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このコラムでは、投資家にぜひチェックしていただきたいオススメの書籍を取り上げ、5分で概要がつかめるようにご紹介したいと思います。

今回は、西山美紀氏による『お金が貯まる「体質」のつくり方』(すばる舎)。

私はこれまで10年以上、ライター・コラムニスト・ファイナンシャルプランナーとして取材を重ね、1万件以上のお金のデータを分析してきました。

また、お金が貯まる人、貯まらない人、のべ500人以上にお話を聞いてきました。

すると、お金をたくさん貯めている人は、みんなお給料が多いわけではなく、それよりも、お金の使い方や日々の生活習慣、考え方などの、いわば“体質”の差が大きいと気づいたのです。(「はじめに」)より)

本書では西山氏の膨大な実績を軸に、「お金が貯まる体質」になるためのコツが紹介されています。

毎日の習慣、買い物の仕方、お金のため方や使い方など、シンプルでわかりやすいものばかり。今回は第4章「実践! おサイフも暮らしも潤う貯蓄テクニック」から、「とにかく『財形貯蓄』に、月1万円でもいいので申し込む」をご紹介したいと思います。

著者がここで注目しているのは「財形貯蓄」。ご存知の方も少なくないと思いますが、これは「勤労者財産形成貯蓄制度」。つまり勤務先が金融機関と提携し、給料やボーナスから天引きでお金を貯める制度です。 

貯め上手な人は必ずといっていいほど財形貯蓄をやっているか、過去に経験しているのだと著者。財形貯蓄は「楽しく貯めるための登竜門」だとすらいいますが、それは財形貯蓄が「給与天引き」という最強ツールだから。

自分の力で貯蓄をするとなると、なかなかうまくいかないもの。しかし財形貯蓄なら、一度勤務先で手続きをするだけでOK。自分の意思とは関係なく、勝手にお金が貯まっていくというわけです。 

月3万円の財形貯蓄で、3年後には100万円貯まっている

たとえば月3万円の財形貯蓄を申し込んだとすると、マイナス3万円の給料が振り込まれることになります。20万円の手取りなら、17万円になるということ。

そのため最初は少し物足りなさを感じるかもしれませんが、以後も毎月17万円が振り込まれるわけですから、その金額を「自分の手取り」だと感じるようになるまでには、それほど時間がかからないといいます。

そうなればしめたもの。特別なことをしなくても毎月3万円が貯まっていくので、1年間で3万円×12カ月=36万円貯まることに。3年が過ぎれば、勝手に100万円が貯まっているということです。

財形貯蓄をすると、お金を引き出す際にも、勤務先の人事部か経理部、総務部などに行って手続きをする必要があるので、心理的なハードルが上がります。

これも、気軽に引き出せなくなる、つまりお金が貯まる大きなメリットと言えます。(159ページより)

なお、財形貯蓄には、「一般財形貯蓄」「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」の3種類があるそうです。一般財形はお金の使い方が自由。住宅財形は住宅購入やリフォームなどに使う資金として、財形年金財形は老後の資金として積み立てるもの。

自由度が高いのは一般財形。ですが、将来住宅を購入したり、リフォームしたりする可能性がある人には、住宅財形がおすすめなのだとか。

住宅財形と年金財形の元利を合わせて550万円まで(年金財形の生命保険などは払込額385万円までは、ついた利子に税金がかからない(=非課税)といったメリットがあるというのです。

自然と「貯まる体質」になれる方法が満載 

ただし、財形貯蓄は、勤務先に制度がないと利用できません。そして、もし勤務先に制度がなかったら、銀行で「自動積立定期」を申し込むことを著者は勧めています。

自動積立定期とは、毎月3万円などを無料で定期預金に振り替えてくれる仕組みのこと。給料が振り込まれている口座で申し込むことによって、給与天引きのような感覚で、手間なく貯めていくことができるわけです。

誰でも簡単に「貯まる体質」になれるのが財形貯蓄、そして自動積立定期預金。お金のことを考えなくても、普通口座にあるお金を全部使い切っても、別のところに貯まっているので安心だということ。

ダイエットにたとえるなら、寝ている間に、知らずに自分がエクササイズしているような感覚だといいます。

いうまでもなく、日々の生活のなかで無理なく応用できること。他にも「心が満たされるお金の貯め方、使い方心が満たされるお金の貯め方、使い方」など実用的なアイデア満載なので「お金が貯まる体質」になりないのなら、ぜひとも読んでおきたい一冊です。