今から24年前、勤めていた商社のプロジェクトの実績づくりのため、競売で不動産を落札して「大家さん」となった藤山勇司さんは、いわゆるサラリーマン大家の先駆けの1人。商社の自己破産をきっかけに専業大家となり、現在は総資産額7億5000万円、所有物件数13棟117室に上る。「他の人と比べれば何それ、って規模だろ?」と笑うが、それは自身の目標が「貸家主義を文化にすること」だからだ。

後進には自身のノウハウを惜しみなく分け与え、多くの成功者を育ててきた。執筆した本は25冊、直接教えた「弟子」は約3000人。多くの不動産投資家から慕われ、そして彼らに愛を持って接する「藤山先生」に教えを請うた。

会社員時代に身につけた「論理的思考」

「大家さん」になったのは24年前、競売で物件を所有したところから始まる。東証一部上場の「大倉商事」の商社マンとして、競売不動産の再販売に関するプロジェクトを起案。その実績を作るために自身で落札した物件を運営し、家賃収入を得始めた。

その後、サラリーマン大家として所有物件を増やしていったが、ある事件をきっかけに専業大家の道を歩むことになる。大倉商事の倒産。1998年のことだ。

この会社員時代が、現在の自分の血肉となっていると感じているという。「相手に、短時間で間違いなく伝えるためのテクニックを身につけられたのは、大倉商事時代があったからですね。例えば『これを購入してください』って営業するにしたって、数字の裏付けや購入するためのロジックを自分がきちんと説明できないと、買ってもらえない。『この野郎、買えよ』って脅しても買ってくれないでしょう。あの経験がなくてもそれなりに儲けていたとは思いますが、相手に納得してもらうやり方を身につけられました」

こうした経験から、論理的思考を大事にしている。「問題を解決するために、根本の原因をしっかり考えないといけません。その物件の空室が埋まらないのは、仲介業者のせいでも、入居者のせいでもない。その物件に魅力がない、問題がある。ただそれだけ。最初にきちんと問題の性質を把握すれば、リフォームをすべきなのか、故障を直すべきなのか、するべきことがわかります」と語る。

「残債比率」に注意せよ

多くの不動産投資家に「忠告したい」と、「残債比率」の大切さを訴える。不動産投資をする上で重視している考え方で、年間家賃収入を残存債務で割ることで算出する。

「残債比率が20%以上なら、どんぶり勘定でも問題ないですよ。15%で少し気を付けた方がいいくらいですね。10%はギリギリ、8%以下ならいつ破産してもおかしくありません」

8%で危険だと警鐘を鳴らすのは、ここからさらに固定資産税や修繕費などが必要となるからだ。ちなみに、自身の現在の残債は約9000万円、年間家賃収入は5300万円ほど。残債比率でいうと58%だ。

規模を拡大していく上でも、この残債比率を見ることが重要だという。

「借金は返済し続ければ減るから、本来なら残債比率は向上していくはず。ですが、物件や融資額によっては、残債比率が悪くなるものもある。そういった、残債比率が極端に悪くなるような投資は避けたほうがいいと思います。予想値を計算しながら、今拡大しても大丈夫なのか、拡大できる時期は何年後なのか。この残債比率さえきちんと計算しておけば、まず間違いありません」

どんどん投資を進めるのではなく、残債の金額など、タイミングをきちんと把握することが必要という考えだ。

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