こんにちは! ネコノミクスなどと「今、猫がブーム!」と連日マスコミに煽られる昨今、本当にブームなのか若干疑問な木津です。と言うのも、猫好きな若い方にお話を伺うと大抵「猫を飼いたいけど、飼えない!」という答えが返ってくるからなのです。
では、若い方がペットを飼えない理由とは何でしょうか。一般社団法人ペットフード協会が発表した猫を飼う阻害要因の調査結果がコチラ。
「集合住宅に住んでいて禁止されているから」というなんとも明解な理由が、阻害要因の第1位。注目すべきは2位の「充分に世話ができないから」という理由。「充分に世話ができない」という意味を突き詰めてみると「旅行に行けないから」「長期不在ができなくなるから」という意見が大多数だったりします。
20代〜30代の独身層が住む所は必然的に賃貸住宅が多くなりますし、働き盛りで忙しい毎日を送るこの層の方々が「たまの休みはパッと海外に行きたい!」などと思うのも無理はありませんし、残業で就業時間が不規則、突発的な出張も日常茶飯事、なんて方も珍しくありません。20代〜30代独身層の猫と一緒に暮らす割合が極端に少ない理由も、納得です。
何故、猫を飼っていると旅行に行けないのか?
「え? ちょっと待って、何で猫を飼っていると旅行に行けないの?」と、疑問に思われる方もいらっしゃることでしょう。一般的に、猫だけで留守番できるのは2泊3日が限界と言われています。新鮮な餌の用意とトイレの清掃を考えるとその日程が限界だから、というのがその理由です。
犬の場合は一緒に旅行したり、ペットホテルに預けたりすることが一般的です。でも猫の飼い主はそれをしたがらない傾向が強いのです。
猫は昔から「家に付く」と言われ、基本的には外出を嫌う生き物です。また社会性も乏しいため、他の動物や他の猫ですら接触することを嫌う猫が大半です。野良猫同士がよく喧嘩をしていますが、それはこの社会性のなさ故なのです。愛猫を大切にする飼い主であれば、このことを身に沁みて良く知っています。
もし猫を無理やりペットホテルに連れて行くとどうなるでしょう。ケージの中でブルブルと震える子、悲しそうにニャーニャーずっと鳴いている子、ケージの中で暴れる子……。猫は個性豊かで個体差が激しいため、一概には言えませんが大概の猫がこんな感じになります。
つまり「嫌だ」ということを全身を使って表現するのです。いざペットホテルに到着しても、そこには犬たちがワンワン吠えながら走り回っていたりする環境なのです。そして怖がりな猫は預かっている間、大概は狭いケージの中に入りっぱなしです。
「愛猫をそんなストレスフルな環境に置き去りにしたくない」
「愛猫が悲しそうな姿を見たくない」
「愛猫のストレスになることをしたくない」
そんな理由から、旅行に行くことを諦める猫飼いの方も多いのです。一番ストレスがかからない方法は、住み慣れた自宅へ、猫の世話をしに訪問してもらうことです。なので多くの方が友人や家族に来てもらったり、キャットシッターを雇ったりして旅行に出かけています。
ところが世の中には「知らない他人に自分の部屋の鍵を預けることに抵抗がある」と仰る方が多いのです。特に若い世代でその傾向が顕著。しかも忙しい毎日を過ごす人たちはネットで信用できるキャットシッターを見つけるくらいなら旅行を諦めよう、日帰り旅行で我慢しようという方も多いのです。
Gatos Aptや、私が監修したSeilan Aptは、大家が同じ建物に住んでいることもあり、住人同士が交流できる催しを不定期に開催したりしています。
こうした猫を介した住人同士の交流が始まると、自分のお隣に住む人と話し、時には一緒に近所の酒場へ飲みに行ったり、田舎から送られてきた食材をお裾分けしたりと、自然にコミュニティーが形成されていきます。コミュニティーでの体験を通じて「信頼性」が醸成されると、こんなことができるようになります。
「来月、1週間の海外旅行に行くのでその間、ウチの猫の世話をお願いできませんか?」
相互扶助の関係を確立すると、「猫を飼う阻害要素」の上位2位に君臨する「旅行に行けない」という悩みが、解消されるのです!
「そんなこと言ったって、大家さんが同じ建物に住んでるからこそできることでしょ?」と仰る方もいらっしゃることでしょう。
私が最近監修したMaison Nekoは入居者さんしか住んでいない物件ですが、コミュニティーを形成するための仕掛けを施しました。それが「入居者さんに世話役として活躍してもらう」という方法です。
主な交流場所はネット上で、SNSの秘密掲示板機能を使っています。コレを使えば住人以外は閲覧できないので、プライバシーを守ることができます。
世話役を担う住人は、このSNSで住人同士の交流が円滑に進むようにナビゲートしてもらいます。世話役を担ってもらう住人には世話役代として、毎月の家賃を幾らか減額させてもらっています。
若い人に猫を飼って欲しいという想いから
医療と食べ物(猫餌)の進化、室内飼いの定着に伴い、猫の長寿化が進んでいます。もし20歳の方が産まれたばかりの子猫を飼おうと決意した場合、猫が天珠を全うする20年後、飼い主は40歳になっているのです。
一方、長寿化によりお年を召した方が新たに猫を飼うことを敬遠する傾向にあります。「自分が先に死んでしまう可能性があるから…」と。そういう理由もあり、私は若い方々に積極的に猫を飼ってもらいたいと思っているのです。この方法を採用すると、彼らが猫を飼う上でのネガティヴ要素上位2つを払拭することができるようになるのです。
猫専用賃貸には、猫脱出防止扉やキャットウォークといったハードウェア面だけではなく、こうしたソフトウェア面での工夫も有効です。猫専用賃貸を検討される方は、ぜひ参考になさってください。
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