そんな京都市内には11の行政区があり、宇治市や向日市、長岡京市、亀岡市といった自治体と隣接している。京都の投資家たちが考える「狙い目」や「勝てない」というエリアはどこだろうか。

Hanakopapa
京都市内にはJRのほかに阪急、近鉄、京阪、そして地下鉄烏丸線と東西線などが走っていますが、複数路線が使える場所はもちろん人気ですよね。一方、不便ですがなぜか人気なのは右京区の映画村(太秦)の近くでしょうか。

コージー
その近くの花園駅周辺では、私が地元の管理会社に聞いたところによると、現在新築物件がものすごい勢いで建っているそうです。ほとんどがサブリース物件のようですね。新築なのに中古物件と同じような家賃で募集がかかっているので、既存の物件を持っている大家さんが悲鳴を上げているということです。勝てないエリアですね。また、阪急沿線は手堅い需要があります。それと京都の場合は、大阪通勤圏も考慮に入れるといいと思っています。大阪へのアクセスという意味では、伏見区や長岡京市、向日市はそういうエリアとして需要があります。

京都ママ
実は先月、山科区のかなり奥地に戸建て物件を200万円強で買いました。現在リフォーム中なんですが、駐車場有、4万円ちょっとで募集しています。入居が決まれば利回り20%ほどですね。今までの不動産投資がうまくいっていたので、もっとチャレンジしてみたいと思って難しい物件を買ってみました。

コージー
その場所だと、車で生活する人が入居してくれるかもしれませんね。でも、京都市内で雪が降らなくても、この地域では降るというくらいの奥地ですよ。なかなか大変だと思います。

サラリーマン大家
このあたりでよく、1棟モノが高利回りで出てきますね。

コージー
いくら想定利回りが高くても、アパートなんて買ったら絶対に空室は埋まりませんよ。買ったらダメだと思います。戸建てで、さらに駐車場必須で、さあ勝負! という感じです。

同様に、京都市近くの京田辺市でも高利回りのアパートが出始めているという。2013年、同志社大京田辺キャンパスの文系の4学部が京都市上京区に移転した影響が大きいと見られている。

コージー
京田辺市も1棟モノが高利回りで出ていますけど、しんどくなっていると聞きますね。一方で、京大吉田キャンパスや同志社大今出川キャンパスの周辺は物件が足らないような状況だということです。

かまぼこ大家
京都駅の近くには市立芸術大が移転してくるそうですから、今のキャンパスがある西京区のあたりに物件を持っている人は早く売るという判断も必要かもしれません。

コージー
大学で言えば、物件を持つときに大学が近くにあるから安心、というのではなく、その大学が「親が子どもを下宿させてまで(一人暮らしさせてまで)通わせたい大学なのか?」はシビアに見たほうがいいですよね。国立大やいわゆる関関同立(関西大、関西学院大、同志社大、立命館大)の「同立」は京都にあるので、その近くなら問題はないと思います。

京都ママ
私が物件を買うときには、地元の不動産会社、少なくとも4、5社には賃貸需要などを尋ねるようにしています。やはり地元の人に聞くのが一番わかりますから。

民泊需要の高まりの反面、感じている恐怖

現在、下京区や南区には京都駅へのアクセスの良さもあり、現在ゲストハウスや簡易宿所、ホテルなどが数多く運営が行われている。この地域は御所を中心にすると離れた地域のため、以前はあまり開発されてこなかったエリアだ。

コージー
駅周辺地域は、今、京都以外の投資家や業者が買って、旅館業として運営しているケースが多いと思います。大型商業施設もできましたし、地域活性化してきたイメージがありますね。

だが、こうした旅館業の活発化や、来年からの民泊需要を期待した物件の乱立には注意が必要だとの指摘も数多く出た。

Hanakopapa
今京都では物件が足りないという話もありますが、それはある意味間違いだと思います。10年以上前から物件は余っていて、それが今、居住用に限定されなくなってきた。簡易宿所や民泊に転換されて、足りない気がしているだけです。原発事故や国際情勢の変化、経済的なショックなどが起きれば、いつその観光客の需要が激減するかわかりませんから、覚悟しておかないといけないと思います。

コージー
確かに、今普通のアパートも民泊転換しているところが非常に多いです。今そういった観光客向けの物件も、ワンルームや1Kが多くて、いつでも居住用に転換できるように建設されているようですから、それがあるとき放出されればと思うと怖い部分はあります。

京都の古い民家をリノベーションし、人に貸す。いわゆる「京町屋」への投資にあこがれるオーナーも少なくない。shamojiさんは、京都中心部の町屋投資で、30%近い利回りを実現している。

shamojiさんの持つ京町屋(外観)

shamojiさんの持つ京町屋(内観)

shamoji
3~4年前に200万円で購入しました。今はかなり値段が高いので、こんな価格では買えないと思います。しかも、ちょっと事情があったんです。実はこの物件は土地が借地権で、土地のオーナーは収益物件、特にシェアハウスなどとしての利用を認めてくれなかったんです。私も将来的には自分で住むという前提で購入し、一時的に人に貸すことを認めてもらっています。京都には、こうした土地がけっこう多く、特に寺社仏閣が土地を所有している物件というのが今でも多数存在します。私の物件は京都の中でもかなり観光地にあるので、それこそ民泊でもやれば利回りは何倍にもなると思いますが、土地の所有者がいてかなり厳しいので、民泊などはやりません。

サラリーマン大家
寺社仏閣が土地を持っている物件は本当に多いですよ。そういう場所では、物件を買うにあたっても属性や、ただお金を持っているだけでもだめで、物件をどのように使うのかということを厳しく審査されるということです。

これについて、自身も投資家である不動産コンサルタントの田中和彦さんも同様の指摘をしている。「京都では何代も前からの地主というのがとても多く、人の入れ替わりもそこまで多くありません。そうなると、自分が住んでいなくとも『ご近所に迷惑はかけられない。ゲストハウス目的としては売らない』といったように、厳しく買主を選別するんです」

shamojiさんの物件も、土地が借地権の物件だった。立地の良さや状態の良さ、そして何よりその安さから買い付けは殺到したが、すべてシェアハウスなど収益が第一目的だったため、契約に至らなかったという。

shamoji
延床面積は120平米くらいあり、中もほとんど手をいれずに貸し出せました。広い庭もあるんです。唯一の難点はファミリー向け物件にもかかわらず3点ユニットバスということ。借り手がつくか不安でしたが、若い新婚夫婦が入ってくれました。どちらも職人さんで、作業場兼住居として利用したいということでした。家賃は月6万円ですが、そのうち1万3000円が地代なので、手元に入ってくるのは4万7000円。それでも実質利回りで20%以上です。

現在、町屋の価格はどんどん値上がりしており、中心部になると数億円を下らない物件も多いという。確かに町屋であれば価値も高く、魅力的で入居付けにも困らない面はあるが、その利回りはかなり低くなるうえ、さらに土地の所有権や近隣との関係にも注意が必要となる。

「京都外から買えない」実情

ここまで京都のオーナーらに、利回りだけに頼らない魅力を語ってもらってきた。しかし、実は京都の物件は「買いづらい」という。

築古大家のコージーさんは「正直に言って、京都は京都外からの買い付けを嫌う面があります。100%他の地域の投資家が買えないということではありませんが、例えば、他の地域の投資家が買い付けを入れていても、京都在住の私が後から買い付けを入れて通ってしまったというケースもありました」と明かす。

特に、悠久の歴史を積み重ねてきた京都市内中心部はかなり厳しいという指摘は多い。不動産コンサルタントの田中さんは「特に、例えばですが東京の投資家が東京の不動産会社に声をかけても、物件を買うことは難しいと思います。東京の投資家であっても、京都の不動産会社にきちんと何度も通い、信頼関係を築ければ、少しは可能性を開けると思います」と語る。

そんな田中さんが勧めるのは、京都の隣、滋賀の物件だ。実は、座談会にも滋賀在住や滋賀に物件を持つオーナーがオブザーバー参加をしてくれていた。滋賀県の県庁所在地、大津市は京都市までJRで2駅しか離れておらず、約10分で移動が可能な近さだという。

「京都から離れていけば物件価格は安くなりますが、大阪に近づけばまた物件価格は高くなります。滋賀、特に大津や草津はベッドタウン的な位置づけで、京都市内への通勤圏ですし、より賃料が安い滋賀に住みたいと考えるサラリーマンファミリー層は多く、賃貸需要は高いです。『京都ブランド』によるキャピタルゲインを狙うなら京都ですが、京都に固執せず、滋賀という選択肢もあると思います」

歴史に彩られたまちだからこそ、固有の事情や市況を持つ京都。利回りは低くとも、資産価値の高さや賃貸需要の高さは魅力的であることは間違いない。

京都への投資を考える上では、民泊新法にともなう京都市の条例制定の動向、また、再開発エリアの発展動向などについて、アンテナを張っておくことは非常に重要だ。

(楽待編集部 浜中砂穂里)