最新IT技術の導入で空室がすぐ埋まった?

インターホンのモニターをタブレット端末に置き換え、それをスマートロックの操作だけでなく、入居者が自由に使用できるようにした賃貸物件が人気を呼んだ例もある。

楽待でコラムを連載している不動産オーナーの脇太さんに話を伺ったところ、インターフォンのモニター部分を「iPad」に変更したのは2016年11月。タブレット端末やスマートロックなどの導入にかかった金額は1部屋あたり約10万円だった。

物件があるエリアの家賃相場はおよそ4万9千円であり、脇さんの物件もそれと同額にされていた(同エリアでは「家賃5万円以下」という条件で探す入居者が多く、5万円を超えると反応が悪くなっていたとのこと)。ところが上記の設備を導入したところ、1000円値上げした家賃5万円ですぐに入居者が決まり、さらに5万2千円まで上げても入居者が決まったという。

それまで11月から12月の閑散期に出た空室は埋まるまでに3カ月はかかっていたところが、約3週間で全ての空室が埋まったので、このようなIT設備の導入は不動産経営にかなり効果があると実感した……ということであった。

実際、上記の例で言えば空室期間を2カ月短縮できたことで10万円の家賃収入増となり、すでに投資額は回収できている。その上に家賃アップもできたこと、今後の空室対策にもつながることから非常に有益な投資であると思われた。

マンション設備の遠隔監視システム「KKS」

次に訪ねたのは、マンションなどの給排水ポンプを遠隔監視する「稼働監視システム(略称:KKS)」を開発した株式会社レックアイ。住産業IT事業本部事業開発部長兼KKS事業部長の青柳淳さんに話を伺った。

「KKS」とは、センサーとインターネットを使用して給排水ポンプなどの運転状況を監視し、それらの設備の不調を検知するシステムだ。従来の装置は単純に故障等を知らせる警報を出すだけだったが、同社の「KKS」は設備の稼働状況を常時監視して蓄積されたデータを分析し、その設備の不調を「予測」する。つまり、壊れる前に設備の「交換・修理」を指示してくれるというものだ。

これにより、次のような効果が生まれてくる。

(その1)住宅設備の使用期間が伸びる

これまで「給排水ポンプ」といった住宅設備は「予防保全」という、「メーカーの推奨する耐用期間」で交換することが一般的だった。だが壊れる予兆を検知できる「KKS」を導入すれば、「設備が使えるまで使い続け、壊れそうになったら交換する」という「予兆保全」に切り替えることができる。

つまりメーカーの推奨通り10年で交換していたものを、可能な限り長い期間使い続けることも可能になるということだ。これはまさに設備にかかる費用を圧縮する効果がある。

(その2)緊急対応を減らすことができる

事前に故障などの予兆を検知することにより、故障してからの突発的な対応を減らすことができる。これによりマンションのオーナーや管理会社は事前に故障の予兆を捉え、その機器の点検・修理・交換を日常の定期点検に組み込むことができるということである。これは故障してからの突発的な対応よりも、大きく作業にかかるコストを減らすことができる。

(その3)確かな根拠に基づき、大規模修繕などを計画できる

「KKS」を使うことにより、マンションのオーナーや管理会社は蓄積されたデータに基づいて適切な修理・交換を検討することができる。つまり従来は「メーカーの推奨期間によれば……」といった曖昧な根拠でしか修理・交換を計画できなかったのが、「排水ポンプの稼働状況を10年前と比較すると来年には交換が必要と思われるので、来年度の予算を確保しておこう」というような計画が可能となる。

KKSの「先進性」

「KKS」が異変の予兆を検知した場合には、定められた「対応マニュアル」が指定された端末に表示される。これには「いつまでに、誰が、なにをするか」ということが網羅されており、その画面を見たマンションの管理人や管理会社が、ただちに行動できるようになっている。

「KKS」のサンプル画面

この「KKS」は機器の「オンとオフ」のみを検知する安価なセンサーを使用することで低価格化と、ポンプなどの配電盤に取り付けるのみという作業の簡便さを実現している。

マンションのオーナーや管理会社の声としては、先の設備コストや作業コストを圧縮できた他、近年のゲリラ豪雨に伴うマンションの地下駐車場の排水ポンプのメンテナンスに役立つというものがあった。地下駐車場の排水ポンプは設置場所の面から点検がしにくいにもかかわらず、故障していた場合には駐車場の車両が水没するという大きな被害をもたらす。それを監視する上で「KKS」は非常に有効だ、という内容であった。

導入コストについて

この「KKS」の導入コストについては、監視対象設備の点数・設置箇所の状況にもよるが、おおよそ次のようになる。

(1)初期費用:60万~(※システム設定作業、工事作業を含む)

(2)月額費用:500円/監視点(※月額費用にサーバ費用を含む)

また現時点では、建物設備の延命によるコストメリットの具体的な金額は公表されていない。所有する物件における建物設備の点数や想定される延命期間、交換・修繕費用などから、個別にコストメリットの有無を算出する必要があるだろう。

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