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「猫を飼っている人」を対象に作った「猫専用賃貸」、少しずつですが知名度が上がってきていることを実感しています。日々寄せられる全国の大家さんからのコンサル依頼はもちろん、私が所有・監修した猫専用賃貸への入居待ちを依頼される方々も急増中です。

賃貸物件なので、入られる方の状況、事情が様々に異なるので全ての方が絶対に入居される訳ではありませんが、先程、入居待ちされている方の数を数えたところ、実に61名の方がお待ちでした。(全物件のトータルです)

実際に入居されている方、入居待ちをされている方、内見に訪れてくださる方はどういう方々だと思いますか? 今回は、猫専用賃貸に興味を持つ大家さんが知りたいと思っている、知っておいた方が良い、入居者さんの「ペルソナ」について解説したいと思います。

猫専用賃貸入居希望者は、圧倒的に女性

結論から先に言ってしまいます。私の監修する賃貸へ内見に訪れる方、空室待ちをされている方、実際に入居されている方は、圧倒的に女性が多いのです。年齢層は意外と幅広く、20代から40代の方々が満遍なくいらっしゃいます。パワーゾーンは30代独身女性です。

ここで(いつもの)ペットフード協会が発表している最新の統計データを見てみましょう。

出典:一般社団法人ペットフード協会 平成28年 全国犬猫飼育実態調査

残念ながら、猫を飼っている男女比、年齢層が分かるドンピシャな統計データはないのですが、おぼろげながらも上記のデータを紐解くと、実態が見えてくると思います。『有効回答数』の欄に「猫飼育者」「外猫飼育者」があり、年代別男女比を見ることができます。単純計算するとこんな感じ。

 

猫飼育者

外猫飼育者

トータル

男性

197

140

337

女性

356

122

478

「圧倒的」とは言えないまでも、女性の方が多いとお分かりいただけるかと思います。こういう調査なので、年代・男女比に偏りをなくすべくサンプル抽出をしていると考えられるので「頑張って」男性をサンプル抽出した結果では? と、私には思えてなりません。

私が監修する物件に女性の猫飼いさんが殺到するのは、ある意味当たり前の話だったります。何故なら、意図して「若い女性が喜ぶ仕様」にしているからです。ターゲットである「20代~40代の独身女性」が、猫を飼っていようがいまいが、装備、設備、レイアウト、エクステリア、インテリアなどの面において「こういう部屋が欲しかった」と思えるものに仕立てています。更に「猫を飼っている」というファクターを加味して全体を組み立てているのです。

以前のコラムで、猫を飼いたいけど飼えない阻害要素の第1位が「ペット不可物件に住んでいるから」だということをご説明しましたが、私の物件は「猫と住むことができる」だけでなく「猫と快適に住むことができる」物件、なのです。この「快適に」という部分が、人気物件になるか否かの、一つのポイントだと考えています。

男性をターゲットにした猫専用賃貸は成り立つのか?

最近、コンサルにお越しになる大家さんから「男性をターゲットにした猫専用賃貸を作りたい」という相談が増えています。上記の理由から、絶対数が少ないと思われるのでオススメはしません、とお答えさせて頂いていますが、何故、男性をターゲットにしたいのか、その理由をお聞きするとこんな答えが返ってきます。

・治安の悪い地域に物件がある

・インフラが整っていない(駅から徒歩30分、周りは畑だらけ、スーパーや薬局がない、など)

 

つまり「女性をターゲットにするには立地条件が悪すぎる。男性だったら多少治安が悪くても、駅から遠くても(車などがあれば)気にしないだろう」というなんともネガティブな理由。

普通の賃貸物件を建てても思惑通りに満室経営することは難しいだろう、という考えに加え、女性には辛かろうという肌感覚から「じゃあ男性で!」と考えられたのでしょう。

たしかに、確実に猫と一緒に快適な部屋で暮らしたいと思っている男性がいるのは事実。「男性を満足させられる猫専用賃貸を建てられる!」自信がある方は、チャレンジしてみるのもよいかもしれません。

しかし前述の調査結果を見る限り、男性で猫を飼っている方は存在します。私の周りにも数人、男性で猫と一緒に暮らしている方もいらっしゃいます。(そういう方はほぼ100%、猫を溺愛してます。笑)そういう方にお会いすると、お互いに出てくる言葉はこういう言葉です。

「え! 猫飼ってるんですか? 男性で珍しいですね!」

そう、男性で猫を飼っている人は珍しいのです。私の監修物件に訪れる方で単身男性はほとんどいらっしゃいません。男性でいらっしゃるのは、大抵女性に連れて来られ、お二人でお住いになりたい場合がほとんどです。

「猫専用賃貸」にするという事は、「猫を飼っていない人を切り捨てる」ということを意味します。つまり「部屋を借りたい」と思っている人の中から、さらに「猫と住みたい」という人を限定している訳です。自ずとその数は少なくなります。「男性をターゲットにする」ということは、「猫と一緒に住める部屋を探している」人の中から、女性を排除するということと同義です。「もの凄く絶対数が少なそう」と思いませんか?

これが、「猫専用賃貸で男性をターゲットにするのは厳しい」と私が考える理由です。