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「不動産投資を始めるならば、潤沢な年収・自己資金が必要」という考え方が王道である。そのため、大手企業に勤めるサラリーマンならば属性がよいと見なされ、ローンの審査も通りやすいのが現状だ。

しかし「自分は属性もよくないし、不動産投資はできない……」と諦めるのはまだ早い。派遣社員として働きながら、アパート2棟、戸建て2棟を買い進めた不動産投資家がいる。今回は、そんな実績を持つ派遣大家NAOさんに、決してよいとはいえない属性ながらも、どのような戦略で不動産投資を行っているのかを聞いた。

保障の少ない派遣社員……不安に備えるために不動産投資をスタート

「昔は塾講師として働いていましたが、ある意味で人気商売なところがありまして……。10年ほど前に、技術系の派遣社員になりました。ただ、正社員というレールから一度でも外れると、なかなかそこに戻れない辛さがあります。

派遣社員としての収入しかないまま老後を迎えるのは心細かったので、不動産投資を始めました。ある程度の貯金はあったので、中古の区分マンションを500万円で買ったのが最初です。場所は亀有で1R、家賃5万5000円で貸し出していました

1軒目はローンを組まず、キャッシュで一括購入。初めての経験は誰でも怖いもの。NAOさんも貯金がガクンと減って、不安に思うこともあったという。しかし老後の心細さはぬぐえず、決死の覚悟で次の物件を購入した。

「もう1軒、横浜の黄金町に1Rで中古の区分マンションを買いました。最初の物件とこの物件、2件を共同担保に入れることを条件に、やっとの思いでローンを組んだのです。

この2軒は3~4年ほど持ち続けて売却したんですが、そのことが次につながりました。

老後資産には足りないと思ったので、物件を増やしてアパートを一棟買おうと思った年に、日本政策金融公庫に融資をお願いしました。普通、派遣社員ではローンを組めなくて銀行などにお願いしても門前払いだったのですが、『不動産投資の経験がある』と認めてもらえて、奇跡的に審査が通ったんです」

実はNAOさんは、アパートを購入する前に、自宅の購入を検討して住宅ローンの審査を申し込んでいた。しかし、それは残念ながら落ちてしまったという。

派遣社員としての稼ぎのほかに、2軒の区分所有による家賃収入があったのにも関わらず、審査に通らなかったことから「正社員と派遣社員の格差」を感じざるを得なかった――そんな悔しいエピソードも打ち明けてくれた。


実績さえ積み上げれば、派遣社員でもローンを組める

ローンの審査が通れば、不動産投資の規模を拡大できる。派遣社員であっても、500~1000万円前後の頭金を用意することで、融資を受けての不動産投資は十分に叶うようだ。

「今は、千葉県柏市を中心に2450万円と2350万円で購入したアパート2棟と、820万円と500万円で購入した戸建てを所有しています。あまり高い物件は買えないので、どうしても郊外の築古の木造物件になります。修繕もなるべく自分でやっています。

ポイントとしているのは土地の価格ですね。1つ目のアパートは頭金を350万円入れて、2000万円のローンを組んでいますが、築20年を超えているため建物の価格は350万円くらい。土地の評価額は2000万円なので、最悪、土地を売ればなんとかなると思っています」

少子高齢化なのはもちろん、昨今は空き家が増えているとの報道もある。そんな状況の中、首都圏の不動産投資で比較的安全圏といわれるのは都心30km圏内。なぜなら、都心への通勤が1時間以内になり、地価も上昇基調だからだ。

千葉方面ならば野田市や柏市、幕張などがその圏内に位置する。最終的に売却することも見越し、土地の評価額を気にしながら物件を探すのがポイントなのだ。

現在の家賃収入は月35万円くらいです。今年は一棟物件をもう1棟増やして月50万円、あわよくば月70万円くらいの収入にしたいですね。また、自分は引っ込み思案なところがあるので、ブログをもっと書いたり、イベントにも積極的に出たりしていきたいです」

そうはにかみながら微笑むNAOさん。派遣社員でも不動産投資の実績を詰めばローンを組めるようになり、不動産投資を思いのままに拡大していける。NAOさんの実績は、一歩踏み出す勇気がまだ持てない人の背中を、そっと優しく押してくれるのではないだろうか。

派遣大家NAOさんプロフィール

3カ月契約派遣社員として働きながら大家業を行う。2010年より中古ワンルーム投資から開始。趣味は語学と旅行。海外旅行が多い。ブログ「派遣大家の日記」で自身の不動産投資について発信中。

http://hakenooya.com/