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退去の際、住人の痕跡が色濃く残る壁紙。暮らし方によって差はあるものの、変色したり、大きな傷がついたりすると、退去後のリフォームで張り替える必要がある。壁紙が新品ならば、それだけで部屋の印象も変わってくる。

部屋の状況によっては退去のたびに張り替えねばならず、コストも時間もかかってしまう。しかし、そんな「傷んだ壁紙は張り替えるしかない」という常識を覆す方法がある。 

それが「クロスメイク」だ。クロスメイクを開発した株式会社 壁紙革命代表の萩原利男さんに話を聞いた。

素早く、安く壁を修復

クロスメイクとは、古い壁紙を張り替えずに、その上から専用の染色剤を塗ることで、壁紙を新品同様に蘇らせる独自工法。傷や穴ができてしまった壁でも使用でき、ビニールクロスのみ対応している。

「施工はとても簡単です。壁の穴や傷をシリコンで壁紙の模様(凹凸)をコピーし、クロス用パテに同じ模様を付ける方法『クロスコピー』で修復したあと、壁の隅や窓との境目から当社開発のコート剤・クロスメイクを塗っていきます。

そして電動式クロスメーカーで全体にコート剤を塗り、専用のロングハケでなじませれば完了。技術、道具いずれも特許を取得済みです。

キットさえあれば誰でも、ムラなく塗ることができますし、荷物も少なく、スタッフの中には電車で依頼主のところに向かう人も。養生する必要もなく、準備0分、片づけ0分のスピード感でできます」(萩原さん)

壁紙の修復は小さな傷から落書き、大きな穴にも対応できる。実際に施工の様子を見せてもらうと、確かに素早く、養生もしなくていい。そして仕上がりも美しい。

施工時間も大幅に短縮される。張り替えだと1日に40平米程度が限度だが、クロスメイクだと1人で200平米程度できるという。値段も6畳間の壁で、一般的なクロスの張り替えだと最安値でだいたい3万円くらい、クロスメイクは1万3500円、半額以下だ。

「貸住宅紛争防止条例(東京ルール)によって、法律上、日常生活での劣化、傷は大家さんが負担すると定められています。

通常通りに張り替えると、例えば下地のボードまで穴が空いている場合は直すために大工さんを入れなければならず、金額も余分にかかります。しかし、クロスメイクならこぶしくらいまでの大きさならふさいで補修できる技術があります。クロスの傷ももちろんクロスメイクで補修することができ、大工さんなしで修繕し、素早く、安く仕上げることができます」(萩原さん)

時間を短縮でき、金額も安価。しかし、メリットはそれだけではない。

「塗る、と聞くとペンキを思い浮かべるかもしれませんが、ペンキだと壁紙本来の風合いを損なうことになり、壁がのっぺりした印象になってしまいます。しかし、クロスメイクは塗っても非常に薄いので、その心配もありません。ペンキのローラー塗装1回分の厚さとクロスメイク塗装10回分の厚さが同程度です。

また、ペンキのように独特の匂いもせず、ラベンダーのいい香りがします。もちろん、揮発性有毒物質ホルムアルデヒド等のVOCを含んでいないのでとても安全です。さらに、抗菌消臭効果もあります。カビが生えてこないですし、ペットの臭いなど気になる臭いを分解し続けて、塗るとむしろ環境が良くなるんです」(萩原さん)

もちろん、壁紙が硬化したり、下地に影響が出たりすることもない。経年で塗料が剥がれたり変色したりということもなく、通常のクロス同様の感覚で、クロス自体の寿命が来るまでは何度でも塗り直しが可能だ。ただし、洗剤などで壁紙をクリーニングしてしまうとクロスメイクが落ちてしまう可能性があるため、手入れには気を付ける必要がありそうだ。

また、クロスメイクであれば、部屋のイメージも簡単に変えられる。

「普通、壁紙を変えるとなると大抵は壁四面を変えます。例えば、比較的新しい家の壁に穴を空けてしまったとする。そうすると、そこだけを変えると修繕した部分があからさまに見えてしまうんです。でも、クロスメイクの場合だとその部分も自然な状態に修繕できます。

また、元の壁紙に寄せるんじゃなくて、一面だけカラーを入れてしまうことも容易です。カラーバリエーションも豊富で、好きな色にできます。

一面だけ色が違うと、雰囲気が変わっておしゃれになります。とくに学生マンションだと、3~4年で住人が入れ替わります。クロスメイクは何度でも施工できまるので、次に入る学生の要望によって気軽に変えることができる。大家さんにとってもひとつの売りになるのではないでしょうか」(萩原さん)

ほかには環境にも優しいというメリットもある。壁紙を張り替える場合、剥がした壁紙のゴミの量は建築資材の中でも上位に入るほど多いのだという。ビニールコーティングされている壁紙は、単なる紙とは違って再生できないのだ。

いいことづくしのクロスメイクだが、実はまだあまり普及はしていない。それには、昔からの固定概念があるため、と萩原さんは話す。

「壁紙は張り替えるもの」という思い込みを捨てて

「汚れてしまった壁紙は張り替える、クリーニングする、といった方法で綺麗にするのが一般的です。そんな中で『壁紙に色を塗る』と言われてもなかなか皆さんピンとこないのではないでしょうか。

クリーニングよりも綺麗になるのに、色を塗るのは一般的じゃないから受け入れられ難いんです。やはり、未知のことに挑戦して、リスクを負いたくない、損をしたら嫌だな、などと考える方は多いのでしょうね」(萩原さん)

クロスメイクがどういうものなのかを正しく知れば、効果的に活用する道はいくつもありそうだ。

コスパ良し、環境にも優しい、そしてターゲットとする入居者に合わせて、または新規で入居者の要望に応えて、部屋のイメージを手軽に変えることができるクロスメイク。壁紙の張り替えを検討する際は選択肢の一つになるかもしれない。

○取材協力:株式会社 壁紙革命

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