「ベイマックス」のゴーゴー役や「Go! プリンセスプリキュア」キュアマーメイド役などの声を担当する人気声優・浅野真澄さん。その他にも童話作家や作詞家、歌手などといった幅広い分野で仕事をこなす多彩な才能の持ち主だ。
そんな彼女のもう一つの顔が投資家。はじめはお金について全く無知だったという浅野さんだが、今では株式投資で順調に利益を出しているそうだ。今回はそんな彼女に、投資を始めたきっかけや浅野さんならではのノウハウについてお話をうかがった。
お金についていろいろ勉強したかった
——浅野さんが投資をはじめたきっかけは、ラジオ番組「浅野真澄×山田真哉の週間マネーランド」だそうですね。
「はい。実はこの番組は、私の希望から始めたものなんです。ラジオ局で新しい番組の企画案について話し合っていたとき、お金に関する番組をやりたいなぁって関係者の方に伝えたら、話がトントン拍子に進みまして。それで、顧問税理士の山田さん(※)を巻き込んで2年前に番組をスタートすることになりました」
※山田真哉さん:公認会計士、税理士。150万部を突破した『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』の著者でもある。
——以前からお金に関心があったのでしょうか?
「はい。子供の頃、実家が極貧でして(笑)。当時は、いろいろとお金のことで悩まされました。やっぱりお金に関する知識がないと何かあったときに自分を守れないんだな、と感じたことが、お金に興味を持ったきっかけですね。
世間では、お金に関する話題=恥ずかしいこと、みたいなネガティブな印象があると思いますが、しっかりと学ぶべきことだと私は思うんです。そんなお金について、視聴者の方に楽しく伝えられたらいいなぁと思って提案しました」
自腹で1000万円投資し、300万円の利益!
——どのように投資をスタートさせたのか、教えてください。
「番組のスタート当初は、私が山田さんからお金の基礎について学ぶ形式でした。あの頃は、キャッシュカードとクレジットカードの違いもわからなくって…。そして、ある程度の知識が備わってから、株式投資を始めることになりました」
——投資額はどれくらいだったのでしょうか?
「はじめは100万円でした。でも、やっていくうちにどんどん楽しくなってきて1000万円投資することにしました。株って基本的に100株ずつしか買えないので、100万だと一株の価格が1万円を超える銘柄は購入できないんですよ」
——この1000万円は自腹でしょうか?
「自腹ですね(笑)。だってその方がリスナーの方も面白いじゃないですか! 私自身も身銭を切っているぶん、勉強しようって気合が入りますし。それに、自分からお金の番組をやりたいと言った手前、私だけが安全なところにいるのはどうかと思いまして、やるならしっかりやろうと」
——すごい覚悟ですね! はじめての株式投資、結果はどうでしたか?
「3、4カ月で300万円分の利益を出すことができました。当時、マザーズのバイオ関連株を持っていたのですが、それが上手く上がったんです」
「これから来そうだな」っていう企業を青田買いします
——300万円の利益は素晴らしいですね! 浅野さんの投資スタイルについて教えてください。
「株主優待とかよりも、値上がり益目的で取引をしています。選ぶ基準は、値上がりが見込めるもの、ワクワクするもの、動きの激しいものですね。ドキュメンタリー番組で取り上げられた企業をチェックしたりとか。ガンの特効薬とか作っている会社が成功するといいなぁと思って購入したこともあります。これが来るんじゃないかなというものを、青田買いするカンジかな(笑)」
——投資方法には、山田さんの影響もあるのでしょうか?
「いえ、それが全然(笑)。山田さんは、どちらかと言うと株主優待とかが好きなタイプですね。銘柄も新興企業やベンチャーが多いマザーズなどではなく、東証などの認知度の高い企業に投資されていますね。でも…ときどき大きな賭けに出るんです。『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』の印税5000万円を当時はじめたばかりのFXで使いきったという話には驚きましたね〜」
——5000万円、すごい額ですね…。それでは、浅野さんが株式投資で、やったー! と思った瞬間や、がっかりした経験について教えてください。
「やったー! という瞬間は、やはり購入した銘柄が上がった時です。いけるかなーと思って買った銘柄がストップ高になったり、現状は赤字だけど絶対来ると思った企業がその後すごい値上がりしたりすると、よし! ってなります(笑)。
ガッカリした瞬間は、とあるガンの特効薬を作っている製薬会社の株を持っていたのですが、お仕事のナレーションでその特効薬が高過ぎる金額設定だと言わなくてはならなくてはならず…。声優としての自分と投資家としての自分の間でかなりの葛藤がありましたね(笑)。オンエアー後はやはり下がってしまいました」
——投資する際に気をつけていることや、ご自身で決めたルールはありますか?
「メンタル的に辛くならないように、資産運用=趣味と考えてやっています。趣味は楽しいからやるもの。落ち込みすぎや、株価が気になって仕事が手につかなくなる状況を避けるためにも、手放すタイミングと売るタイミングを決めてから新規購入をするようにしています」
不動産投資をするなら、地価が下がりにくい港区や渋谷区あたりかな
——浅野さんの不動産投資に対する印象を教えてください。
「仕事柄、あまり声優には融資していただけなさそうな印象がありますね〜(笑)。もし、やるんだったら慎重にやらなきゃと思います」
——なるほど。もし、実際に不動産投資をやろうってなった場合はどんな物件に投資してみたいですか?
「フィリピンとか海外投資も人気ですが、そこに行ったことや、住んだ経験もないので、やるなら日本国内ですね。売却する場合にキャピタルゲインが得られる物件がいいので、港区とか渋谷区などの人気の立地で物件を探すと思います。
私は株でも、現物取引しかしないという投資スタイルなので、不動産に投資する場合も、大量の資金を借りるのではなく、あくまで自分の貯金の範囲内でできるものに挑戦したいです。初心者ですから、REITなど、少額からはじめられるものもいいですね」
投資は「世界とつながる手段」
——声優や童話作家、歌手としての活動などご多忙な浅野さんですが、どんなタイミングで投資をされているのでしょうか?
「お仕事が始まるのが朝の10時からなので、毎朝8時に起きて板状況を確認しています。あとはお昼の休憩とか空き時間にスマホでチェックすることが多いですね。あと、比較的長く開いた時間があれば、テレビや本で投資の勉強をしたりしています。この前ももっとお金のことが知りたくてファイナンシャルプランナーの2級と3級の資格を取りました!」
——勉強熱心で、素晴らしいですね! やはりお金について学ぶのは面白いですか?
「面白いです! 投資をやっていると、世界の見え方が変わるんです。いままで流し見していたニュースが他人ごとには見えなくなって、イギリスのEU離脱にハラハラしたり、トランプ大統領の就任で一喜一憂したり…。自分が世界の一部なんだなと感じることができますね」
——なるほど。それでは最後にこれから投資を始めようと考えている方、投資に興味のある方に向けて一言お願いします。
「投資は単なるマネーゲームではなく、それを通じて世界や企業さんとつながれるものだと思います。リスク管理をしっかりしながら、ご自身にあった投資スタイルを見つけてもらえたらきっと楽しいです!」
8月25日生まれ、秋田県出身。国学院大学文学部卒業。声優、童話作家、歌手、作詞家。2015年の6月からラジオ番組「浅野真澄×山田真哉の週間マネーランド(文化放送(AM1134) 毎週月曜日21時30分~22時00分)」にパソナリティーとして出演をきっかけに株式投資を始める。
著書に『山田先生とマネー番組をはじめたら、株で300万円儲かった(扶桑社BOOKS)』。ファイナンシャルプランナー2級。趣味はカメラ。
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