写真© aijiro-Fotolia

両親立会いの元、無事売買契約を終え、OL時代にコツコツ貯めた350万円は一瞬にしてボロ戸建てに変わりました。しかし、このどこにでもいるしがないパート主婦の私はお金と引き換えに、一瞬にして不動産オーナーになれたのです! 不動産オーナー! なんて素敵な響きでしょう!

空家ですのでまだ大家さんになれたわけではないですが、収益不動産を手にしたというだけでお金持ちになった気分でした。

購入後に初めての内見!

契約後、両親と一緒にルンルン気分で物件に向かいました。購入前の内見は両親とリフォーム業者さんにお願いしたので私は見ていません。(注:見ないで買うことはおすすめしません! 内見せずに買った理由は前回の記事をご覧ください)

私は初めて中に入ります。やっと会える! 私には子供は居ませんが、10カ月間お腹の中に居た子供に会える! そんな気分でした。

細い路地の突き当たりにある私の物件は大阪ではよくある連棟長屋です。しかも不人気の(購入時のマイソクには何故か人気のと書かれてありましたが……)5戸あるうち真ん中の物件なのですが私には一番キラキラ輝いて見えました。

一度中を見ている父ヒロシは自分の物件かのように自慢げに案内してくれます。

「まぁまぁ、ええやろ」

まるで父が所有者のようですが、1ミリたりとも父ヒロシに権利はない。

お部屋の中に足を踏み入れた私は、リフォーム前の決して綺麗とは言えないお部屋ですが、抱きついて頬ずりしたいくらい愛おしさを感じました。

即行動開始! が、苦戦続きのリフォーム会社探し

喜びもつかの間、ここからが勝負です。買っただけでは不動産投資は成り立ちません。入居者が決まってなんぼの世界。早速素敵な入居者に出会うべく準備に取り掛かります。

まずはリフォームです。お風呂は過去にリフォームされた形跡がありとても綺麗でした。キッチンも綺麗ではないけれど使える感じ。洗面台も大丈夫。問題はトイレです。

ここは元売主様、妥協したのか? 和式の便器のままでした。リフォーム費用の相場が全くわからなかったのですが、和室3部屋の畳の表替えとダイニングのクッションフロアと全部屋のクロスの張り替えで50万円くらいと想定しておりましたが、甘かった! トイレを和式から洋式に変えるだけで30万円もかかることが判明

売買でお世話になった業者さんにリフォーム会社を紹介していただき見積りをお願いしました。全部で90万円です。50万円くらいでできると思っていたので大誤算です!

不動産投資の勉強で読んだ本には、もっと安くできると書いてありました。仲介業者とグルになって上乗せしているのではないかと疑ってしまい、その本を持ってリフォーム会社に突撃! 「もっと安く出来るはずだ!」と文句を言ってしまいました。

すると……

そのリフォーム業者さんは「なんなら他でやってください」と怒ってしまったのです。今思えば、その本の著者さんはたくさん物件をお持ちで、いつもお願いしている業者さんなので安く出来るのだと思います。全くの初心者の私にはそれが通用しません。困った私はご主人が不動産会社を営む友人に相談しました。

すると、とても仕事が丁寧で頼り甲斐のあるというご友人をご紹介いただき、お見積りにお越しいただきました。本当に丁寧で「もうお願いするのはこの人しかいない!」と思い、他では相見積りを取らずに千葉の自宅に帰りました

ところが、来る日も来る日も見積りは上がってきません。友人のご紹介ということもあり、あまりしつこく催促も出来ませんでしたが、やっと届いた見積りを見ると一つ一つ部材の写真付きで本当に丁寧! 几帳面な性格が滲み出た素敵なお見積りでした。

しかし、金額も素敵! 90万円以下に抑えたいのにそれを優に上回る120万円! 知り合いだから安くしてもらえると勘違いしていたため、その価格に驚きました。もうこちらに依頼しようと決めていたのに、また1から出直しです。

こうしている間にも、このエリアで物件を探している人がいるかもしれない。どんどんチャンスを逃してしまいます。途方に暮れて、関西にいる時からの親友にこのことを打ち明けました。

私の悩みより、自宅でもない投資用のボロ家を購入したことにとても驚いた様子。その場が一瞬凍りつきました。

そりゃ無理もありません。大家さんというものは地主がアパートを建てて行うものというイメージがあると思います。それをこれまで一緒に楽しく飲んでいた主婦友がやろうとしているのです。この状況を理解するのに少々時間がかかった様子でしたが、関西の飲み仲間のKさんを紹介してくれました。

Kさんは元々不動産会社で客付営業をしており、独立してリフォーム会社を立ち上げたという方です。リフォームのことだけでなく、客付に関するノウハウをご自身の経験から事細かく教えてくださいました。リフォームの見積りも3社中一番良心的な価格だったので、Kさんにお願いすることにしました。紹介してくれた親友には本当に感謝しています。

うまくいかない……初めての客付

畳はやけてしまう可能性があるので、入居が決まってから表替えをすることにし、それ以外のリフォームが完成しました。繁忙期が終わる前に仕上がるようにしてくださいました。

さあ、いよいよ客付です。今だったら、家賃相場を考慮して、少し低めの家賃設定にしたり、敷金礼金ゼロにするなど色々と工夫できますが、なにせ初めての客付。なるべく高く決めたいとの欲から相場よりも1万円も高く募集をかけました。

入居募集は友人のご主人の不動産会社へ依頼しました。実際に大手住宅情報サイトへ掲載され、自分の物件がネットで見れた時は感激しました!

この頃の私は、契約の種類に専任と一般があることも知りませんでした。友人の業者さんが専任だったのか一般だったのかわかりませんが、おそらく専任だったのではないかなと思います。

家賃が高いせいもあったと思いますが、ほとんど問合せも来ません。募集をかけているのに問い合わせすらないことに焦りを感じた私は、何度も友人のご主人の会社に電話をいれますが、どうもレスポンスが悪い。その業者さんは賃貸もやっていますが、どちらかといえば売買が専門だったようです。

そして、ご主人の口からこんなことを言われました。

「内見する前に家賃交渉してくる奴らばっかりで、どいつもこいつも困ったやつだ! そんな奴らは俺が全員内見を断ってやった!! がははは!!!」と、電話越しなのでお顔は見えませんが、おそらくドヤ顔だったのだろうという口調で私に話してきました。

「問合せはあったのだ……。一言私に相談してくれれば家賃交渉なんて全然受けたのにな。そもそも高めの設定だったし」私は心の中でそう思いました。

これが知り合いの業者さんでなければ、はっきり物を言えたのですが、私の性格上その一言が言えなくて、引き続きその友人のご主人の方針に従うことに。

グズグズしていたらライバル登場!?

そうこうしているうちに、たまたまネットで物件を検索していると、私の物件とよく似た物件が賃貸に出されていました。思わぬところでライバル物件現る!! 焦りました!

この物件に負けてはいけない。でも、どう対処すればいいのかわからない。

困惑する中、もう一度よくよく見てみると……それは私の物件でした。

なんで依頼もかけてないのに載ってるの!?

不思議に思いましたが、とりあえず、その業者さんに電話してみました。

私「あの〜、〇〇町の貸家の募集を見たのですが……」

業者さん「はい! まだ空いてると思いますよ! 内見されますか?」

私「あの、いや、その、私……その物件の持ち主です!」

電話に出られた営業マンは驚いてらっしゃいました。「レインズ」を見て募集をかけてくれたそうです。

結局その業者さんから、お家の建て替えの間の借り住まいを探されていたご婦人をご紹介いただき、その方に短期貸し(定期借家契約)でお貸しすることになりました。

そのことをリフォーム会社のKさんに相談すると、「短期で出て行かれるのに仲介手数料1カ月も払うのは勿体無い。半額で交渉してみては?」とご提案をいただき、見事、仲介手数料半額で商談成立しました。あとの半分は友人のご主人へお礼としてお支払いし、人生初の入居者様は、このご婦人に決定しました。

最初の入居者さんは3カ月だった契約を延長して、半年間住んでいただけました。お会いしたことはありませんが、私にとっては初めての入居者さんです。嬉しくて、嬉しくてお礼のお手紙を添えてお菓子を贈ったところ、お歳暮には豪勢な蟹と海老をいただきました。

退去時も遠方ですので私は同席できませんでしたが、お電話でお話し、お互い涙涙のお別れとなりました。