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2020年東京オリンピックを前にプチバブルの様相を呈する日本の不動産マーケット。一方、海外の先進国、新興国の中にも不動産価格が上昇を続け、キャピタルゲイン、インカムゲインとも十分狙える不動産マーケットが存在する。

国によって市況や投資環境は刻々と変化しており、過去の投資手法では成功が危ぶまれるケースも出てきた。投資に成功するためには最新のデータを元に、ち密な投資方針を検討する必要がある。そこで今回は、個人の不動産投資が活発に行われている欧米先進国の中からアメリカ、イギリス、ドイツ、オーストラリアの不動産投資手法をお伝えする。

○国別不動産投資手法

国別

投資手法1

投資手法2

アメリカ

不動産市況の「時差」を利用する

日米で異なる減価償却年数を利用する

イギリス

ロンドンから地方都市へ

利回り保証付きのイギリス学生寮投資

ドイツ

英国EU離脱でベルリンの価値向上

減価償却による節税効果を狙う

オーストラリア

シドニーでキャピタルゲインを狙う

シドニーの物件を担保に地方都市青田買い

アメリカ|不動産投資市況

○基礎データ

人口

3億1000万人

世帯数

1億2000万

持ち家率

63%

借家空室率

7%

アメリカは先進国の中でも人口増加率の高さが顕著で、年間250万人~300万人程のペースで恒常的に人口が増加しており、住宅需要も安定的に拡大基調が続いている。国土の東西南北にわたって都市が発達しており、不動産投資対象となる都市の数も非常に多い。経済規模も非常に大きく、「米国内部に、小さな国がいくつもある」ような巨大マーケットである。

アメリカは2008年~10年のリーマン・ショックで不動産バブルが崩壊し、全米のすべての都市で不動産価値が下がる経験をしたが、その後は順調に回復を見せている。今後も経済成長や人口増加と共に順調な歩みを続けていくことが見込まれている。

米国勢調査局によると、アメリカの新規住宅着工件数は、2017年2月までの1年間で約130万件。リーマン・ショック後の落ち込みを除けば、概ね年間130~150万件前後で堅調に推移している。

また全国の賃貸空室率は、2011年の9.5%以降年々減少しており、2012年8.7%、2013年8.3%、2014年7.6%、2015年7.1%、2016年6.9%と、1998年以来の最低空室率を記録した。

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不動産価格と賃料

過去40年以上にわたり、年平均4%程度の安定した上昇を続けているアメリカの住宅価格は、 2016年には6.2%上昇 。中でもシアトルは10.75%、ポートランドは10.1%と2桁以上の伸びを見せている(スタンダード&プアーズ調べ)。

また米国勢調査局によると、米国で販売された新築住宅の平均販売価格は、2017年2月までに約12%上昇して390,400米ドル(約4300万円)に達した 。

賃貸住宅の家賃も上昇しており、米国の月額平均賃貸料は2016年には5.3%増え、月額856米ドル(約9万3000円)となった。

○投資対象物件

アメリカにおける不動産投資対象物件は、次の通り。

戸建て住宅

米国では戸建て賃貸が一般的である。

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・アパート

木造が一般的で築50年くらいの築古物件が普通に取引されている。築100年の物件も珍しくない。

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・タウンハウス

外観上は長屋のようなイメージで、複数の戸建て住宅が結合して1棟のアパートとなっている。構造は木造が一般的で、築50年~100年の物件が中古市場で取引されている。

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・コンドミニアム

日本のマンションと同じ。構造は主に鉄骨造やコンクリート造で、カリフォルニアのコンドミニアムはプールが付設されていることが多い。

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・シニアコンドミニアム

一定の年齢以上の高齢者だけが購入できるコンドミニアム。通常より割安で購入することができる。アメリカでは、子供が自立した後の55歳位から戸建て住宅を売却し、シニアコンドミニアムに移る人が少なくない。日本でいう介護施設とは全く別物。(※シニアコンドミニアムと一般のコンドミニアムの違いは、基本的には年齢制限の有無のみ)

○投資手法1|不動産市況の「時差」を利用する

アメリカでは、ニューヨークやカリフォルニアが全米で最も成熟した都市で不動産価格が真っ先に値上がりしやすい。続いて、シカゴ、ボストン、シアトルなど、第二線級の各都市の価格が上昇する。さらに続いて、テキサス、アリゾナ、フロリダなど、人口増加が著しい南部各州の都市が、将来性を買われて値上がりする。

同じ国内で不動産価格差が3倍といった現象は、徐々に調整されていくことになるため、「カリフォルニアの不動産価格が高い場面で上手に売り抜けて、テキサスがまだ安いタイミングで物件を複数購入する」といった、不動産市況の「時差」を利用した投資手法が有効である。

○投資手法2|日本とアメリカで異なる減価償却耐用年数を活用する

アメリカは日本と違い、戸建住宅を修繕しながら50年以上使用することが一般的で、100年くらい使用される物件も多い。ゆえに日本の投資家が購入する物件もこのような築古物件が対象となってくる。

その場合、アメリカでは、賃貸用住宅の減価償却年数はその構造にかかわらず27.5年、一方日本では木造住宅の減価償却耐用年数は22年(または20年)である。ただし、日本では特例があり、木造築22年を超えた建物については4年で減価償却を行うことになる。

つまり、同じ物件にもかかわらず、米国居住者が27.5年かけて減価償却するのに対し、日本の投資家は4年で償却することができる。そのため所得の高い投資家ほど大きな節税メリットを享受することができるのである。