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大家さん……。

いいですね。なにより響きがいい。

それに、家賃を払う側から貰う立場になるのですから、悪かろうはずがありません。ただ……。

 

「ただ、何よ」

 

ええ、知識の無いまま貸家業の世界に足を踏み入れると、行く手を阻む有象無象に身ぐるみ剝がされ、放り出されてしまうことでしょう。

初心者が陥りやすい、3つの落とし穴とは?

 

「物騒だね。例えばどんなこと」

 

初心者が陥りやすい大きな落とし穴は、

(1)可能な限りの借金

(2)キャッシュフローだけに目が行く

(3)維持費や大規模修繕費用を見逃す

です。

まず、多くの大家さん希望者は、貸家の購入を自宅の購入と同様に考えがちです。自宅の場合、自己資金と借り入れの最大値を計算し、その前後の物件でコストパフォーマンスが良く、好みの物件を探そうとします。

しかしながら、貸家の購入は、上野動物園で生まれた赤ちゃんパンダのように小さく生んで大きく育てることこそ、肝要。大型物件の購入を最初の目標にすると、物件を仲介する不動産会社が主導となり、鼻面を取って引き回されることになりかねません。

それから、所得税還付や相続税減税、そして賃貸併用住宅など、本来のメリットである利回りとは違うメリットを推す新築物件は、はっきり申し上げて本末転倒です。

大家さんを目指す理由は、貸家を所有し、大家さんと呼ばれるのが目的ではなく、不安定な雇用環境を支える第二の柱を打ち立てるためです。

ならば、皆さんの懐が豊かにならない物件を購入してどうするのです。新築物件は購入した途端に中古で価格は暴落し続けますし、二度と戻ってこない8%の消費税を支払わなければなりません。

そうしたデメリットを凌駕する物件かどうか、再考するべきです。

そして、中古物件だとしても、地方のエレベーター付き一棟マンションなんぞに手を出すと、手ひどいしっぺ返しが待っています

なぜなら、エレベーターの2重ブレーキシステム改修には1200万円以上かかりますし、1000万円を超える外壁塗装や屋上の陸屋根防水は未整備のまま、消防設備や配水管の補修もしていません。5年~10年の間に3000万円前後を投資しなければ、維持困難です。

さらに、単年度の収支を正確に把握されているでしょうか。

RC造の耐用年数は47年ですから、築20年以下の物件であれば、固定資産税や都市計画税は高額です。さらに

・火災保険

・エレベーターメンテナンス費用

・共用部の清掃費に電気料金

・再リフォーム費用

・空室想定費

など、単年度の支出は満室家賃のおおよそ40%かかります。

その上、前述した大規模修繕費用が待ち構えています。

 

「ちょ、ちょっと待って……

だったら、買うものなんてないじゃない。

大家さんになれないでしょ。どうすりゃいいの?」

 

大家になるためには、「装備を揃え、基礎訓練に汗を流すべし」!?

無鉄砲に飛び出すのではなく、登山と同様、事前に地図やコンパスなど装備を揃え、天気予報も確認して、基礎訓練に汗を流すことです。

 

「登山に例えられても……

じゃさ、大家さんの初歩の初歩を教えて。

何か始めたいのよ。危なくないやつをさ」

 

それでは、3つの基礎を解説いたします。

(1)余剰家賃の最初のゴールを設定

(2)家族の理解を得る

(3)投資家として成功した先のイメージを詳細に描く

まず、総家賃ではなく、諸経費を総家賃から控除した余剰家賃を評価のベースとしてください。

そして、初めて購入する物件の購入資金は自己資金に限定

地方の戸建や20㎡以上のマンションで結構です。

まだ、知識が足りず、リスクの有無さえ分からないのに、大型物件に手を出すのは無謀です。目指すべき余剰家賃は月額10万円。ここを突破すると、新たな地平を見ることになるでしょう。

次に、家族の理解は、欠くことのできない必須の条件です。

大家さんを目指す給与所得者や個人事業主の方は、総じて、真面目でもくもくと努力される方が多いのは存じています。

だからでしょうか、独断専行し、家族を置いてきぼりにしかねない。

物件調査、セミナーへの参加、金融機関やリフォーム業者との折衝……。

皆さんにとっては、勤務以外のエクストラワークですから、家族の為と歯を食いしばっていらっしゃる。

ただ、奥様やお子様の視点から見ると「いいわね。楽しそうで……」です。

だからこそ、最初に購入した物件の初家賃で、回らないお寿司とか焼肉とか、一泊旅行で使い果たし、「この家の未来を盤石の物にしたいから、大家さんをやるんだ」と言う、皆さんの心の声を出して頂きたい。

そして、余剰家賃の総額が皆さんの手取り収入の2倍や3倍になった未来のイメージです。想像の翼を拡げ、何をしたいのか。今の内から考えて頂きたい。

私の希望は、課長代理でありながら、会長や社長よりも総所得は遥かに上回り、法令違反やパワハラやセクハラには断固として異を唱える頑固な仕事人です。

こうした経済的に独立した兼業大家さんが1人でも増えれば、この社会はもっと、住みよく誇れる社会になると思っています。

これから、様々な視点で、大家さんの世界を解説してまいります。

今後とも、宜しくお願い申し上げます。