10年間勤めた損害保険会社を32歳で退職し、コツコツ貯めた1000万円を元手にコンビニ経営を開始するも、たった4カ月で廃業─。これは「元祖サラリーマン大家」として知られる沢孝史さんの過去だ。
違約金等の支払いで無一文になり、なすすべもなく妻の実家に転がり込んだ時の心境はどのようなものだったのか。そして、どん底の状態からどのようにして総投資額25億円、年間家賃収入1億2000万円まで上り詰めたのか。これまでの苦労やプロセス、今後の投資戦略について聞いた。
「あまのじゃくさ」が成功の一手に
「お金がない時は見栄を張っても仕方ないからね。それなりの生活をすればいいだけの話」
妻の実家で肩身の狭い想いに打ちひしがれていたかと思いきや、あっけらかんとした答えが返ってきた。「『旅の恥はかき捨て』って言うけど、失敗したことや恥ずかしいことって後で気にするじゃん? 私の場合は記憶力が欠如してるのもあるけど、すぐに忘れる(笑)」
こうして現実を見つめ、気持ちと生活をすぐに切り替えた。サラリーマンに戻り、製造業の営業をしつつイチから貯金し、700万円に達した38歳で不動産投資を始めた。
「当時はバブル崩壊の影響で『不動産なんて』という沈滞ムードだったし、ましてやサラリーマンがお金を借りてやること自体にかなり偏見があった。でもそれって感情の世界で、投資は数字なので」。
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