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身の回りのいたる所にある「コンクリート」だが、専門家でない限り、コンクリートという素材やその特性については知らないことがほとんどではないだろうか。保有物件にコンクリートが使われているという大家さんも多いはず。そこで今回は、意外と知らない「コンクリート」についてさまざまな角度からお届けしたい。

意外と知らないコンクリートの基本

コンクリートという素材は水分を吸いながら硬化していく。これは建設業に携わる人にとっては常識だが、一般の人にはあまり知られていない。

屋上緑化などで水分をコンクリートに含ませると劣化するのではないかと心配する人もいるが、それは逆だ。コンクリートは湿らせた状態をできるだけ保った方が劣化を遅らせることができる

コンクリートが硬化する期間は、季節によって異なるが、構造に耐える硬度に達するまでは、水を含ませて蒸発を防ぐためにビニールシートで覆ったりして、養生を行う。ちなみに試験センターなどでコンクリートの強度を調べる際には、硬化するまでの期間、コンクリートの「テストピース」を水槽に沈めて養生させる。

一般的には、養生期間は一週間ほどとなっているが、高層建築の場合は、コンクリートを流し込む際に「テストピース」を何本かとっておいて、規定通りの圧縮強度に達するまで養生を行う。

コンクリートはその後も数十年の年数をかけて少しずつ硬化し続け、40年くらいをピークにして劣化に転じる。その後は硬化する期間と同じくらいの時間をかけて、少しずつ劣化していく。そのため、築40年くらいで建て替えるのは、あくまで商業的な事情であって、建物自体は、働き盛りの最も頑丈な年代ということになる。

当然ながら、養生期間をちゃんと取らなかったコンクリートは、所定の硬度まで養生させたコンクリートに比べて劣化の折り返し点が早まり、寿命が短くなる。高層建築に使用されるコンクリートの場合は、国の個別審査を受ける必要があり、コンクリートの材質や養生期間などが厳しく管理されている。

最近よく聞く100年コンクリートという素材だが、コンクリートとしての素材に違いがあるわけではない。ただ、超高層の建築の場合は、コンクリートに含まれるセメントや骨材、水分量などが厳しく管理されており、管理状況によって100年間もつコンクリートになるのだ。

有名なニューヨークの摩天楼も、そのようにして厳しく管理されたコンクリート素材だから、現在も現役で活躍することができる。

また、ニューヨークの摩天楼といった名建築の場合は、コンクリートの表面をコーティングするといった手入れが施されている。

コンクリートは内部の鉄筋が錆びることによってひび割れが生じ、劣化が加速していく。硬化するまでの半世紀近い年月は水分を必要とするが、半世紀を過ぎて劣化に転じてからは、水分をできるだけ防止するためのコーティングが必要だ。コーティングによって、コンクリートのアルカリ性を保ち、中性化を予防している。

そのため、粗悪な管理で流し込まれた新しいコンクリート造よりも100年近いビルの方がはるかに頑丈で、解体に手間取ったという記録があるほどだ。

コンクリート造の建物は何年持つ?

結論から言うと、養生期間やコンクリートの配合をきちんと守ったマンションは、100年どころか半永久的に使用できる。また、超高層の建物のほうが安全だ。先ほど触れた通り、超高層建築(高さ60mを超す建物)の場合は、国の個別審査が必要になる。

また、セメントや骨材、水分量、施工方法に及ぶまで、日本建築センターの評定をパスする必要がある。限りなく手抜き工事が起きない状況で施工されるため、耐震性や耐久性に優れている。そのことはつまり、対応年数(コンクリートの寿命)も長さにつながる。

コンクリート建築の耐用年数は、築年数ではなく、コンクリートの中性化の進み具合で判断される。そのためコンクリート打ちっぱなしの物件よりも、表面にタイルを張ったタイプやペンキでコーティングした物件の方が寿命は長くなる傾向がある。

コンクリートの特性を理解し、こまめにメンテナンスをすることで100年以上持つ長寿の物件を保有することも可能かもしれない。