「Runner」をはじめ数々の名曲を世に送り出した作詞家であり、ミュージシャンでもあるサンプラザ中野くん。アーティストとして有名な彼だが、実は早稲田大学の政治経済学部に在籍していた過去があったり、投資家として株式投資やFXを行っていたりと様々な顔を持っている。そこで今回は、投資家としてのサンプラザ中野くんに投資を始めたきっかけや、近況について聞いてみた。
投資と音楽は似ている!?
——投資をはじめた経緯を教えてください。
「とある雑誌の企画で、株のやりとりを日記風にまとめて欲しいといったものがあり、それをきっかけに株式投資やFXを始めました。当時、株に興味はなかったのですが、経済誌とかを読んでいたので経済を学べるいい機会だと思ったんです」
——ミュージシャンのサンプラザ中野くんが投資をしているというのは、ちょっと意外な気もします。
「大学で政治経済学を学んでいたことが大きいですね。1991年にソビエトが崩壊してアメリカの一極化が進んでからは、これまで以上に経済の重要性が高まると考えていたんです。あと投資と音楽活動って少し似ている部分があるんですよ。それも投資に興味を持った理由の一つですね」
——投資と音楽が似ているんですか!? どこに共通点があるのでしょうか?
「もともと音楽などの芸術活動は、王族や貴族といった強力なパトロンがあってはじめて成立するものでした。それがレコードが出来たことで大衆化が進んだんです。これはある見方をすれば、世の中の人がレコードというものを買ってミュージシャンを支えていることになるんです。なんだか株式を購入して企業の活動を支える株式投資に似ていると思いませんか?」
投資は難しい!
——はじめて購入されたのはどんな株だったか教えてください。
「耐性プレハブを扱っている会社の株を購入しました。ちょうど株を始めた時期に、テレビの番組で超能力を使えるグループの特集をしており、彼らが避難所の予知夢を見ていたんです。あまり深く考えず、災害が来た時に役立ちそうなものがないかと思い、耐性プレハブにたどり着きました」
——投資の結果はいかがでしたか?
「それがはじめは上がったんですよ! 当時はスゴイって思っていたのですが、よく考えてみると自分の買いによって値段が上がっていたんですねぇ。そこですぐ売ればいいものを、売り抜けるタイミングを逃してしまって結局は損をしてしまいました。投資初心者とはいえこれはけっこうなダメージでしたね」
——それはくやしいですね。その後はどうされたのですか?
「無知が故にこんな失敗をしてしまったのだと思って、株について一から勉強を始めました。雑誌の企画内容もいろいろな人に教えを乞う、といったものに変更しましたね。でも、なかなか自分の思い通りにいかなくて…。難しいものです」
時には損をして、精神的にボロボロになることも…
——投資をする際に気をつけていることがあれば教えてください。
「やはりリスク管理は重要だと思います。僕の場合はもっと早い段階で損切りをしておけば…というケースが多いので、自分で2割の損になったら損切りをすると決めてはいます。でもイザとなると、なかなか切れないんですよね〜」
——株式投資の他にFXもされているとか。
「はい。株をはじめてから数年後なので15年前くらいになるでしょうか? FXも始めることにしました。組み合わせはドル円ですね」
——こちらの調子はいかがですか?
「なかなかキビしいですね〜。2年位前にプラマイゼロになりまして、辞めるなら今だ! と思っていたのですが、そう思っていた矢先に相場が大きく動きまして…。正確な金額は言えませんが、かなりの大損失で精神的にボロボロになりました」
不動産投資の強みは、大家さんになれるところだと思う
——不動産投資に対する印象を教えてください。
「ちょうど社会人になった頃にバブルが崩壊したこともあり、どんなに高い金額になっていても不動産はいつかはガクンと下がってしまうものという印象が強いですね。土地の値段が上がっていても、それは見せかけだけで、いつか泡のように崩れてしまうものかも知れないなぁと」
——確かに他の投資同様、気をつけなくてはいけない面もありますね。逆に不動産投資で良いと思うところはありますか?
「単なる土地の売買なら、他の投資とあまり変わらないと思うんですよ。でも、そこに大家さんとしての物件の運用が入ると、手間は掛かりますが安定性がグッと増す気がします。経済や景気が大きく動いたからといって引っ越しする入居者はなかなかいないですからね。
以前に読んだ『金持ち父さん 貧乏父さん(著:ロバート・キヨサキ)』でも紹介されているように、アパート経営やマンション経営はとても合理的な投資だと感じています」
とにかく負けず嫌いなんです!
——なかなか上手くいかないところもあるかと思うのですが、それでも投資を続ける理由を教えてください。
「僕ってとにかく負けず嫌いなんです(笑)。早稲田の政経に入ったのだって、以前の彼女に勉強しなさすぎて振られてしまったことがきっかけで。それなら一番上を目指して頑張ろうと思ったんです。投資でも9敗しても最後に1勝して利益を取り戻す可能性にかけようかなといった感じです」
——投資のここが面白い、といったことはありますか?
「株式や為替って、要人発言や世の中の動きでよく変化するじゃないですか? そういった世界の政治活動のなかに自分の身を置けることは政治学を志したものとしては非常に刺激的で面白いですね。ただニュースを聴くのにも身が入りますし」
——なるほど。それでは最後にこれから投資を始めようと考えている方、投資に興味のある方に向けて一言お願いします。
「投資はうまくいくこともあれば、そうでない時もある。経済について勉強できるとともに、人としても苦難にどう対処していけばいいのかを学ぶことができると思います。
リスク管理はしっかりしつつ、表面の数字以外でどうやって経済が動いているのかとか、経済はどんなものの影響を受けているのかと考えてみてください。きっと今まで見えなかったいろいろなものが見えてくることでしょう」
1960年8月15日生まれ、山梨県出身。早稲田大学政治経済学部在籍。2年間のアマチュアバンド活動を経て1984年に爆風スランプのヴォーカルとしてデビュー。パワフルで奥深いサウンドにユニークで斬新なパフォーマンスが話題を呼び、若者を中心に圧倒的支持を得る。88年「Runner」の爆発的ヒットにより、更に幅広いファンを獲得。
その後も「リゾ・ラバ(resort lovers)」(’89)「大きな玉ねぎの下で~はるかなる想い~」(’89)「旅人よ~The Longest Journey~」(’96)をはじめ数々の名曲をリリースしミュージックシーンに確固たる地位を築く。2008年1月からは「サンプラザ中野くん」と名前をリニューアルし活動中。6月9日より新曲「愛してるよ(仮)」を各イベント会場限定で販売スタート。
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