「不動産投資を始めよう」と思い立った際、まずは客付けがしやすく、空室リスクが低い、都市部の不動産購入を検討する方が少なくはない。しかし、都市部の場合は不動産価格が高い傾向にある。 初期投資を抑えたい方、手持ちの現金で物件を一括購入したい方などにとって、都市部の不動産は敷居が高く感じるだろう。

そこで、小資金から不動産投資を始める手段として、「地方の不動産を格安で買って魅力的な部屋に整えて貸し出す」という投資法はいかがだろうか? 

今回は、山梨や長野を中心に10件の格安物件を買い進め、自身でインテリアコーディネートやDIY中心のメンテナンスを行っている、不動産投資家で不動産投資評論家の不動たたみさんに、その流儀について伺った。 

50万、70万、100万円など、格安物件ばかりを狙って購入 

不動さんのトレードマークといえば、やはり帽子である。「不動産業を広く手がけるアパホテル元谷芙美子社長の被るゴージャスな帽子と、さかなクンのキャッチーで一目で職業が理解されやすい帽子アイコンという、2つの要素を足して2で割ったイメージで、『お家の形の帽子』を手作りした」と語る。 

「不動産投資初心者でも親しみやすいキャラクターがいないと思い、世間一般の方に不動産投資にもっと興味を持ってもらい、不動産相場全体が活性化することを目標に、このような目立つ帽子を被って活動しています」

不動さんが初めて不動産を購入したのは、今から5年前の2012年のこと。山梨にある甲府駅徒歩7分のワンルームマンションを120万円で手に入れた。 

不動産投資を始める前にも、FXや株式などの投資経験を積んでいた。しかし、急速な市場の変化についていけず、何度か大損してしまったのを機に考えが変わる。 

「もっと市況が安定していて、変化が緩やかで、それなりに利回りもあって、初期投資も少なく済む分野の投資はないかなと考えた結果、格安の不動産に絞って投資を始めることにしたんです」 

そう思い立ってからは、不動産投資関連の書籍やWeb上のコラムなどから、不動産投資家として欠かせない情報を一通り取り入れ、2014年には宅建士資格も取得し、資格取得後も、所有物件を増やし続けている。 

「不動産投資を行うなかで、自分がコントロールできるマーケットで投資することの安心感を得ました。FXや株式市場はインサイダー取引が規制されており、ライバルに先んじて独自の情報を得ることが難しい。 

でも不動産なら、たとえばAという180戸ある分譲マンションについて、『誰よりも詳しくなった』と自負できるくらい、できる限りのリサーチをすれば、その時点ですでに自分よりも情報を持っている人は限られます。 

言ってみれば、不動産業界では努力次第で簡単に、しかも小資金で、FXや株式市場のインサイダーと同じ立場になれるんです」 

そう語る不動さんが不動産投資家となって5年目を迎える現在(2017年1月時点)、所有物件は以下10件となる。 

購入年  エリア  種類  購入価格  
 2012年 山梨県  1Rマンション  120万円
 2013年 山梨県  1LDKマンション  400万円
 2013年 京都府  2LDKマンション  280万円
 2014年 山梨県  1LDKマンション  350万円
 2014年 山梨県  1Rマンション  100万円
 2014年 長野県  1Rマンション  50万円
 2015年 山梨県  1LDKマンション  450万円
 2015年 長野県  1Rマンション  70万円
 2016年 長野県  1DKマンション  180万円
 2016年 山梨県  4階建て一棟マンション 2800万円

「利回り20%以上」が物件選びの必須条件 

自身の不動産選び・購入の基準は「現金で買える不動産であること」「最悪の場合、価値がゼロになっても諦められるような低価格の不動産であること」だという。 

「山梨と長野に集中しているのは、場所のわりに価格が安く、コストパフォーマンスが良いためです。主に区分マンションを狙っています。その場合、同マンション内で同一面積の部屋と比較し、相場よりも割安か否かを判断します。ある程度戸数の多い分譲マンションの中で、割安感のある部屋をピンポイントに購入するのがコツです」 

さらに詳しい不動産選びの「条件」を尋ねると「鉄筋コンクリートマンション」「原則、区分所有(一棟マンションは実験的に購入した例外)」「相場よりも割安」「建設年が1985年頃以降」などの回答が返ってきた。 

その上で、最低目標を「利回り20%以上」と掲げる不動さん。地方の格安物件は、一度空室になると、翌年3月の引っ越しシーズンなど入居者が増える時期に入るまで、半年〜1年程度問い合わせゼロ、ということも珍しくない。そのリスクを踏まえると、利回り20%以上は必須条件なのだという。 

たとえば、2014年に100万円で購入した「甲府駅徒歩7分のワンルームマンション」は、毎月3万2000円の家賃で賃貸している。約1万円の管理費・共益費を差し引いて、毎月2万2000円程度残る計算だ。 

「固定資産税その他が年間5万円程度かかるため、実質利回りは約21%です。表面利回り38%ですが、地方物件は取引価格の割に税金や管理費・共益費が高いことが多く、これくらいの利回りで考えないと、たまにある『翌年3月まで空いてしまうかもしれない空室リスク』を回避するのが難しいです。そのため、利回り20%以上を意識しています」 

壁掛けテレビは豪華なイメージを簡単に演出できる 

徒歩20分超や車15分超など、立地条件が良いとはいえない不動産を多く所有する不動さん。それでも、同種のお手頃価格の不動産を買い進め、利回り20%以上を叶え、うまく客付けする秘訣は何なのだろうか。そこには不動さんならではの細やかな気遣いが大きく2つある。 

1つ目は、競合や条件が不利な物件によっては、中古家具をある程度設置した上で、「家具付き物件」として貸し出す、という方法。「家具付き物件」として広告を出すと、すぐに借り手が付くケースが多いという。 

2つ目は、家具の有無とは関係なく、すべての所有物件において、冷蔵庫とテレビは無料で付ける、という方法。冷蔵庫とテレビ、さらにはコンロ、エアコン(この2つは大抵備え付けられている)が揃っていれば、その日からでも住める。 

いずれも数日間泊まり込んで、自身で室内を整備するというから、コストも押さえられる。ちなみに、テレビやエアコンに関しては、不動さんならではのこだわりがあるようだ。 

「テレビは基本的に壁掛けテレビを選んで、取り付けています。私の経験上、激安32インチ中国製新品液晶テレビ(3~5万円)よりも、家電アウトレットや中古リサイクルショップで2万円程度で売られている有名メーカーの型落ち32インチ液晶テレビを買った方が、壊れにくく長期間使用できます」 

壁掛け金具はネット通販で2000円程度で購入できるため、壁掛けテレビの設置は総額3万円もかからない。ワンルームでも32インチ液晶テレビを壁掛けすることで、豪華なイメージを打ち出せるという。 

エアコンをおトクに手に入れる方法 

「エアコンについては、製造から10年以内の場合は交換せずに使いますが、15年を超える場合は必ず買い替えています。古いエアコンは電気代がかさむことから、入居者が『この部屋は電気代が高い』という理由で離れてしまうこともあるんです。 

エアコン購入のポイントは、特売品をまとめ買いすること。季節やタイミングによって価格変動が大きい商品ですから、リーズナブルに買えるときを狙うんです。まとめて買ったエアコンは、中古家具と併せて『倉庫部屋』に保管しています。まとめ買いをするだけで、エアコン導入コストの削減が可能です」 

とくに、6畳用の最安値のエアコンとは異なり、10畳用や14畳用などの大容量の機種は、時期によって価格差が大きいという。 

「冷暖房能力が高めの機種を設置した方が、エアコンの効きが良いため、夏および冬のピーク時の快適性が断然違います。冷暖房能力が部屋のサイズに追いつかず、常にフルパワーで稼働させることもなく、故障リスクが減る上に電気代も安く済むため、結果的に長く入居してもらえると考えています」 

地方物件を買ってはいけない人とは? 

最後に、不動さんと同様に地方都市で不動産投資をおこないたい方へ、注意点をあげてもらった。 

「地方都市の不動産は、低価格で手に入ります。ただし、一つ忠告させていただくとすれば、『時間に余裕のある人以外は、手を出さないほうがいい』ということでしょうか。というのも購入後、不動産に関わる人全員が、ゆっくりペースで動く人だから。 

現地の工務店も不動産屋も、地方都市ならではのスローライフを送っていて、大都市と比べると対応が迅速になされないことは多々あります。彼らと同じペースで気長に待てる、時間にゆとりのある人にしか向かないと思います。 

依頼しても動いてもらえなかったり、工賃は地方だからといって安いわけでもなかったり……だからこそ、自分でDIY(工事や清掃)をするほうが、早くて安く済む場合が多い、というのが地方不動産投資でのポイントかと思います。そういった点で地方不動産投資はとくに、お金にも時間にも余裕のある専業主婦の方に向いているような気がします」 

さらに気をつけるべきは、地方といっても目安は「人口30万人以上」のそこそこ人口の多い地域にある不動産を購入することだという。それより人口が少ない地域だと、タッグを組むことになる不動産屋の選択肢が少なくなり、良い不動産屋と出会えない可能性もある。 

「運良く、自分と相性の良い不動産屋と出会えて、田舎の激安不動産とうまく組み合わせられたら最高でしょう。とはいえ、初回はどうしても賭けになってしまうこと、そしてその地元の優良不動産屋1社が潰れた場合、自分自身の不動産投資も大打撃を受けるので、やはりリスクが大きいと感じています。 

地方の優良不動産屋が潰れることは少ないですが、個人店であることからオーナーの急死や後継者不足などの不可抗力で突然閉めることもあり、油断はできません。安いからといって、人口が少なすぎる地域にある物件は危険だといえます。貸せない、売れない、誰も助けてくれない……の悪循環に陥るとつらいでしょう。 

その上、評価額の1/3や1/5程度で取引されるケースも多い、地方不動産特有の売買価格から考えると、非常に高額な固定資産税を毎年取られるという、最悪のパターンに陥る可能性が高確率であるため、注意してくださいね」 

地方不動産投資を安価にかつ安全に始めたい方は、不動さんの教えを参考にしてみてほしい。 

不動たたみさんプロフィール

宅建士資格を持つ、不動産<投資>評論家。不動産そのものの評論でなく、あくまで不動産による「投資法」を判定する。

不動産投資としての物件管理、新規物件の購入、減価償却が終わった物件の売却などをメインに収入を得ており、2017年には不動産屋を開業、その会社で宅建士として勤務を開始。不動産投資で自活できるようになった裏技的ノウハウを伝えるべく、ブログやウェブマガジンにてコラム執筆中。

Twitter(@fudotatami)、Instagram(tatamifudou) 

ブログ(http://ameblo.jp/fudotatami)