前回の記事で、「猫を外に出せる工夫」をご紹介しました。今回は前回に続き、猫専用賃貸に必須の装備をご紹介したいと思います。

「犬と猫の違いとは?」と言われたら、何を思い浮かべますか? 「犬は吠えるけど、猫は吠えない」「犬は散歩が必要だけど、猫は必要ない」など、色々と思い浮かぶことでしょう。猫専用賃貸を作るに際して、私が考える重要な差異はこの3つです。

1.犬は二次元、猫は三次元に動く

2.犬は肉食系雑食、猫は完全肉食

3.犬は社会性に富み、猫は社会性に乏しい

今回、注目して頂きたいのは「犬は二次元、猫は三次元に動く」というポイントです。

犬は「社会性に富む生き物」なので、他の会ったばかりの犬とも一緒に遊ぶことができます。ドッグランが良い例です。多少の高低差はあれど、ドッグランは大抵、だだっ広い場所に設営されます。犬は自由に「走り回る」ことができる広いスペースを好むからです。

一方、猫の先祖は木の上で生活していたDNAの名残なのか、広いスペースで走り回るより、木の上など高いところ登ることを好みます。

完全室内飼いすることを前提としている私の物件では、外に出せない代わりに猫が室内で上下に動けるための工夫をこんな感じでしています。

Gatos Aptのキャットウォーク その1

Gatos Aptのキャットウォーク その2

Maison Nekoのキャットウォーク

Seilan Aptのキャットウォーク

最近、猫専用や猫共生を謳った賃貸物件が増えてきています。その事自体はとても喜ばしいことなのですが、多くの物件が「キャットウォーク」を最大のウリにしています。

私が監修する物件では、実はそれほどキャットウォークに執着していません。主な理由は2つあります。

1つは「どうですか、このキャットタワー! ネコカフェみたいでしょ!」という「お猫様仕様」のお部屋に、私が住みたくないから。

だって落ち着かないじゃないですか。たまに行くネコカフェで遊園地のような内装、インテリアを楽しむのは、非日常空間を楽しみたいからではないか、と。日常生活を送る生活空間が遊園地みたいになってるのって…私は、嫌なのです。

犬猫の高寿命化がキャットウォークを再考するキッカケ

もう1つの理由、ペットの高齢化が挙げられます。一昔前なら、10年も生きれば大往生と言われた猫も、現在は20年生きることも珍しくない時代に突入しています。これは「完全室内飼いの徹底」、「医療の発達」、「食べ物の発達」が大きく関与していると思われます。

「ウチの子はもう18歳の老齢猫だから、キャットウォークはあまり使わないんですよ…」

私の賃貸を内見に訪れる入居者候補さんたちにお話を伺うと、こんな意見が返ってくることもシバシバ。猫は歳をとると、運動をあまりしたがらなくなり、冒険心や好奇心も若い頃に較べれば格段に落ちるので、折角作ったキャットウォークも無駄になってしまう可能性が高いのです。

とは言え、いつまでも健康で長生きして欲しいと願うのが親心、狭い室内でも何とか運動をさせたいと思うものです。前回ご紹介した「外に出せる工夫」はこの点も考慮していますが、室内の三次元に動ける工夫は、大家さんやオーナーしかできないことをやるべき、と思っているのが私の考え方です。

ではどこに注意して、何を作れば良いのでしょうか? 私が考えるポイントは以下の3つです。

1.日が当たるところに作る。

2.風が通るところに作る。

3.外の景色が見えるところに作る。

猫が積極的に「登ろう」と思うのは、何か理由があるからです。日が当たれば冬場は暖かいですし、夏場は風が通るところは涼しく、外の様子を伺うことが大好きな猫は窓があるところが大好き。こうした猫の欲求を上手く解消させてあげられる所にキャットウォークを作ると、積極的に使ってくれるものになります。

一見、人間からすると「何でこんなところに小窓があるんだ?」と思うようなところに「猫専用の窓」を作ることができるのは、大家さんかオーナー以外にいませんからね。

猫を飼っている人が一見した時、「あ、ここに低めの棚を作って階段状にしてあげれば、ウチの老猫でもあそこの窓に行って、外の様子を見ることができるな!」とイマジネーションを膨らますことができる、入居者さんが自身の猫に合わせた工夫を、入居者さん自らが行える部屋にできると、「ここは本当に猫のことを分かった人が作ったお部屋なんだな」と思って貰えるようになると考えています。