はじめての入居者様は、自宅建設中で仮住まいを探されていた60代の女性でした。当初3カ月という短い契約でしたが、ご自宅の納期が遅れたようで、結局半年間お住まいいただきました。
大抵の大家さんは、短期貸しを嫌がります。ですがそれを受け入れた私は、入居者様から大変感謝されました。私も初めての客付で苦労していたため、半年間でもご入居いただけたことが本当に有難かったです。短期間でしたが、「大家さんになる」という夢を実現させてくれました。
退去立会いは遠方だったため同行できませんでしたが、立ち会ってくださった仲介業者さんを通じて、電話で入居者様とお話しさせていただき、涙涙のお別れ。これがパート先の従業員用パウダールームでの話なので、周りにいたデパガ達は不思議に思っていたことでしょう。
次こそ繁忙期に客付するぞ!!
涙のお別れの後は、新しい入居者様を探すために早速客付け営業です。今度こそ繁忙期に決めようと、最寄駅の業者さんを中心にお手製の募集チラシを配ります。わざわざこのために千葉から大阪へ行きました。
リフォームでお世話になったKさんにも相談し、Kさんのお知り合いという業者さんもご紹介いただきましたが、それをアテにしてはいけないと前回の経験で学んだので、ご紹介はとてもありがたいのですがそれだけに頼らず、自分で努力をすることは必要だとつくづく感じました。
私の性格上、たとえ実らない努力でも、やらないよりはやったほうがマシ。あとでやらなかったことを後悔したくないので、とにかく行動を起こしてみるたちなのです。
目に付いた不動産業者に手当たり次第営業しました。アポなし訪問でも「どうぞお掛けください」と言ってお茶まで出してくださる業者さんもあれば、「何しに来たんだ」と言わんばかりに「はいはい、頑張りまーす」と軽くあしらう業者さんもあり様々です。おそらく手渡したチラシはその後すぐにでポイっと捨てられているのでしょう。
その中でも最も恐怖だったのが、ちょっと入りづらいな~と感じた店構えの不動産業者に入った時のこと。中にはスーツ姿の強面の男性が数名いらっしゃり、全員がこっちを振り向きました。イメージでいうと「ミナミの帝王」に出てくる事務所に一人で飛び込んでいった感じです。
手作り感満載の募集チラシを握りしめ「あ、あの、その、よかったらこのお部屋の客付お願いします」と震えながら手渡しし、逃げるようにお店を後にしました。
営業の甲斐があった!? 入居申し込みがあったのは……
そんなこともありましたが、せっかく大阪まで来たのだからと、一生懸命営業をして千葉に戻りました。あとから賃貸のポータルサイトを見るとたくさん営業回りをした割には2社しか載せてくれていませんでしたが、専任ではなく一般で募集をかけているのにも関わらず2社も載せていただけていることに感謝でした。
リフォームしたとはいえ、トイレ以外の設備はそのままですし、新品のピカピカではありません。駅徒歩5分、62平米、ペット可の戸建てという点では悪くないと思うのですが、築年数も35年とそれなりに経っているので、そんなに簡単には決まりません。
問い合わせもちらほらありましたが、内見までいかなかったり、あっても職業が安定されてない方や、外国人の方(インド人の方)だったりで、初心者の私にはどうしたら良いのかわからず、リフォームでお世話になったKさんに相談させていただきました。
Kさんのアドバイスでは「インド人は、宗教的な習慣で強烈な香りのするお香を焚くそうで匂いが染み付いてしまい取れない可能性がある。あまりおすすめしない」とのことでした。
その他は私が外国語を話せないので、日本語がしっかり喋れる人なのかを心配してくださいました。言葉の壁に関しては私も心配していましたが、お香の匂いのことは想定もしていなかったので大変参考になりました。
退去後にお部屋に匂いが染み付いて取れなくなるのも困りますが、住宅街からいつもお香とカレーの匂いがするというのも問題です。そうこうしているうちにそのインド人の方から正式に申込が入ってしまいました。
本来であれば申し込みが入って大喜びするはずですが、匂いの問題・言葉の壁があり、素直に喜べません。しかし、申し込みが入ったのですから、受け入れるのかお断りするのかをしっかりお返事をしなくてはいけません。
その時私はデパートで仕事中でした。笑顔で接客する傍、バッグを売ることよりもインド人の入居をどうするか…もうそのことばかりが頭の中をぐるぐるぐるぐる駆け巡り、全く仕事が手につきません(店長ごめんなさい)。ここでこのインド人の方を受け入れれば、空室期間の不安定な状態から解放される! でも、お香とカレーの匂いが…。
結局、結論が出ないまま、仕事が終わって携帯を見ると、仲介業者さんから着信があったので、とりあえずお電話しました。
私「もしもし? インド人の入居の件ですよね? あのですね、それについてまだ結論が出なくて…」
仲介業者さん「いや、舛添さん、さっきですね、別の方でこのエリア限定でお探しの日本人の姉妹の方が来店されまして、お部屋気に入っていただき申し込みをいただいたのですが、どうされますか?」
日本人! しかも女性!!
「はい! お願いします!」 即答です!
というわけで、この美人姉妹にご入居いただくことになりました!(なぜ美人ってわかるのかというと関西では賃貸契約をする際に顔写真が必要なのです)
こうしてようやくなっちー1号戸建は短期貸しではなく、普通賃貸の入居者様が決まりました。インド人のご入居を躊躇っている間に理想の入居者様に巡り会えるとは、なんてラッキーなのでしょう!
現在この美人姉妹にご入居いただいてから丸4年が経ちます。短期貸しの入居者様の時と同様、ご挨拶でお手紙と品物をお贈りしてから、お互いお中元とお歳暮を贈り合う仲に。私と年齢が近い女性ということで、「こんなの喜ぶかな? あんなの喜ぶかな?」って考えるだけでワクワクします。
好みが似ているのか、私が最近ハマっているお出汁をお贈りした時は「これ、前から気になってたんです! ありがとうございます」とLINEが届きました。他の入居者様もそうですが、何かあったらLINEで連絡が取れるようになっています。
この美人姉妹は、家賃が遅れることはないですし、これまでクレーム等も一切ありません。なかなか入居が決まらず、この物件を買ってしまったことを後悔した日もありましたが、はじめての不動産投資から、こんなに素敵な入居者様に巡り会えたなんて本当に私は幸せです。
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