時代と共に変化する超高利回り投資を実践する関西の雄、小嶌大介さん。グラフィックデザイナーでありながら、プロのキックボクサー、街金の取り立て屋、道行く人に有料で殴られる「どつかれ屋」の経験など珍しい経歴を持ち、どれだけ働いても手取りは25万円、毎日深夜までの激務が続くサラリーマンデザイナー時代に「なんとか社畜を脱出したい!!」とFXに挑戦して大失敗。
その後、一念発起して不動産投資を開始。ボロボロの廃屋をオシャレに再生するスタイルで、たった2年でサラリーマンを卒業! 現在はLINEで仕組み化した若者向けのシェアハウスで超高利回り投資を実現している。そのノウハウを紹介する!
50万円+借りた100万円を元手に不動産投資を開始!
小嶌さんが不動産投資をはじめたのは、今から7年前の2010年のこと。当時は広告制作事務所に勤めており、グラフィックデザイナーをしていたそうだ。クリエイティブな仕事とはいえ、給与体系は普通のサラリーマンと同様で、残業代も出ない中、毎日深夜まで就労していたという。
「広告制作という仕事はやりがいがあるけれど、家族との時間や趣味など、自分の生活を顧みずがんばり続けることに違和感がありました。そんなときに自宅を購入、数十年にわたって支払い続けなければいけない住宅ローン、子供の教育費や将来のことを考えると絶望的な気持ちになり、給与収入以外に収入の柱を持ちたいと思ったのです」
そうして、小嶌さんはコツコツ貯めたお小遣いでFXからアフィリエイトと、投資や副業にチャレンジするが、なかなかうまくいかない中、不動産投資に出会った。
「なけなしの30万円をFXで一瞬で失ったこともあります。様々な道を模索する中で、加藤ひろゆきさんの書籍などを読みました。当時、自己資金は50万円しかなく、父と嫁に50万円ずつ借りて計150万円で何とか物件を買わなくてはいけませんでした。そうして行きついたのは、ボロボロで今にも崩れそうな廃屋物件でした」
小嶌さんの住む大阪は、狭小のテラスハウス(連棟長屋)が多くあり、建て直しも難しいことから、ありえないくらいの安値で売られていることもある。
「安い物件にはそれなりに理由があります。僕が購入した物件もとてもそのまま住めるようなものではありません。そこで、父に協力をお願いしてDIYで物件を再生しました。時間も労力もかかりましたが、すぐに入居者がついて家賃収入が得ることができました」
1号物件は物件価格が90万円で、諸費用として10万円程度。残金の50万円でリフォームを行ったところ、家賃5万9000円で貸すことができて、利回り40%を達成! それ以来、廃屋同然の物件をリーズナブルに再生することで高利回り物件を次々と作り出していくようになった。
「3号物件は小規模ですが、アパートを購入して、それからは戸建てばかりでなく、集合住宅を購入するようになります。また、売却と購入を組み合わせることで、手元の現金を増やしていきました。
合わせて共同担保を作ることで、融資によるレバレッジをかけることができるので、投資スピードを加速させることができました。そうして、不動産投資をはじめて2年でサラリーマンを辞めて独立することにしたのです」
そうやって規模の拡大を進めて、いつしかキャッシュフローは2000万円を超えるようになっていたそうだ。
ボロボロでゴミだらけの「元社員寮」を1000万円で購入
そんな小嶌さんがシェアハウス投資をはじめたのは2014年。不動産会社が所有していた元社員寮を、金融機関の紹介で購入したのがきっかけだった。これまでの物件再生・物件運営の実績を金融機関に評価されたこともあり、任意売却間際のいわゆる川上物件情報が入るようになったのだ。
「お金は貸せないけれど、買いませんか? と声がかかり現金購入しました。社員寮といっても、元々は建設会社の寮で、日雇い労働者が住むような風呂なしのボロボロアパート、当時は生活保護者向けでした。
共同玄関に共同シャワー、住んでいるのはガラの悪いおっちゃんで、部屋はぐちゃぐちゃ。家賃滞納はもちろん、暴れる、夜逃げ、犯罪行為といったトラブルばかり。買って2年は地獄の番人というか管理人をしていました」
とても普通の大家さんに手におえる物件ではなかったが、デザイナーとはいえ、かつて街金の取り立てをしていたので、なんとか管理運営することができていたそう。
「街金の社長が主人公の牛島くんという漫画がありますが、まさにあのような世界です。管理に苦労するだけあって、満室時の利回りは100%でしたが、とにかく苦労が続きます。部屋で暴れて壁を破壊したり、鍵を忘れた入居者が、ドアをバールで壊したり、共有スペースにテレビを置いたら、防犯カメラを引きちぎって盗む入居者もいました」
売買価格1000万円に対して、年間に1000万円の収入がある超高利回り物件。ただし、途方もなく手間がかかる物件でもあった。
「物件の運営は管理会社との二人三脚でしたが、地獄の管理人はともかく、このままでは地獄の住人になってしまうような気がしました。いくらお金になっても、精神衛生状よくないですし、未来志向ではありません」
そこで小嶌さんは利回り100%の物件を、まったく違う物件に作り替えることを決意した。
「まっとうな投資にするために、入居者の入れ替えを行うことにしました。そして、おっちゃんたちに退去してもらいました。おっちゃん達の退去は不動産屋にお願いして、丁寧に次のお住まいに移動してもらいました」
部屋を空けてから傷んだ部屋のリフォームを行うことになるが、どのような再生にするか悩んだところ、水回りの問題からシェアハウスが適しているのではないかと考えたそうだ。
「当時はまったくノウハウがありませんから、先輩大家さんの元へ出向き、どのような設備が必要なのか、どのように運営すればいいのかを聞きました。また入居募集についても、普通の賃貸物件とは随分違います。とにかく手さぐり状態で、進めていきました」
入居者の立ち退きに3カ月、リフォームに3カ月、入居募集をはじめて満室になるまでに半年。シェアハウス運営を決めてから、おおよそ1年間かけて経営を健全化させた。
「リフォームには300万円程度お金をかけていますから、利回りは100%から50%に下がりました。以前の生活保護者向けの家賃と共益費に比べると、シェアハウスの家賃は下げましたが、長い目で見ると退去後の修繕費と広告費などの客付コストがかからない分、利益が大きいのです。
なにより、おっちゃん向けのボロボロアパートが、若者向けのシェアハウスに生まれ変わったのです。以前は人を寄せ付けないような異様なオーラがあったのですが、すっかり雰囲気が変わり、明るく楽しいシェアハウスになりました」
そこに至るまではかなりの苦労があったが、購入もリフォームもすべてを現金で行っていたこともあり、シェアハウス運営を軌道に乗せてからは、まさにキャッシュマシーン状態。ちょっとした手間で毎月安定的な収入をもたらしている。
○before:おっちゃん向けのボロボロアパート
○after:若者向けのシェアハウス
○物件概要
所在地 |
大阪市内 |
構造 |
木造 |
戸数 |
1k×20戸 |
物件売買価格 |
1000万円(+リフォーム費用300万円) |
表面利回り |
50% (満室時) |
手取り10万円台でもオシャレに住みたいニーズがある
家賃水準の高い東京とは違い、大阪は市内といえ単身向けのアパートは飽和状態で、部屋が狭かったり立地がいまいちだったりする場合は、2万円台の物件もある。このように格安の賃貸物件が乱立する中で、シェアハウスの需要があるのだろうか。
「安いアパートに住む層と、シェアハウスに住む層というのは、まったく違います。たとえばショップ店員、カフェ店員、美容師など、見た目はオシャレな仕事でも、給料がすごく安く毎月の手取りが10万円台なんて仕事もたくさんあります。
会社に勤めている人でも派遣社員や、かつての僕のように低賃金のブラック業界で働く人、留学してこれから仕事を見つけるような人など、『こんな人』と一括りにはできないのですが、みんな一生懸命頑張っているのに、収入はめっちゃ低いのです」
そう小嶌さんはいう。そして、経済的に余裕がない人であっても、理想とする住まいはあり、「お給料が高くないので、家賃にかけられるお金に限度があるけれど、それでもオシャレに快適に暮らしたい!」というニーズがある。
「そのような人たちを支援する、といえばおこがましいですが、若者のニーズに応えた魅力的でリーズナブルなシェアハウスを作ったら、うまくハマったという感じです。
また、シェアハウスは仲介の仕組みが違います。仲介業者を使わずインターネットの募集サイトを利用します。そのため、仲介手数料や広告費といったものは存在しません。入居者からしても初期費用が少なく、保証人がいなくても、たとえ無職であっても入居できるのは魅力でしょう」
そのため普通借家契約でなく、3カ月の定期借家契約にすることでリスクヘッジをしつつ、入居者を受入れる。普通借家契約では、1度契約をしてしまうと、問題のある入居者であっても「正当な事由」がない限りは、なかなか退去させることはできない。
しかし、定期借家契約は「契約の更新がない」契約のため、契約期間が終了した時点で契約が終了し、確実に明け渡しを受けることができる。つまり、問題のある入居者であれば、契約期間終了後に退去させることが可能。もちろん優良な入居者であれば、契約更新を行えばいい。
LINEグループを使ったシェアハウス管理
現在、小嶌さんは現在3棟のシェアハウスを自主管理していて、募集から内覧、契約まで1人で行っている。
「入居者募集はシェアハウス専門のポータルサイトと自社サイトでしていますが、広告料や仲介手数料はなく、ポータルサイトのメールやりとりで数百円程度のコストです。これはポータルサイトに支払う金額で、ポータルサイトの物件登録の基本料金とメール一通に対して数百円が課金される仕組みなのです。
内覧については入居希望者と日時を決めて不動産業者のように案内をしています。基本的には面談を行って、ハウスルールを守るかどうかを聞きます。ハウスルールは、共同生活における基本的なこと。守れなかったら、イエローカード、何度もしたらレッドカードで退去してもらいます」
入居者管理にはスマホアプリのLINEを使っており、家賃滞納があれば「払い忘れている人は払ってください!」とグループにコメントを送るだけ。
入居者に班長をお願いして、備品管理を頼み、定期清掃も入居者にバイトで依頼。退去清掃は部屋をキレイにしてくれたら、入居時に預かった保証金を全額返金するというルールにしているため、クリーニング業者を使うこともない。小嶌さんは月に一度様子を見に行くだけで、順調に運営できている。
「その他、工夫といえば『たこ焼きパーティ』などハウスの仲間4人以上でイベントをしたら、コメント付で写真を送ってもらい、3000円の謝礼を渡しています。そして、楽しそうなイベントの様子を自社サイトで紹介してシェアハウスの告知に使う……といったようなこともしています」
一般のアパート・マンションとはルールが違うシェアハウス投資を行う大家さんも増えているが、管理運営を代行会社にまかせてしまえば、売上の2~3割の費用がかかるのが相場。小嶌さんは低コストを維持しながら、手間をかけずに高い稼働率を誇っている。
「シェアハウスというと手間がかかりそうなイメージがありますが、しっかりやり方を決めてしまえば、あとは繰り返すだけ。サラリーマンであっても、自宅から2時間程度の距離であれば充分に管理できると思いますよ。仕組み化で安定高収益を目指しましょう」
最後にこれからの投資についてお伺いした。
「現在、アパート・マンションといった従来の大家業と、シェアハウスという新しいスタイルの賃貸経営の2本柱で行っています。アパート・マンションは基本的には廃墟物件ですが、入居者のニーズに合わせて、『客付に強い』物件に再生しています。
シェアハウスについても、ボロボロ物件を再生することに変わりありませんが、その運営の仕方が変わります。同じ強い客付でもマーケットが全く違うのです。この部分に大きな魅力と可能性を感じています。今もシェアハウスを1棟企画中ですが、自分だけが儲かるのではなく、入居者に喜ばれる物件を提供していきたいと考えています」
高利回りを求める投資家は多いが、いくら数字がよくても満室にならなければ、それは絵に描いた餅。小嶌さんは物件再生の手腕もさることながら、物件運営についてもパワーがある。それは特別なことではなく、努力をすれば誰にでも再現可能で、かつての小嶌さんのようにブラック業界に勤めている人、低賃金の非正規社員の人にこそ、不動産投資を勧めたいという。
「風呂なしボロアパートをリノベするシェアハウス投資は、時間や労力はかかりますが、安い金額でスタートできるのが最大の魅力ではないでしょうか。書籍やセミナーなど情報も溢れていますが、信頼できる大家の先輩を見つけて、その人のそばで勉強させてもらうのがいいと思います。
最低限の知識は必要ですが、自分で行動を起こして、ペンキ塗りの手伝いをして、やり方を学ぶ……そういった方法の方がゴールに近づけると思います。そして、あきらめずに続けること! これが大切だと思います」
芸術系大学卒業後、広告業界で約10年グラフィックデザイナーとして勤務。元プロキックボクサーで、街金の取り立て屋、道行く人に有料で殴られる「どつかれ屋」の経験など珍しい経歴を持つ。
2010年、社畜脱出を目指して不動産投資に挑戦。デザイナー独自の目線と切り口で築古物件のブランディングを構築し、賃貸市場に送り込む。物件の個性を活かしたおしゃれな古家生活を提供している。
元手50万円からスタートして、たった2年で専業大家として独立! 独立後は「magico株式会社」を設立し、デザイナー大家として活動。現在所有物件は約100戸で、借入総額7800万円にして家賃年収3500万円、平均利回りはアパート・マンションが約20%・シェアハウスが約50%。著書に「利回り70%超! 廃屋から始める不動産投資」(ぱる出版)がある。
新刊「50万円の元手を月収50万円に変える不動産投資法 築古物件を高利回り物件に再生・蘇生するリノベーション術」(ぱる出版)が7月25日発売!
シェアハウス公式HP:http://osakasharehouse.jp/
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