことが、豊かな老後のカギとなりそうだ。

『ライフシフト』(東洋経済新報社)の著者、リンダ・グラットン氏によれば、これからは「老後」という概念すらなくなるという。寿命が延びると、人々にとって重要なものが変化する。お金や不動産などの「有形資産」というよりむしろ、長く柔軟に働き続ける能力や専門性、友人関係などの、目に見えない「無形資産」が重要になってくるのだ。

定年後も豊かに働き続けられる人は「つながり」を大事にしている

友人ネットワークなどの「無形資産」が重要だとするグラットン氏の説を裏づけるように、同誌では人事コンサルタントの菅野宏三氏がこう指摘する。

「定年後に安定した仕事に就く人のほとんどが、今いる会社からの誘いか、知人の紹介なのです」。なんと、リタイア後に安定的な収入を得るには、現役時代からの「人脈、つながり」が欠かせないのだ。

資格を取得したり、専門スキルを磨いたりするのも大事だが、なにより就職先の「人」と上手くマッチしなければ意味がない。人脈作りが上手い人こそ、リタイア後も孤立せず安定的な収入を得られるとなれば、現役時代の仕事観も変わってくるのではないだろうか。

まずは、今いる場所で専門性を磨き、はじめは広く浅くでもいいから友人関係をつないでおく。リタイア後に趣味を生かした仕事がしたいなら、現役時代から会社以外の居場所をつくっておく。こうした人間関係の豊かさこそが、将来の安定収入や、豊かな老後につながるのだ。

社会から孤立した、貧しい「下流老人」にならないために必要なものは、お金だけではなかった……となれば、今からでも遅くない。「お金」が足りない分を、スキルや豊かな人間関係で埋めることは十分可能。あなたの老後は、今ここの行動力にかかっているのだ。