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このコラムでは、投資家にぜひチェックしていただきたいオススメの書籍を取り上げ、5分で概要がつかめるようにご紹介したいと思います。

今回は、内藤忍氏による『めんどくさいことはわからなくても、ほったらかしでも、お金は増える 1000円投資習慣』(SBクリエイティブ)。

ほったらかしでお金が貯まる――そんな都合のいい話はあるのか?

「お金持ちになる方法」「お金が必ずたまるテクニック」というような書籍は、書店に足を運んでみればいくらでも見つけることができます。しかし問題は、現実的だと実感できるものが意外に少ないこと。実際、お金儲けはそれほど楽なことではないのですから、当然といえば当然かもしれません。

しかし、そんななかにあって、本書は一味違った内容の1冊だといえます。理由はシンプル。タイトルからもわかるとおり、1000円からできる投資について解説しているから。しかも勉強する必要もなく、リスクは少なめ、ほったらかしでOKだというのです。

でも、そんな都合のいい話が本当にあるのでしょうか? 著者は次のように語っています。

投資でお金を増やすのに、知識はいりませんし、日経新聞さえ読まなくていいと私は思っています。

また、今はネット証券などを使えば、1000円はもちろん、ワンコインの100円から投資を始めることもできます。

さらに、皆さんが「できない」「怖い」と思っている投資は、実は投資ではなく「投機」、いわゆるギャンブルです。

本当に資産を形成していこうと思ったら、もっとリスクの少ない、確実な投資の仕方はあるのです。そしてそれでも、銀行に預けているより何倍のリターンが得られるのです。(「はじめに」より)

気軽にできる1000円投資で、まずは「投資を習慣にする」

引用にある通り、リスクの少ない確実な投資の方法として、筆者は1000円から始められる投資を提案しています。ただ、1000円ずつ積み立てていっても、貯まるまでにはかなりの時間がかかりそう。それに関して著者は次のように説明しています。

「1000円投資」をきっかけにして、まずは投資に慣れ、毎月積み立てていく。そして投資を習慣にする。そうすれば最終的には、将来安泰な資産をつくることができるという考え方なのです。

なるほど、よくわかります。しかし、だからといって投資未経験の方が、投資に対する恐怖感を払拭することはそれほど簡単ではないはず。そこで今回は、そんな不安を解消してもらうために設けられた第1章『投資』ってなんだか怖くない?」のなかから、誰もが気になる疑問とその答えを引き出してみたいと思います。

基本的なことだといわれればそれまでですが、著者はまず、お金を増やす3つの方法を紹介しています。

1.収入を増やす

2.支出を減らす

3.運用する

(24ページより)

1の「収入を増やす」で思いつくのは副業です。ただ、副業は会社によっては禁止している場合もあり、なにより手間と時間がかかります。

2の「支出を減らす」は不可能ではなさそうですが、「これ以上減らせない」という状況もあるでしょうし、生活がわびしくなる可能性もあり、限度があります。

対して、ちょっと違うのは3「運用する」。言い換えれば、自分のお金に動いてもらうことです。銀行に預けておくと、わずかながらもお金は増えます。手間もかかりませんし、自分の生活が変わるわけでもないので簡単。しかし現実的に、銀行の金利にはもはや期待できないという部分もあります。

となれば、銀行口座以外の「金融商品」ということになりますが、それらは、

・株・FXなど、リスクが大きくて怖い

・投資なんてお金持ちの人がやるもの

・何に投資していいかわからないし、知識がないと損するのでは!?

・面倒そう

(25ページより)

などのイメージが強いはず。ところが、

・リスクがほとんどなくて

・小額からはじめられて(おすすめは1000円。100円から可能!)

・知識も不要で(はっきりいって、日経新聞なんて読まなくていいでしょう)

・手間がかかるのは口座開設のときだけ

(26ページより)

という投資の仕方もあるのだとか。すなわちそれこそが、本書が勧めている「長期積立分散投資」です。

「長期積立分散投資」というやり方は、

1.時間をかけて

2.様々な商品に少しずつ

(43ページより)

投資をしていこうというもの。投資する際には、どの金融商品を選ぶかがとても大切。しかし、それを見極めるのはプロにさえ困難です。一方、経済全体に目を向けてみると、日本が低成長といわれるなか、大きく成長している国もあります。グローバルな視点で見ると、世界全体では成長していると考えられます。

だからこそ、できるだけいろいろな国や地域に分散して投資しておくという考え方。そうすれば、大きくは上がらなくても、確実にプラスをつくっていけるというわけです。

たとえば、日本経済がうまくいかないときでも、アメリカは好調でアメリカの株や債券は上がっているかもしれません。分散させているとそれぞれの値動きが異なるため、どこかが下がっていてもどこかは上がっている、ということになり、全体的にバランスがとれるのです。そして長期的に見れば、世界の経済が発展していくのに連動して、増えていくのです。(44ページより)

そこで本書では、分散投資の方法やコツ、そもそも何に投資すべきかなどを、具体的にわかりやすく解説しています。特に、

1.「iDeCo(イデコ)」(個人型確定拠出年金)

2.「NISA口座」(小額投資非課税制度)

3.ネット証券の「一般口座」

(84ページより)

という「3つの箱」を使い分けることが重要だという主張およびその方法についての記述は、「投資をしてみよう」という気持ちを後押ししてくれるかもしれません。

不動産投資に漠然とした興味はあっても、いざ行動に移すとなると不安を拭いきれないという人は決して少なくないはず。でもそれは、「大切な財産を失ってしまう」というような恐怖感があるからなのでないでしょうか?

もしそうなのだとしたら、著者がすすめているように、まずは少額の規模から始めてみてはいかがでしょうか。そうして「投資」することにまずは慣れてから、額も大きい不動産投資に挑戦していけばいいということです。そして、そんなとき、本書はきっと役立ってくれると思います。