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価格の不透明性や取引方法の問題点が長きにわたって指摘されてきたプロパンガス(LPガス)。そこにようやくメスが入ることとなった。

2017年6月1日、液化石油ガス法施行規則および運用・解釈通達の一部が改正・施行された。プロパンガス会社に対し、プロパンガスを導入する賃貸物件オーナーとの契約内容を入居者に開示することが義務付けられたのだ。

具体的には、賃貸物件の給湯器やエアコン、ガス台などの設置費用をプロパンガス会社が負担し、入居者が支払うガス料金にその分を上乗せして回収している場合、それに関して入居者への説明及び料金明細への明記をしなければならない。

この法改正を受けて、プロパンガス会社、プロパンガスを導入する物件オーナーは何かしらの対応を講じる必要があるのだろうか。プロパンガス業界関係者やプロパンガスを導入する物件オーナーにヒアリングし、今回の法改正に至った背景や、混乱しているプロパンガス業界の声に迫った。

プロパンガス業界に失望? 国が推し進めた法改正の経緯

今回、なぜ液化石油ガス法施行規則および運用・解釈通達の一部が改正され、同時に「液化石油ガスの小売営業における取引適正化指針」というガイドラインまでもが制定されることになったのか。その経緯について、一般社団法人 プロパンガス料金消費者協会代表理事の鈴木秀男さんに話を聞いた。

事の発端は、経産省の前身、通産省の時代に遡る。通産省は当時からプロパンガス業界の料金及び取引方法の不透明性を問題視していた。平成7年からは小売りに関する規制をたびたび緩和し、新規事業者の参入を促進するなど、業界の活性化や不透明性の是正を促してきたという。

「それに対し、業界団体であるLPガス協会は『外圧で改革を迫られるよりは…』という気持ちからか、2000年に自主的に『LPガス販売指針』を策定しました。その後、2015年にも指針を改定し、請求書または領収書に基本料金と従量単価(設備貸付料があればそれも)などの内訳を明記するよう呼びかけてきました。

しかし、2016年4月の電力小売り自由化や、今年4月の都市ガス小売り自由化が実現していく中、指針策定から20年近く経過しても、プロパンガス業界のあり方は改善されたとはいえませんでした。そのことに経産省は痺れを切らし、プロパンガス業界の自浄能力に期待するのを断念して、今回の法改正に踏み切ったものと思われます」(鈴木さん)

家庭等で使用されるすべてのエネルギーが自由化される中、全国総世帯の約4割で使用されているプロパンガスは、小売り価格の不透明性と取引方法に対する問題点がさまざまな場で指摘されてきた。

「例えば、洗濯機やエアコンが付いていることが売りの新築アパートに入居した方が、ガス代が高額だったので問い合わせをすると、ガス会社がエアコンや給湯器を家主に対して無償で設置し、その料金がガス代に転嫁されていることが判明した、というものがあります。

別の例では、賃貸アパートに入居した方が、不動産会社にガス代とガス会社名を尋ねたものの『分からない』と言われ、入居後に料金が以前のアパートの2倍以上の請求書が届いた、というものもあります。事前に分かっていればその物件とは契約しなかった、と話していました」(鈴木さん)

このような苦情が、各都道府県のプロパンガス協会に年間1000件以上寄せられているという。

「経産省としては、プロパンガスが今後も消費者から選択されるエネルギーとなるためには、プロパンガス会社が法令遵守するのはもちろん、消費者からの問題指摘に真摯に対応していくことが不可欠と考えたのでしょう。

2016年2月に、東京理科大学大学院教授の橘川武郎氏を座長とする『液化石油ガス流通ワーキンググループ』を立ち上げ、プロパンガス料金透明化に向けた検討を行い、同年5月に報告書がまとめられました。今回の法改正は、このワーキンググループの報告書に沿って行われたものです」(鈴木さん)