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こんにちは。鑑定士×投資家です。今回もコラムをご覧下さり、ありがとうございます。前回のコラムの中で「事業計画書の持参は、実は不要」と述べさせて頂きましたが、このように皆さんが勘違いしていることは多々あるものです。

そこで今回は「よくする勘違い」にフォーカスして解説させて頂きます。

銀行融資については色々な情報が飛び交い、一概に言えないというのが正直なところではありますが、僕のこれまでの実体験を踏まえてコメントしていきます。

今回は5つの勘違い(都市伝説と言った方が良いかもしれません)について列挙させて頂きました。皆さんも一度は聞いたことのあるような内容ではないでしょうか。

勘違い1:担保評価(積算価格)が高ければフルローンが見込める!

不動産投資家であれば誰もが欲するフルローン。僕はこれまで取得してきた物件のすべてをフルローン以上で購入してきておりますが、実はこれにはあるコツみたいなものがあります。

巷では、物件の担保評価、要は積算価格が高い物件であれば自ずとフルローンが見込める、と言われることがあります。これは、ある意味正しいと思いますが、金融機関サイドの視点が欠けていると思います。

皆様ご存知のとおり、多くの金融機関は積算価格を重視します。中には収益価格を重視する金融機関もありますが、積算価格を重視して担保評価をする金融機関がほとんどです。

しかしながら、金融機関が見ているのは持ち込まれた物件の担保価値だけではありません。それに加えて、融資申込者の「人物評価」も同時に行っているのです。

例えば、融資申込者の勤務先、勤務年数、年齢、年収、金融資産、保有不動産、家族構成、残債額、確定申告書など……。つまり、金融機関は「この人にお金を貸して大丈夫か?」という視点でも評価しているのです。

つまり、金融機関は、物件評価・人物評価を行って総合的に見て融資可否を決定しているのであり、積算価格が高い物件であればフルローンは出るとは一概に言えません。

因みに、僕の場合ですが、フルローン以上の融資を引くために、人物評価のポイントを少しでも上げるために日々努力しています。コツコツと金融資産を作ったり、年収を上げて属性を磨いてきり……、これに近道はありません。一朝一夕にはいきませんが、誰にでもできる努力・工夫だと思います。

なお、金融機関の融資基準にマッチした物件を持ち込むということは言うまでもありません。

勘違い2:自己資金ゼロで始める不動産投資!

「自己資金ゼロで始める不動産投資」といったフレーズをネットや書籍で見かけることがありますが、これは本当のことなのでしょうか? 本当だとしたら非常に羨ましい話です。

僕は先述のとおり、フルローン・オーバーローンを引いて不動産投資を実践していますので、自己資金をほとんど投入することなく不動産を購入できています。

しかし、これは結果論であって、不動産投資を始めるに当たり、自己資金が要らないということではありません。すなわち、上記1でコメントしたように、担保評価が十分に出る物件を持ち込み、良好な属性とある程度の自己資金(金融資産)を見せることによって、金融機関からフルローン以上の融資を引き出すことに成功しているのです。

このようなロジックの下、結果的に自己資金を使うことなく不動産投資が出来ているということです。

ここで、金融機関から求められる自己資金の額が気になるところだと思いますが、最低でも物件価格の1~2割の自己資金(金融資産)を見せたいところです。

勘違い3:預金をすると融資に有利に働く!

定期預金や積立等をすると金融機関の心証が良くなり、融資のときに有利に働くということが真しやかに囁かれることがあります。

結論から言うと、これは基本的に無いと思います。数千万円、数億円の預金をすれば有利に働くのかも知れませんが、数十万円~数百万円程度の預金で融資に有利に働くとは思えません。加えて、こういったバーター取引はコンプライアンス上にも問題があります。

かく言う僕も、投資初期の頃に地元の地方銀行や信用金庫等に定期預金を入れていましたが、お付き合いに至ることはありませんでした。物件を持ち込んで融資評価依頼を何度かしたことがありましたが、まったく取り合ってもらえませんでした。

周囲の投資家にも聞いたことがありますが、定期預金・積立をすることは無意味と皆さん同じような回答でした。

したがって、預金をしても融資に有利に働くことはありませんので、定期預金等はしなくて良いと思います。

逆に、融資を引いた後、銀行の担当者から預金・保険・クレジットカード加入等のお願いをされることは多々あります。上記とやや矛盾するかもしれませんが、彼らもノルマを抱えておりますので、出来る範囲で協力はしています。

勘違い4:金融機関は新設法人には融資しない!

あるセミナーで講師が声高にこんなことを解説していました。

「新設の資産管理法人には絶対に融資はつきません。区分所有など小さな物件を現金で購入して、実績を作ってから融資申し込みに行かなければダメです」

「会社にはいろいろ種類がありますが、信用度の高い株式会社じゃないと銀行は融資してくれません」

これはさすがに講師の知識不足だと感じましたし、本当に不動産投資を実践しているのか? と疑問に思いました。

金融機関は何ら経営実績のない新設資産管理法人に対して融資をしますし、会社の種類は基本的に問わないはずです。現に僕は、新設の資産管理法人(合同会社)で融資を受けています。

余談になりますが、不動産投資では株式会社ではなく、合同会社で十分です。合同会社は、株式会社と比べて社会的認知度が低い、合同会社のままでは株式公開できない等のデメリットがありますが、株式会社と比べてイニシャル・ランニングコストが非常に安いというメリットを享受できるのでお奨めです。

勘違い5:確定申告書が赤字だと次の融資は受けられない!

個人・法人問わず、確定申告書が赤字だと融資は受けられないといったようなことを言う人がいます。これはある意味で正解なのかもしれませんが、不正解ともいえます。

不動産投資では基本的に1年目は赤字に陥ります。購入時の諸費用が大きいからです。不動産売買を経験された方はお分かりになると思いますが、購入時には、仲介手数料、登録免許税、司法書士報酬、固都税按分、印紙代といった諸費用がかかってきます。これら諸費用が初年度に経費計上されますので(厳密には仲介手数料は減価償却)、どうしても赤字になってしまいます。

金融機関もこのことを理解していますので、初年度の赤字は大目に見てくれるところが多いです。融資にほぼ影響はないと考えて頂いて問題ないと思います。

したがって、2年目以降に融資を引きたい場合は、赤字を回避し、黒字化を狙って経営しなければ次の融資は覚束ないと思います。黒字になれば所得税や法人税等の税金が発生することになりますが、これは「融資を引くための経費」と割り切ってみては如何でしょうか。

このように、表面上の噂だけで勘違いされている方が多いように感じます。実際にご自身で金融機関の担当者と話し、正しい情報を得るよう心がけて下さいね。