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こんにちは。鑑定士×投資家です。今回もコラムをご覧下さり、ありがとうございます。今回は金融機関の融資姿勢について色々と情報が飛び交う中、不動産投資の最前線にいる投資家として、私見を述べさせて頂きたいと思います。

日本銀行が2017年2月9日に発表した「貸出先別貸出金」によると、2016年の不動産業向け新規貸出額が前年比15.2%増の12兆2806億円になり、信用金庫の融資額も合わせると14兆7000億円超、年間としては過去最高になったようです。

一方で、金融庁が地方銀行等のアパートローンへの監視を強化しているといった新聞記事も見かけます。金融機関によるアパートローン等の賃貸事業向け融資の急増に対し、金融庁や日本銀行が監視を強めているといった内容です。

具体的には、相続税対策等を背景に地主や資産家などによるアパート・マンションの建設・取得需要が増大して市場に供給過剰感が出始めたことに起因しているようですね。

こういった情報を見る限り、日本経済は不動産バブルの再来、それに対して金融庁や日本銀行が警戒のレベルを引き上げている、といった構図が見え隠れします。不動産投資家にとって金融機関からの融資は生命線ですので、常にこういった情報にアンテナを張っておかなければならないと思います。

しかし、これはあくまでもマクロ的な視点でという意味です。僕たち不動産投資家はこういったマクロ的な情報でなく、ミクロ的な「生きた情報」を得る必要があるからです。

「4月から融資の引き締めがある」は本当か?

古今東西、融資にまつわる情報は不動産投資界を錯綜します。投資初期、僕もこういった情報に振り回されていた口です。皆さんも心当たりがあるのではないでしょうか?

例えば、最近よく耳にするのが「4月から融資の引き締めがあるらしいから、借りるなら3月までにした方が良いよ」といったような情報です。

こういう情報はマクロ的に見た場合やある側面から見た場合は正しい情報なのだと思いますが、僕はこういった情報はあまり信用しません。自分にとって正確な情報というのは自分の目で確かめ、足で稼ぐものだと思っています。百聞は一見にしかずということです。


「4月から融資の引き締めがある」といった情報の発信元を紐解くと、不動産業者、不動産投資コンサル、金融機関との関係性が乏しい不動産投資家だったりします。

僕は斜に構え、こういう方々からの情報は鵜呑みにしません。なぜなら、業者やコンサルが不動産を売ることを目的としていた場合、期限を切って投資家を煽る可能性がありますし、金融機関との付き合いの乏しい投資家については他者からの伝聞というパターンが多いからです。

こういった有象無象の情報に翻弄され、投資判断をしてしまう方が多いことに閉口します。

僕が銀行の融資情報を得る手段として実践しているのは次の2つの方法だけです。これ以外はありません。

(1)既に取引のある金融機関の担当者から情報を探る

(2)信頼できる不動産投資仲間から情報共有してもらう

(1)と(2)の方法を駆使して、「4月から融資の引き締めがあるのか?」ということを銀行の担当者にヒアリングしてみました。回答としては、巷で囁かれている噂とは真逆、「4月以降、それほど融資姿勢を変えることはない」といったものがほとんどでした。

ただし、ここでも注意が必要です。この回答は万人に向けて発言されたものではないということです。「鑑定士×投資家や知人の不動産投資家であれば……」という条件が付くのです。繰り返しになりますが、他人の言葉や情報など鵜呑みにせずに、融資情報は自分で集めることをお勧めします。

銀行融資については、とにかく都市伝説が多いのです。他にもこんなことを言われたことがないでしょうか?

「不動産融資に積極的だったA銀行が融資をしなくなるらしい」

「フルローンを出していたB銀行が、頭金3割を要求するようになるらしい」

「C銀行はD県の融資はするようだけど、E県の融資はNGのようだ」

これもある側面から見ると正しい情報かもしれませんが、別の側面から見ると間違っている情報であるということが往々にしてあるのです。

ある人にとっては当てはまる情報かも知れませんが、別の人にとっては当てはまらない間違った情報かも知れません。また、ある支店ではそういう見解かも知れませんが、別の支店では別の見解かも知れません。そういった次元の話なのです。

情報に振り回されるのをやめる

結局のところ、僕たち不動産投資家は、経済環境、銀行の融資動向、その他情報が錯綜する中、与えられた環境の中で不動産投資を実践するほかありません。

冒頭で述べた通り、不動産投資を始めた頃の僕はこういった情報に過敏に反応し、情報の取捨選択が出来ず、完全に振り回されていました。要は、自分というものがなかった、不動産投資家としてのマインドが形成されていなかったのだと思います。

曲がりなりにも不動産経営を始めて3年以上の投資経験を積んできた今、思うことがあります。それは、自分ではどうしようもない不動産市況や融資動向に振り回されることなく、与えられた環境の下、いま自分に何ができるのか? 何を準備することが必要なのか? ということを突き詰めて考える癖をつける、ということです。

「日銀や金融庁が不動産融資に警鐘を鳴らしている」とか「4月から銀行が融資を締めるらしい」といった情報が仮に真実だとしても、自分ではどうしようもないのです。

不動産市況が好況でも不況でも良質な不動産は必ず存在しますし、不景気に陥って多くの金融機関が貸し渋ったとしても中には融資してくれる金融機関が必ず存在するということです。端的には、状況がどうあれ、買える人は買える、買えない人は買えないということです。

どんな状況下でも「買える人」になれる準備をしておくことが肝要です。具体的には、サラリーマンであれば、属性を磨き、少しでも多くの自己資金を作り、不動産投資の実績を作る。事業者であれば、数期に渡って筋肉質な決算書を作る。こういった銀行に好かれる財務体質を作り込むことが大切だと思います。これらは一朝一夕にできるものではないので、コツコツと積み上げるほか方法はありません。


銀行員の好きな属性ランキング

以前、大学時代の友人であるメガバンク行員から、銀行から見てお金を貸しやすい属性を聞いたことがあります。今回の「4月から融資の引き締めがあるのか?」というヒアリングと併せて、(興味本位ではありますが)お金を貸しやすい属性についても聞いてみました。面白いものでメガバンク、地方銀行ほぼ同様の見解でした。

以下、そのランキングです。

(1)資産家・地主・富裕層

(2)公務員

(3)医師、弁護士等の師士業

(4)一部上場企業のサラリーマン

(5)上場企業のサラリーマン

(6)中小企業のサラリーマン

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(最下位)自営業者

(1)は言わずもがな世間一般で言う「お金持ち」ですので非常に貸しやすいそうです。(2)は収入が抜群に安定している、(3)は定年がない、といった理由で上位だそうです。

注目すべきは(4)~(6)の「サラリーマン」が「自営業者」を抑えて上位にランキングしていることです。

お気づきの方も多いとは思いますが、サラリーマンは銀行から見て非常にお金が貸しやすいのです。換言すれば「属性が高い」ということです。企業規模や勤務年数等にもよりますが、収入の安定性という観点から見ると自営業者よりも数段上なのだそうです。サラリーマンの皆さん、この高属性を利用しないのは勿体ないと思いますよ。