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みなさん、石川貴康です。最近会社の中間納税の納付書が来ました。みなさんも、固定資産税の納付が始まり、個人の所得税の中間納税、個人の住民税の納税が始まりますね。なんでしょうね、この税金まみれの国は…(笑)。

それから、5月31日にプレジデント社から新刊が出ます。『だれにでもすぐできる100円チャリンチャリン投資』というタイトルです。私がどうやって小金を作っているかがわかる「恥ずかしい内容」になっています。楽待さんでも恒例のプレゼントをする予定ですので、是非読んでみてください。

さて、前回予告した通り、この4月に決済して、晴れて私のものになった戸建て2戸についての顛末をお話しします。淡々とした内容ですが、実際に行っている例をお伝えしますね。

なぜつくばエクスプレス沿いを狙うのか?

実は、この10年くらい東京の物件を買っていません。私にとっては高すぎて、私の間尺では投資に見合わないからです。逆にこの高値を狙って、何件も売却したくらいです。

去年めずらしく表面利回り8%超のアパート一棟を業者の仕込み段階から教えてもらい、買い付けを入れ、金融機関も前向きに動いてくれました。ところが、マイナス金利発表にビビった売主が売り止めするという事態で、案件がなくなりました。その後もぜんぜん都内に買えていません。

まあ、私としてはあくまで不動産投資は副業なので、無理して買う必要もないわけです。都内は、今は傍観。良い物件が業者経由で紹介されれば買うくらいの位置づけです。私の読みでは、オリンピック前に都内相場は崩れると思うので、それまで無理せず、別の地域の良い物件を買っていく意向です。

そうした中で、買い進んでいるのがつくばエクスプレス(以下、TX)沿線です。TX沿線は大規模開発が進んでいて、茨城県では唯一人口増加が起きている地域。成長も加速していて、今後に期待しているのです。

また、行ったことがある方はわかると思うのですが、都内への通勤が意外と早くて、楽です。つくば駅から秋葉原駅は45分くらいですから、都内への通勤圏に入っています。

そのうえ、住環境が素晴らしい。建築に規制がされているので敷地当たりの建物に余裕があり、広々とした住環境です。周辺も筑波山、筑波研究学園都市があり優れています。

また、研究所や大学があるせいか、住民の雰囲気が良く、おしゃれで知的な感じがします。物件を見に行った際、ここに住みたいと思ったくらいです。このコラムでも何度も書いているように、私の物件選びのひとつの基準が「自分が住みたいと思うかどうか」ですので、まさに合格なわけです。

ということで、私は今後もTX沿線は買いだと思っています。去年も今年も買いましたが、現在も次の物件の仕込み中です。

最近のスタイル:仕込み段階から物件選び

さて、今回購入した物件は、こんな買い方をしました。まず、最初のコンタクトは、不動産会社の懇意にしている営業マンとのミーティングから始まりました。

私が、「つくばで買い進むよ」と伝えると、「わかりました。仕込み段階からお話を流します」との合意ができたので、この不動産会社が土地や中古物件を仕込む段階から話を流してもらうことにしました。

前回の中古物件も、今回の新築物件も、土地を仕込んだ段階からの話です。特に、今回の新築は「隣の敷地にお墓がありますが、大丈夫ですか?」との打診から始まりました。

東京の谷中墓地近くに住んでいた私からすると、お墓は全然問題ない。逆に、お墓があるために横に高い建物がたたず、風通しも日当たりも良いとの認識です。「問題ないですよ。でも一度見に行きます」というのが、私の返事。

しかし、実は怠慢しまして、結局完成まで一度も行かずじまいだったのでした。

企画はお任せ、ただし表面利回り8%以上に

土地を仕込んだら、どんな物件を建てるのかを話し合います。自分で土地を買って新築を建てる場合、建物にこだわる方がいますが、私は新築物件を買い始めてからは、概要は聞くものの、企画についてはほぼお任せです。もちろん、こういう物件という説明を受けたうえで、ですが。

この不動産業者からは一昨年も新築戸建てを買っていて、デザインとクオリティには満足しているので、簡単なコンセプトを確認し、あとは「前回レベルのデザインとクオリティを維持してください」と言っただけ。

唯一の条件は利回り。表面で8%以上を要求しました。この要求は、結局この不動産業者から私が毎年複数棟買っている実績、管理物件の多さから表面9%を保証してくれるとのこととなりました。優良顧客になっていくことの意味は、こういう営業対応にも表れるものですね。

工事進捗管理もお任せ、融資は電話1本

私が買うと内諾はしたものの、買い付けは入れないまま、工事は着工。自分で土地を仕込んでの建設でないので、資金需要が発生せず、手間もなく、なんといいことか。以降、工事進捗の報告を受けつつも、私は何もせず。

完成3カ月前くらいから金融機関への融資打診が始まります。金融機関もいくつか検討しましたが、私は何もしていません。不動産業者が融資の打診のために複数の金融機関を回ってくれましたが、さほど反応が良くありませんでしたので、結局私のメインバンクから借りることに。

不動産業者の営業マンが金融機関を訪問し、事前説明をしてもらい、その後私は電話1本。「つくばの物件を買うので、融資お願いします。物件書類は不動産屋さんが持っていきます。融資検討お願いします」で終わり。

その後、融資の検討状況の連絡が入り、行内上申の条件を電話ですり合わせしただけで、私は一度も金融機関に行かないまま、融資の内諾が出ました

もちろん、法人名義での投資であり、融資です。しかもフルローン、というか少し残ってのオーバーローン。20年返済、今回は変動金利を選んでしまいました。理由は、融資担当が「変動の方が上申しやすい」と言ったからです。そのうち、状況に合わせて見直すかもしれませんが。

手付はたった50万円。手付も融通が利くのです

さて、物件の購入申込書を書いて、手付を打ちます。通常手付は物件価格の1割から2割程度ですが、この割合を私は守ったことがありません。私が買うと言ったらほぼ買いますし、融資はNGにならないことが事前打診でわかっているので、合意金額で手付を打ちます。今回はたった50万円

手付は少なければ少ないほど、資金繰り的に助かります。その上、今回は若干オーバーローンですから、この手付50万円以外、私の自己資金の動きはなし。しかも、この手付分は融資金額から回収してしまうので、自己資金ゼロでの購入です。

最初から私の物件! 名前をつけ、保存登記も私が最初

さて、今回は新築の企画段階からの取得です。物件に名前が付けられます。これは嬉しいことです。まるで、子どもに名前を付けるような喜びがあるのです。思えば、中古物件ばかり買っていた私にとって、物件に名前を付けるというのは、自分で投資を始めてから初めてのことです。

かつて祖母の相続対策のために実家で建てたアパート2棟の命名は私がしましたが、やはり自分で名づけると思い入れも変わりますね。今回も、いろいろ考えた末に名前を決めました。

募集開始、ところが登記でミス。決済の延期に発展

さて、まもなく完成に近づいたので入居者募集が始まりました。あとは融資決済だけと待っていて、決済日1週間前の驚くようなことが起きました。なんと、司法書士が建設中の不動産会社名で登記してしまったのです。

不動産業者も焦ったようです。ミスの原因は不動産業者と司法書士の連絡ミス。といいますか、なあなあ仕事です。馴染みの司法書士事務所なので、今回も一旦不動産業者の名前で登記し、売却後(私の購入後)移転登記をすると勘違いしたようです。

せっかく、お互いに「ムダな」登記費用を抑制しようと完成後の保存登記は私の会社名義でと合意していたのに、不動産業者はムダに登記やり直しになってお金がもったいなかったですね。

結局、登記をやり直しすることになり、1週間後に控えた決済は延期。金融機関にとっては打撃でした。少なからぬ金額の融資が年度末に決済され、彼らの年度の成績になったはずだったのに、それが流れたわけです。

一瞬、年度を跨ぐために融資NGになったらどうしようと思いました。折しも、金融庁から「アパートローン抑制」に指導が入り始めていたので、不安にもなりましたが、一度本部決裁がおりているため、そのようなことにはなりませんでした。ただ、担当者は、ちょっとがっかりしていましたね。

登記のやり直し、1カ月遅れで晴れて私の物件に、しかも既に満室

さて、登記やり直しとなり、きれいな状況(多分、未登記)になって、銀行決済に臨みました。4月の後半の「大安」の日です。私は、まったく暦は気にしないのですが、毎回不動産業者が気にしてくれます。

ただ、ある大安日がNGだと、次の大安日になって5日後になるとか、選択肢が少なくなるので、本業を抱える私にとっては面倒くさい。私は、仏滅も先負けも関係ないと思うのですが、不動産業者さんの昔ながらの配慮なので、そのまま受け入れるようにしています。

こうして無事決済が済み、融資、お互いの入出金、着金の確認が金融機関の会議室で行われました。少し時間がかかって2時間くらい拘束されました。なぜなら、私はこの間一度も金融機関に行っていないので、物件の入出金を把握するための新規口座開設、金銭貸借契約書の取り交わし、その他もろもろで時間がかかったのです。

以前は会社のゴム版を持っていかず、すべて手書きでもっと時間がかかりましたが、今回はゴム版を持っていったので、それでも少しは効率化しました。

着金が確認されると、司法書士は急いで法務局へ向かい、保存登記の開始をしてくれました。実際の仕事の完了は先になりますが、決済日に司法書士報酬含め登記費用は司法書士に支払います。不動産に関わる司法書士の仕事は買掛残が生じるような信用商売ではなく、現金商売なのですね。うらやましい。

司法書士退席後、火災保険と地震保険の契約をして、物件管理用に新規開設した口座からの引き落としの登録をして、終了です。

この物件は決済が遅れ、繁忙期を逃していましたが、決済時点で某製薬メーカーの社員の入居が決まっていて、即満室となりました。一部上場のグローバル企業の社員ですから、まあとりっぱぐれはないかと。こうした入居者の属性が良いのもつくば地域のいいところですね。

さて、さほど劇的なこともなく、淡々と物件が買われていくことが伝わったでしょうか。途中、途中、私の工夫が入っていて、いかに有利に物件を買うかという方法の開示にもなったのではないかと思いますが、どうでしょう。

今後、私は次のつくばの仕込み、札幌での買い付け、福岡での検討に移っていきます。劇的なことは起きず、淡々と買い進めていくので、なんだかドラマチックでないですね。ま、それが投資の王道といえば王道なんですけどね。成功事例の繰り返し、それが退屈な王道路線ですかね。

一方、冒頭で書いた通り、ちょっと軽めの本『だれにでもすぐできる100円チャリンチャリン投資』にはかなり遊びも入っています。なんと、物々交換まで網羅しています。100円からの投資とか、知りたくないですか? ということで、6月以降、この新刊で少し遊んでいこうと思っています。さあ、投資、投資。それでは、また次回に。