外資系企業のエンジニアを経て、専業大家として3年前に独立を果たした内田陽一です。アパートや1棟マンションを中心に不動産投資を行う傍ら、空き店舗を活用したコインランドリーやバイクガレージ、太陽光の売電事業などにも取り組んでおります。

概算の投資総額は2億1400万円です。7月の実績で総家賃収入は177万円、それを元に計算した利回りは10.7%になります。ただ、コインランドリーとバイクガレージで自己使用しているテナントからは家賃収入を得ることができません。また、太陽光発電の売電売上げはこの数字に含んでいません。これら2店舗の売上げを家賃として計算し、太陽光発電の売電売上げも含めて計算し直すと利回りは11.7%になります(太陽光発電設備650万円、コインランドリー、バイクガレージ、太陽光発電の売上げが65万円)。

本コラムでは、不動産投資だけでなく、投資家にとって関心の高いこれらの事業についても、紹介していきたいと考えています。

ひょんなことから足を踏み入れた不動産投資の世界

私が不動産投資と出会ったのは平成20年、今から9年前のことです。当時、東京でひとり暮らしをしていた私が、たまたま埼玉で暮らす両親の元を訪れたとき。実家に着くなり、何を言い出すかと思うと「マンションを見に行く」とのこと。成り行きで、私も同行することにしました。なんでも、折込広告を見てその物件が目に留まったとのこと。たしかに、ワンルームながら最寄り駅から5分ほどの好立地が魅力の物件でした。

ところが意外なほどの低価格。「不動産など高嶺の花」、そう思い込んでいた私は、270万円という低価格でマンションが取引されていることに衝撃を受けました。

そして、何を思ったか「資産運用の一環として挑戦してみてはどうか?」と、両親は私に購入を勧めてきます。そのような展開になるとは予想もしていませんでしたが「車を買うと思えばいいか…。車は金食い虫だが、不動産にはお金を生む可能性がある。ならば、この機会に挑戦してみるか!」そう考えると、どういうわけか不思議と買う方向に気持ちが傾きます。結局、私がその物件を購入することになりました。

それからトントン拍子に事が進み、無事に決済も終えたものの、当時の私は不動産投資のド素人です。不動産賃貸に関するノウハウなどないのはもちろん、まず何をすべきかすら分からないというありさま。「こんなことで大家が務まるのか?」と不安に感じながらも、かくして大家としての第一歩を踏み出したのでした。

しかし、そんなに甘い世界ではなかった!

「駅近だし、家賃3万5000円は硬いだろう! 上手くいけば4万円も」。そんな妄想を抱きつつも、家賃は3万5000円に決定。周辺の家賃相場と管理会社の意見を参考に決めたため、そう遠からず入居者が決まるものだと思っていました。

それから1カ月、2カ月と時間が経ち、管理会社からの提案もあって3カ月を過ぎた頃に家賃を2万9000円に変更。それでも入居が決まらず、半年が過ぎた頃にはマンションを所有していることすら忘れてしまっているほど。初めての入居が決まったのは、それからさらに1年近く経ってからのことでした。

不動産投資に対する考えが甘かったとはいえ、入居者が決まるまでにこれほどの時間を要するとは思ってもいませんでした。それと同時に、入居さえしてもらえれば毎月得られる家賃収入の魅力も実感したのでした。そして、私の負けず嫌いな一面が頭をもたげ、不動産投資に本腰を入れて取り組むことを決意しました。

1件目の失敗を糧として、その後マンション投資に関する知識を身に付けるべく、不動産投資、おもにマンション投資に関する書籍を読みあさりました。その数カ月後、満を持して2件目を購入、翌2月には3件目、同年11月に4件目と区分所有を買い進めていきました。

2件目以降の物件では、本から学んだ知識が随分と役に立ちました。また、知識に伴って自信も付き、物件選びに迷いを生じることも少なくなりました。ここで、上記の各物件のプロフィールをご紹介しましょう。

1件目(売却済み)

価格

270万円

所在地

埼玉県坂戸市

築年月

昭和63年2月

間取り

1R(9階建ての7階)

家賃

2万9000円

駅徒歩

6分(東武東上線坂戸駅)

物件情報取得

折込広告

物件取得

融資(2年弱で完済)

2件目(売却済み)

価格

490万円

所在地

東京都板橋区

築年月

昭和63年11月

間取り

1R(6階建ての最上階)

家賃

5万5000円

駅徒歩

2分(東武東上線中板橋駅)

物件情報取得

楽待サイト

物件取得

現金

価格

350万円

所在地

神奈川県厚木市

築年月

昭和60年2月

間取り

1K(3階建ての1階)

家賃

4万4000円

駅徒歩

8分(小田急線本厚木駅)

物件情報取得

インターネットサイト

物件取得

現金

4件目(売却済み)

価格

550万円

所在地

東京都港区

築年月

平成3年3月

間取り

1R(4階建ての1階)

家賃

5万8000円

駅徒歩

10分(東京メトロ南北線白金高輪駅)

物件情報取得

インターネットサイト

物件取得

現金

2件目の物件は、最寄り駅から徒歩2分という抜群の立地と13%超の表面利回りが魅力で購入しました。オーナーチェンジ物件で、購入後すぐに家賃収入が得られるのも魅力でした。オーナーチェンジなら1件目に味わった購入後の空室を心配する必要もありません。

3件目は350万円という物件価格と15%にも上る表面利回りが特長の、同じくオーナーチェンジ物件。この物件の家賃より周辺の相場の方が低いため、退去されてしまうと利回り低下の懸念がありましたが、入居者の属性から長期入居が見込めたため購入を決めました。

4件目もオーナーチェンジ物件です。都心の一等地にありながら600万円と価格がリーズナブルであることや、賃貸需要が高いロケーションであること、相場より低い家賃設定にもかかわらず高利回りであること、退去のタイミングで家賃アップが見込めることなどが購入の決め手になりました。指値が通り、結局550万円で購入することができました。

区分マンション投資は、不動産投資初心者に比較的向いていると言われています。それは、修繕や共用部分の管理は管理会社が行ってくれるなど、1棟物に比べて賃貸経営が容易であることが理由のひとつです。その一方で、高額な管理費や退去があれば得られる収入がゼロになってしまうなど、デメリットがあるのも事実です。

それに対してアパートでは、管理組合がないため管理費が掛からないことや、1部屋空いてしまっても他の部屋から家賃収入が得られるなど、区分マンションではデメリットだったことがデメリットにならないことも多いのです。また、手間が掛かる一方で、得られる家賃収入の期待値が大きいこともアパートの魅力ではないでしょうか。

そこそこの経験と実績を積んで欲深くなった(?)私は、区分マンションを卒業してアパート経営に挑戦することにしました。

群馬県桐生市の任意売却物件

高い利回りを求めて、この時からエリアを北関東に移しました。初めに目を付けたのは、20㎡弱の部屋が4室ある580万円で売り出された物件です。楽待のサイトで見つけたのですが、北関東といえども安すぎます。

聞くとそれは任意売却物件ということ。債権者さえ同意すれば530万円でもOKとのことで、現地確認後買付けを入れました。すると債権者からアッサリと同意が得られ、さらに5万円の値引きにも成功。20%以上の表面利回りが期待できる物件を現金で購入しました。

周辺の同程度の部屋よりも1~2割安い家賃設定にしたことが功を奏したのか立て続けに3室の入居が決まり、2カ月ほどで満室にすることができました。

ブラジリアンタウン群馬県大泉町で見つけた高利回りアパート

こちらは築17年で価格は1780万円。40㎡ほどの2DKが8室、3万円で貸したとしても16%以上の利回りが期待できる物件です。敷地面積が500㎡超あり、世帯数分の駐車スペースも確保できます。こちらも楽待サイトで見つけました。工場が多い地域で、家賃設定さえ間違わなければ入居付けも問題なさそうなエリアです。

ただ、気になったのが入居者の属性です。逮捕歴がある生活保護受給者とペルー人が入居していました。生活保護受給者であることには問題はありませんが、逮捕歴があることと、身元が保証されていない外国人であることに不安を覚えました。しかし、入居者の属性と入居率の低さを価格交渉の材料に、1600万円で買付けを入れることにしました。なるべく早く売りたいという売主さんの事情も相まって、180万円の値引きに成功。融資を受けて購入する運びとなりました。しかし、払拭しきれなかった不安は、後に現実のものとなってしまうのです…。

この物件にはもうひとつ大きな魅力があります。一面に日差しを浴びる大きな切妻屋根です。

「ここに太陽光パネルを載せたらどうか?」。現地調査をしたときにそう感じ、群馬県南部の日照時間を調べてみました。すると、群馬県の日照時間は47都道府県中4番目、群馬県南部は雨の日が少ないという特徴があることも分かりました。

当時の売電価格は42円/kWh。シミュレーションによると年間の発電量は16793kWh、つまり年間70万円ほどの売電収入が得られることになります。売電収入は20年保証されるということも大きな魅力です。これだけの好条件がそろっている以上、「やらない」という選択肢は私の頭の中にはありませんでした。

栃木県那須塩原市の2棟一括売アパート

こちらは那須連山を間近に望む那須塩原市の住宅街の一角にたたずむアパート。黒磯駅から徒歩10分圏内という立地は、車社会の栃木県北地域にあってもプラスの要素と言えます。実はこの物件、先述の群馬県大泉町の物件を購入した際にお世話になった業者さんからご紹介いただきました。

「購入の意思があり、ハッキリとした決断が出せる顧客には優先的に優良物件を紹介してくれる」

多くの本に書かれていることですが、それをこの時に実感しました。価格2200万円、22%近い利回りを想定した高利回り物件ではありますが、大がかりな修繕が必要な部屋もあります。全体でザックリ400~500万円は掛かりそうです。そこへ、私の背中を押す業者さんからの思いもよらないひとことをいただきました。

「1700万円でいかがですか?」

そう言われた瞬間、私の気持ちは固まりました。その業者さんは交渉に関する裁量を売主さんに与えられていたようで、労せずして500万円もの値引きをしてもらうことができ、こちらも融資を受けて購入しました。

とはいえ、入居しているのは1部屋のみ、空室率は90%です。しかし、せっかく空室であるなら…ということで、この機会に空室のリフォームを断行、リフォームを完了して2カ月ほどで満室に。

購入経験から見出した「割安物件」の見つけ方

ご紹介したこれらのアパートに共通して言えること。それは、購入当時の入居率の低さです。首都圏に比べて人口の少ない地方で、その上入居率が低いとなれば、初心者にとってはハードルが高いと感じられることでしょう。ということは、入居付けが容易な都内の人気物件に比べてこうした物件の購入希望者は少ないと考えられます。そのため、割安な価格で購入できるのです。

物件を安く購入することができれば、競争力のある家賃設定をすることもできます。私の購入した物件の家賃は相場より低めに設定したのですが、それでも20%以上の利回りが出ています。古くからアパート経営に携わる地主さんの割合が多く、体系的なアパート経営を行う大家さんが少ない地方は、大家業をビジネスとしてとらえている人にとっては都会よりも競争相手が少ない魅力的な市場に感じることすらあることでしょう。

私のここまでの投資スタイルは、入居率の低い地方の築古物件を割安な価格で購入し、高利回り物件として甦らせるものでした。しかし、次は少し毛色が違う物件を購入することになります。そこでピンチに落ち至ったことをきっかけに、新たなビジネスも派生することになるのですが、それについては次回のコラムでお話ししようと思います。