順調にみえるオーナー業も、楽しいことばかりではない。「菊名の物件で、自分が購入する前から住んでいた20代の女性が引きこもり状態だったんです。どうやら部屋中を水浸しにしたまま生活していたみたいで…」。退去後に確認すると、フローリングはカビだらけ。水の跡は膝の高さぐらいまで残り、壁や床の裏側も全てカビているような悲惨な状況だった。

入居前

退去後

原状回復に70万円ほどを要したが、入居者本人は支払い能力がなく、家賃を払っていた保証人の母親に連絡した。しかし、「うちの娘は悪くないから、原状回復費は支払わない」の一点張り。「しまいには『首吊るぞ』と言い出して…困り果てました。いまだに管理会社が弁護士を通じてやりとりをしています」

それでも、「父親のオーナー業での苦労をさんざん見てきていたので、少々のことでは驚きません」と笑顔。「入居者に夜逃げされて裁判沙汰になったり、ペット禁止の部屋で大型犬3頭飼われてボロボロにされたり…。そんなことがあったから、自分がオーナー業を始める時も、最初から揉めごとは付きものだと覚悟していたんです。むしろ、今のところは思ったより平和だな、って」

雇用に対する危機感が頑張る動機に

仕事で忙しい日々を送りながら、それでも不動産投資を頑張るのには理由がある。「自分は祖父が台湾人で、在日3世なんです。昔から外国人コンプレックスが強くて、20代なら何とかなるけど、30代、40代になったら同じスペックの日本人女性に比べて雇用機会が少なくなるはずだと思っている。人と同じことをしていたら負ける、という危機感があるから、会社員を一生続けていくのは考えられないんです」

将来的な雇用に対する危機意識から、自らお金を生み出す仕組みを確立することの必要性を強く感じている。「その中で、自分が興味を持って楽しそうだな、と思えたのが不動産。他の投資と比べてローリスク・ローリターンだし、あまり時間に縛られて生きたくない、という自分の考え方にも合っています」

甘い世界ではない

不動産投資を続ける中で、収入以外のメリットも感じている。「単純に、オーナー業はすごく楽しいです。DIYが好きなので、『ここを綺麗にしたら入居者が喜んでくれるかな』とか考えるのがワクワクする」。ごみ集積庫を新調したり、ネームプレートをお洒落に変えたりと、楽しみながら賃貸経営に取り組んでいる。

物件購入を検討している若い女性たちには「本を読んで分かったつもりになっても、やってみないと分からないことは本当に多いので、まずはやってみることが大事だと思います」とエールを送る。一方で、「甘い世界ではないので、自分に合った投資スタイルを確立することが必要だと感じます。女性は長期的な視点で物事を考えることが不得意なケースが多いんですが、出口を意識することは本当に大切。学校や会社では資産運用については教えてもらえないし、マニュアルもないので、経験者から学び取る姿勢が重要だと実感しています」

夫とは大学時代からの付き合い。「ずっと『将来お金持ちになる』と言っていたんですが、真に受けていなかったので、最初に『1000万円でアパートを買う』と伝えた時は本当に驚いていました」。それでも、「いいじゃん」と背中を押してくれたことに感謝している。今では、物件の清掃や草取りなどは2人の共同作業。「私よりそういうことが得意なので、ほとんど主人がやってくれているんです」

現在も、新たな物件探しに忙しい日々を送っている。「自分は経済的に主人に依存したくなくて、ともに支え合う関係性がベストだと思っている。それに、子どもができた時にお金のことでいろんなことを我慢させたくない。働くことは好きだけど、それ以外にも収入があれば、気持ちにも余裕が出て、生活が充実するはずだって信じています」

(楽待新聞編集部 金澤徹)