写真© sharaku1216-Fotolia

以前のコラムで、融資実行日前日になって正当な理由もなくドタキャンにあったこと、それに便乗した仲介会社・同社専務取締役(売主)から、手付金不返還、違約金・仲介手数料請求があったこと。さらに、某銀行側による重要事項説明書・売買契約書の原本コピーを利用しての書類偽造、それをこちらのせいにして、詐欺・錯誤・権利濫用の主張があったこと…。これらをお伝えしました。

通常の関係ではなく、今回のようなトラブルになった場合を想定すれば「不動産会社・金融機関を安易に信用してはいけない」という前提に立つ必要があります。それでは、どのような点に注意すべきか、纏めてみました。

やり取りする「相手」をチェック

見知らぬ不動産会社、業歴が浅い会社、建物・賃貸管理中心で売買に弱い会社等には注意する

少なくとも、宅地建物取引業免許の更新未経験(宅建免許番号の後ろの番号が1)の会社は業績が浅いといえるでしょう。悪質な会社では、何度も悪行の限りを尽くした後、会社を潰しては、又、別会社を立ち上げたり、休眠会社を買収したりしているようです。

一般媒介契約であれば、通常、レインズ等に情報開示されているので、信頼できる馴染みの不動産会社と媒介契約する、やむを得ずその会社を通さざるを得ない場合には、他の信頼できる不動産会社をコンサルティング会社として介入させる等が考えられます。

□ インターネット、書籍、セミナー、不動産会社・金融機関・不動産経営者仲間等で、悪評の高い不動産会社・金融機関には注意する

金融機関にも、悪徳不動産会社、悪徳金融機関の噂は流れているものなので、それとなく雑談で聞き出せることもあります。大手の全国展開地方銀行クラスにも、悪徳金融機関はありますので、注意して下さい。

売主側の専属媒介(両手)の際は、こちら側が懇意にしている不動産会社を仲介に入れられないし、実質、双方代理・利益相反になるので注意する

売主・買主双方にとって中立な立場に立ってくれるか、やり取りを通じて言動を確認しましょう。

売買の間に、不動産会社の役員・従業員が個人として入る場合には、上乗せした売買価格で買わされる上に、更に仲介手数料迄取られる上、クーリングオフ制度も適用されないし、瑕疵担保責任も特約で排除できるので、注意する

このような場合には、現状所有者から直接購入するか、一旦不動産会社が購入し転売差益を抜いて(仲介手数料は不要)不動産会社から購入するか、どちらかにするべきです。

□ 一棟物大規模マンションは、規模・金額も大きい分、金銭消費貸借契約・売買契約等取引のリスクが大きいことを認識した上で行う

金額が大きいと、手付金・違約金・仲介手数料等の金額も大きくなりますので、売買契約書では手付金不返還・違約金発生等のリスクが生じないよう、又、媒介契約書においては、不当な仲介手数料が発生しないよう、注意しましょう。

重要事項説明・売買契約、手付金送金、金銭消費貸借契約、決済等を急がされる場合は注意する

急がされている場合には、白紙解約期限が間に合うのか、金融機関の融資が間に合うのか等、重要事項説明書・売買契約書の確認をきちんとすることです。

仲介契約書(媒介契約書)締結が無い場合は注意する

そもそも仲介契約を締結しないことは、宅地建物取引業法違反です。又、仲介契約書がきちんと締結されていないと、仲介会社の義務、仲介手数料の支払義務等が不明確になります。

本来、不動産取引は、決済・所有権移転迄、無事に終わって成立し、仲介手数料支払義務が発生するものです。悪徳不動産会社等は、売買契約さえ締結すれば、後は購入者の責めもなく、融資が通らず流れようが知ったことではない、その上で仲介手数料を要求してきます。

□ 通常、売買契約締結日、手付金交付期限日、融資白紙解約期限日、融資実行決済日の流れだが、できれば融資白紙解約期限日迄に融資実行迄させる

リスクを防ぐには、融資白紙解約期限より余裕を持って早めに融資実行・決済までさせることです。

□ 手付金は通常、物件価格の10%程度のところ、なるべく少なめ(2.5%程度)にしておく

どうしてもその物件が欲しく、リスクを取ってでも、手付倍返しを期待する場合は別ですが。

□ 違約金は通常、物件価格の10%~20%のところ、なるべく少なめ(10%程度)にしておく

□ 白紙解約は、「解除留保型」ではなく「解除条件型」にしておく

・「解除留保型」=買主が解除を申し出ない限り、融資特約による契約解除ができない

・「解除条件型」=融資が得られなかった場合に売買契約が自動的に白紙解約となる

本来は、買主が別の資金調達をしたり、現金購入したり等もできるように、買主保護を想定したものですが、私のように、融資承認・金銭消費貸借契約締結で通常は安心し、その後特段の理由もなく融資ドタキャンをされた場合、白紙解約期限迄に契約解除する機会を逸してしまいます。

「重要事項説明書」「売買契約書」は、案・確定版の各段階で、不動産会社・金融機関等に電子メール添付送信しておく

 □ 融資承認・金銭消費貸借契約等、重要なことについては、電子メール・文書等を残しておく

証拠となるような電子メールについては、複数のパソコンでバックアップを取ったり、弁護士の先生等関係者に転送しておいたり、弁護士と一緒に、カメラで撮影し保存しておきます。文書の場合にはPDFも保存し、原本を弁護士の先生に預けます。

融資承認は口頭・電話・電子メールでは足りず、場合によっては「承認書」等、一筆貰っておく

 金銭消費貸借契約は、場合によっては、こちらだけでなく金融機関側も署名捺印させる、もしくは一筆貰っておく

金融機関が、金銭消費貸借契約時等において、収入印紙代等現金を持参するように言われた際は、その旨を電子メール等で確認すると共に、「領収証」を受領しておく

悪徳金融機関は、金銭消費貸借契約時に収入印紙代として現金も持参せよと言いつつ、トラブった後は、知らないと嘘をつきます。私の場合、そのやり取りの電子メールは残っていますが、「領収証」は交付されませんでした。

金融機関との金銭消費貸借契約締結等は、配偶者等を連れていく

同時に、金融機関等連携の損害保険会社(損害保険契約)・司法書士(所有権移転・抵当権抹消)等も立ち会わせ、証人を増やす

但し、配偶者等は自分側の人間なので証拠力は弱いと思われます。又、金融機関等連携の損害保険会社・司法書士等は、金融機関側の人間なので、金融機関に不利な発言は期待できないでしょう。

万が一のトラブルにも備え、念の為、音声を録音しておくのもいいかもしれない

もしトラブルが起こったら

□ トラブったら、不動産経営者仲間・別の不動産会社・金融機関等にも相談してみる。弁護士等、専門家を紹介してもらう。複数の弁護士等から、セカンドオピニオンも取る

 □ 先方が法的手続きに出そうな場合、出た場合等においては、早急に不動産に詳しい弁護士等専門家に相談する

□ 管轄裁判所は、物件所在地の場合が多いが、いざトラブった場合には当方住所の近隣の方が便利

 □ やむを得ず、管轄裁判所が遠方(先方、物件所在地等)の場合には、なるべく管轄裁判所近辺の弁護士に委任する

弁護士の先生が裁判所に行きやすいためです。

□ 先方から当方への連絡は弁護士を経由させる

当初、違約金・仲介手数料を払え等と、嫌がらせの電話や「配達証明付内容証明郵便」が何度も来て、家族も参ってしまったものです。又、こちらが法的に不利になるような発言をするかも知れないし、弁護士を経由させる方がいいと思います。

□ 場合によっては、直接か、弁護士経由、監督官庁(消費者庁、国土交通省・宅地建物取引協会、金融庁等)にも相談する

□ 場合によっては、マスコミ等にも相談する

マスコミ(新聞社・出版社等)には、固有名詞は差し控えた上で、話したことがあります。私の恥ではありますが、同じような被害者が出てはいけないと思ったからです。

まとめ

残念ですが、悪質な金融機関・不動産会社は存在します。金額の大きい不動産取引の場合、一発玉砕・自己破産・再起不能のリスクもありえます。通常の場合ではなく、トラブった場合のことも想定して、慎重に対処することが賢明です。