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皆さん、こんにちは。岡田のぶゆきです。今回の相談者は、東京都にお住いの高瀬亮介さんです。多忙な出版社に勤める高瀬さんは、数年前の離婚をきっかけにカードローンを借りています。
また「自分のペースに合わせて収入を得る方法を確立したい」という考えをお持ちです。将来的にはこれまでの経験を活かして電子書籍系の出版業での起業を目指しており、希望する投資規模は年間家賃収入1200万円とのこと。ローンをかかえ乏しい自己資金で果たして実現できるのか……と、悩まれています。
名前 |
高瀬亮介さん(仮名) |
年齢 |
32歳 |
性別 |
男性 |
職業 |
会社員 |
居住地 |
東京都 |
年収 |
約670万円(世帯年収1200万円) |
自己資金 |
50万円 |
Q1.ボロ物件の投資方法についてアドバイスを!
A1.自分で住みながらリフォームを!
ご質問ありがとうございます。まず高瀬さんの問題となるのが、250万円のカードローンです。これは離婚された際に生じたもので、今後はこれ以上の負債が増える予定はないとのこと。しかしカードローンは、いわゆる消費者ローンです。つまり、個人の与信で借りていて、金利も一般的な銀行融資に比べて高いものです。
これが何年でローン返済できるのかは不明ですが、独立をして起業する云々よりも、まずはカードローンを返すことを最優先させるべきではないでしょうか。ですから余剰資金があれば、まずは返済に充てましょう。
貯蓄の50万円に加えて、年間250万円の貯金ができるということですから、できれば1年以内に完済できるように努めて欲しいものです。ローンの返済利率4.5%という数字を甘く見てはいけません。一刻も速やかに返すこと。それが高瀬さんの一番目にやることです。
カードローンを返せば融資は可能になります。また、完済後にカードローンを使っていても、延滞がなければ履歴に問題はありませんから、不動産投資の融資においてもハンデになりません。あくまでも、負債が残っている状況が不利になりえます。
さて、投資方法としては、融資が可能となればボロ物件でセルフリフォームだけに固執することもないでしょう。それでも「不動産投資を学びながらお金を貯めていく」という段階では、この投資法は最も有効です。
たとえば、高瀬さんは家賃10万円のお部屋で暮らされていますが、それなら古い家を現金購入して、住みながらリフォームすることで家賃は浮きます。そうすると1年間で家賃分の120万円をさらに貯めることができます。
とりあえず、ボロ物件で短期的に利回り重視を目指されるのがいいでしょう。たとえ時間がかかってもいいですから、しっかりとリフォームをして、自分の家を住み替えつつ、売却をしながら増やしていくのも手です。
Q2.融資を受けての投資は可能か?
A2.可能だが融資を活かしたハイレバレッジ投資は危険
カードローンを返済すれば可能です。また、保証人が可能という弟さんと、いっしょに融資を進めていくのも有効です。高瀬さんの年収は670万円とのこと。勤続年数までお聞きしていませんが、まだまだ給与収入は上がっていく年齢です。
フルローンでスピード融資を出す、いわゆる不動産投資に積極的な金融機関では、年収800万円以上を基準としているところが多いのですが、これを年収500万円以上の弟さんとあわせて考えれば、年収1000万円以上で見てもらえる可能性があります。
どちらかが法人の代表になれるなら、2人が保証人で入れるような法人をつくることをおすすめします。「長期的に独立して事業を起こしたい」と考えるなら、既存の不動産投資の法人も活かすことができます。
また、現状でそういった金融機関から購入する場合には、首都圏新築アパート、あるいは地方中古RCマンションといった物件が多く取引されています。しかし、1棟目は慎重に動きたいところなので、融資を活かしたハイレバレッジ投資はあまりおすすめしません。
今はシングルライフということですから、先述した通り、身軽に動けるうちに住み替えながらリフォームをして経験を積み、仕上がった物件を売却していくやり方が、収益性が高いのでおすすめです。
Q3.ボロ物件での民泊投資に勝算はあるか?
A3.住んでいる部屋を民泊にした方が効率的
民泊投資もご自身が住みながら片手間にやるのなら問題はないでしょう。しかし、まったく住まずに民泊を遠隔で行うのであれば、あまり収益性は望めません。1部屋だけの運営なら、住んでいる家の空き部屋を民泊にした方が効率的だと思います。法律的にもそのほうがいいですし、手間としても遠隔に比べて行いやすいでしょう。
具体的に説明すれば3月に民泊のルールを定めた「住宅宿泊事業法案(民泊新法)」が閣議決定されました。それによると民泊新法では、家主居住型(ホームステイ型)と家主不在型(ホスト不在型)の2種類があり、家主居住型は原則として住民票が必要……つまり住んでいなくてはいけません。対して、家主不在型は国土交通大臣に登録された住宅宿泊管理業者(代行会社)が管理を担うとされています。つまり、遠隔では代行業者を入れなくてはならず、コストがかさむということです。
また、民泊はインバウンド需要の高い地域にて行うのが鉄則ですが、その現実は競合があまりにも増えており、今や供給過剰になっています。そのうち民泊新法によってルールが明確となり、参入しやすくなれば、より供給過剰に陥る可能性もあるので注意すべきです。東京や大阪では、すでに値崩れを起こしています。それが、この先も加速していく懸念さえあります。
全体的なアドバイスをいえば、高瀬さんはまだお若いですから、機動力をフルに活かし、家賃収入よりも出版業や電子書籍など、本業やご自身が行いたい事業に専念して成功させた方が、より利益効率がいいと考えます。
不動産投資では、収入よりもあくまで経験を重視して、人脈づくりやノウハウを学んでいくのがベストではないでしょうか。独立して事業を起こすことで、より収入を上げることができれば、そちらの貯金可能額も増えると思います。
そのほか、気づいた点でいえば、勉強のために読破した書籍が10冊という点です。もっと本を読んで知識を養って欲しいところです。高瀬さんには、リフォーム術、競売ノウハウ、戸建て投資といった、専門性が高い本のほうが、より血肉になって役立つと想像します。そして、50冊くらい読んでからは実践を積んでいきましょう。どうか、頑張ってください!
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